「42Vは死にボルト」という言い方があります。
語呂合わせです。死・に。数字そのものに根拠があるわけではありません。日本電気協会が定めた許容接触電圧の表にも、42Vという数字は出てきません。
ただ、この語呂は当たっています。
体に流れる電流を決めているのは、人体の抵抗です。そしてその抵抗は、皮膚が乾いているか濡れているかで大きく変わります。乾燥時の値と、汗や水で濡れたときの値。この記事では、公開されている教育用の教材が示す両方の値を使って、42Vで流れる電流を計算します。
差は21倍になります。 片方は心室細動のおそれがある領域に入り、もう片方は苦痛にも届きません。
濡れているかどうかが効くことは、統計にも現れています。仕事中の感電死亡災害を見ると、低圧によるものは87パーセントが6月から9月に起きています。高圧には、この偏りがありません。
ここから先は、オームの法則の割り算だけで追えます。
感電による死亡の多くは、低圧で起きています
労働安全衛生総合研究所が、平成15年から24年までの10年間に起きた感電死亡災害173人を分析しています。厚生労働省の死亡災害データベースに基づくもので、すべて仕事中の災害です。 家庭での事故は入っていません。
電圧別に見ます。
| 区分 | 死亡者数 | 割合 |
|---|---|---|
| 低圧(交流600V以下) | 105人 | 約61% |
| 高圧(交流600Vを超える) | 56人 | 約32% |
低圧のほうが、多くなっています。
なお、出典が示しているのはこの2区分だけです。合計は161人で、173人との差の12人は示されていません。
これは「低圧のほうが危険だ」という意味ではありません
この数字には分母がありません。
高圧に近づく機会があるのは、電気を仕事にしている人か、送配電線のそばで作業する人に限られます。低圧は違います。工場の生産設備も、現場の電動工具も、事務所の機器も低圧です。 電気を専門にしていない人も、毎日触っています。
触れた回数がまったく違う以上、1回触れたときの危険度を、この数字から比べることはできません。
同じ研究所も、低圧が多い理由を危険度ではなく認識の差に置いています。高圧に対しては危険性が認識されて対策が進んでいる一方、低圧に対しては危険性の認識が十分に浸透していない、という見方です。
つまりこの数字が言っているのは、低圧のほうが危ないということではありません。低圧でも人は死んでいる、ということです。
この記事が低圧を扱うのは、低圧が高圧より危ないからではありません。低圧は、危なくないと思われているからです。
それでも、低圧にだけ現れる偏りがあります
月別に見ると、低圧と高圧がはっきり分かれます。
低圧で亡くなった105人のうち、7月が26人、8月が37人。6月から9月の合計で91人、約87パーセントです。
一方、高圧には月に対する依存性が見られません。
こちらの数字は、分母の問題を受けません。低圧に触れる機会が夏だけ増えるわけではないからです。低圧の電気は年間を通して同じように使われている。それなのに、死亡だけが夏に寄ります。
研究所も同じ論法でこう述べています。低圧電気は年中使用されているにもかかわらず夏季に感電死亡災害が多い、したがって夏季における低圧電気での死亡危険性は本質的に高いと考えられる、と。
平成8年から17年の統計では、低圧の感電死亡災害の77パーセントが夏季(7月から9月)に集中し、夏季は冬季の19倍に達しています。
夏に何が変わるのか。ここから先が、42Vの話につながります。
42という数字は、語呂合わせです
先に、数字の出どころをはっきりさせておきます。
日本電気協会が「低圧電路地絡保護指針」の中で定めた、許容接触電圧という区分があります。以下は、安全衛生マネジメント協会が公開している低圧電気取扱業務特別教育の教材に載っているものです。この記事ではこれを「教材」と呼びます。表のVはボルトです。
| 種別 | 接触状態 | 許容接触電圧 |
|---|---|---|
| 第1種 | 人体の大部分が水中にある状態 | 2.5V以下 |
| 第2種 | 人体が著しく濡れている状態など | 25V以下 |
| 第3種 | 通常の人体状態で、接触電圧が加わると危険性が高い状態 | 50V以下 |
| 第4種 | 危険性の低い状態、接触電圧が加わるおそれがない状態 | 制限なし |
42Vは、この表のどこにも出てきません。 25Vと50Vの間に、ぽつんと落ちている数字です。語呂以外の根拠を、私は確認できていません。
似た数字はあります。同じ教材によれば、国によっては人体に危険とならない程度の電圧を「安全電圧」と呼んでいて、ドイツとイギリスで24V、オランダで50Vだといいます。42という数字は、この幅のなかには収まっています。
ただし、同じ教材は許容接触電圧にも安全電圧にも注意を添えています。いずれも電気の危険性を考慮したものであって、安全な電圧を保証しているという意味ではない、と。
ですから「42Vが規格で決まっている」とは書けません。書けるのはこうです。語呂合わせだからといって、外れているとは限らない。
実際、計算すると当たっています。その計算に入る前に、何が体を傷つけるのかを押さえます。
体に起きることを決めるのは、電圧ではなく電流です
感電で体に何が起きるかは、流れた電流の大きさで決まります。電圧そのものではありません。
さきほどの教材は、電流と反応の目安をこう示しています。交流の場合の値です。 単位はミリアンペア(mA)で、1000ミリアンペアが1アンペアです。
| 電流 | 反応 |
|---|---|
| 1mA | 電流を感知する程度 |
| 5mA | 苦痛を伴う |
| 10mA | けいれんで身体の自由が失われる |
| 20mA | 呼吸筋のけいれんで呼吸困難になる |
| 50mA | 意識喪失、心室細動のおそれ |
| 100mA | 心室細動により、適切な処置が遅れると死に至る |
心室細動というのは、心臓がけいれんを起こしたような微細な動きになる状態です。血液を送り出す働きが失われ、数分続くと死に至ります。
ここで10mAの行を見てください。けいれんで身体の自由が失われる。 自分の意志で手を離せなくなる、ということです。触れてしまったあとに自力で抜け出せる上限が、このあたりにあります。
ただし、決まるのは電流の大きさだけではありません。同じ教材は、受傷の程度に影響する要因として、通電した電流、通電した時間、体内を流れた経路、電流の種類の4つを挙げています。同じ電流でも、長く流れれば重くなります。
電流の種類についても、覚えておく価値のある記述があります。直流は交流より感知電流が高く、同じ条件なら被害が少ない。そして交流では15Hzから1000Hzが最も危険で、商用周波数の50Hz・60Hzは危険な周波数帯にあたる、と書かれています。
日本の商用電源は50Hzと60Hzですから、いちばん危険とされる帯のなかにあります。
電流はオームの法則で決まります。
電流 = 電圧 ÷ 抵抗
電圧が同じでも、抵抗が変われば電流は変わります。そして人体の抵抗は、一定ではありません。
人体の抵抗は、濡れると桁が変わります
人体の抵抗は、大きく2つに分かれます。皮膚の表面の抵抗と、体の内部の抵抗です。
内部抵抗は、手から手、あるいは手から足の経路で約500Ωとされています。感電の危険を考えるときは最悪の場合を想定するため、この値が一般に使われます。そして、この500Ωは濡れても変わりません。
変わるのは皮膚のほうです。
冬季など乾燥しているときの皮膚表面の抵抗は10,000Ω以上と言われます。夏場の作業などで汗や雨でぐっしょり濡れているような場合は、極端に低下します。
労働安全衛生総合研究所も、汗や水などで皮膚が濡れていると乾燥時と比べて1桁以上電気抵抗が低くなることが分かっている、としています。
この記事では、次の2条件で計算します。
| 条件 | 抵抗 |
|---|---|
| 乾燥(皮膚10,000Ω + 内部500Ω) | 10,500Ω |
| 完全に濡れている(内部500Ωだけ) | 500Ω |
21倍です。
皮膚が電気を止めています。濡れると、その壁がほとんどなくなります。
この置き方について、2つ断っておきます。
一つは、乾燥側で皮膚を1か所ぶんしか数えていないことです。 電流は体に入る側と抜ける側の両方で皮膚を通るので、本来は2か所あります。
もう一つは、濡れ側の皮膚をゼロと置いたことです。 教材が書いているのは「極端に低下する」まで、研究所が書いているのは「1桁以上低くなる」までで、ゼロになるとは書かれていません。 ゼロと置いたのは、この記事の判断です。
どちらも抵抗を小さく見積もる置き方、つまり電流を多めに出す側に倒してあります。教材が示す「10,000Ω以上」も、下限の値です。

42Vを当てて計算します
いまの2つの抵抗に、電圧を当てていきます。オームの法則の割り算だけです。電圧はいずれも交流です。
| 電圧 | 乾燥 10,500Ω | 濡れ 500Ω |
|---|---|---|
| 25V | 2.4mA | 50.0mA |
| 42V | 4.0mA | 84.0mA |
| 50V | 4.8mA | 100.0mA |
| 100V | 9.5mA | 200.0mA |
| 200V | 19.0mA | 400.0mA |
84mAが何を意味するか
42V、濡れた状態で84mA。
さきほどの表と突き合わせます。50mAが意識喪失と心室細動のおそれ、100mAが心室細動により死に至る、でした。84mAは、その2つの間に落ちます。
同じ42Vでも、乾いていれば4.0mAです。感知電流の1mAは超えますが、苦痛を伴う5mAには届きません。感じる程度で終わります。
同じ電圧で、死ぬ側と、痛くもない側に割れます。 分けているのは電圧ではなく、濡れているかどうかです。
低圧の感電死が夏に集中する理由の一つが、ここにあります。
表からもう一つ読めることがあります。許容接触電圧の25Vは、500Ωでちょうど50mA。50Vはちょうど100mAです。 電流の目安の値と一致します。ただしこれは一致であって、「だから25Vに決めた」という因果を私は確認していません。
乾いていても、死んだ例があります
ここで止めると、危ない読み方が残ります。「乾いていれば大丈夫」です。
同じ教材に、次の記述があります。100V工具の漏電が原因の感電災害で、安全靴を履き、コンクリート土間の上で作業していたにもかかわらず死亡している例がある、と。死に至るほどの電流とは思えないケースもある、と書かれています。
抵抗の想定は、あくまで想定です。実際の皮膚の状態、通電した経路、通電した時間、そのときの健康状態で結果は変わります。
この記事の数字は目安の計算であって、あなたの体の値ではありません。 計算は危険の大きさを掴むためのものです。安全を保証する数字ではありません。
経路が変われば、同じ電圧でも変わります
いま挙げた要因のうち、経路だけは数字で追えます。
教材は、体の中の抵抗を経路ごとの比で示しています。手から手を100とすると、手から胸は45。 手から手が500Ωなら、手から胸は約225Ωです。教材が示しているのは、この1組だけです。
この225Ωで、42Vをもう一度割ってみます。
42 ÷ 225 = 186.7mA
手から手なら84mAだったものが、経路が変わるだけで死に至るとされる100mAを超えます。
同じ電圧、同じ濡れた状態でも、電気が体のどこを通ったかで変わります。 そして、どこを通るかは選べません。
100Vと200Vでは
42Vを問題にするなら、毎日触っている電圧のほうが先です。
濡れた状態なら、100Vで200mA、200Vで400mA。死に至るとされる100mAの、2倍と4倍にあたります。
乾いていればどうか。100Vで9.5mAです。身体の自由が失われるとされる10mAの、すぐ下に来ます。200Vなら19mAで、呼吸筋のけいれんで呼吸困難になるとされる20mAにほぼ届きます。
計算のうえでは、乾いた手で100Vに触れても致命的な電流にはなりません。ただし、さきほどの死亡例がまさに100V工具でした。 計算が返す9.5mAは、手が離せるかどうかの境目であって、安全の保証ではありません。
そして、ここで時間が効いてきます。離せなければ、通電した時間が延びます。 同じ電流でも長く流れれば重くなる、というのが最初に見た4つの要因の一つでした。9.5mAという数字が怖いのは、その場で死ぬからではありません。手が離れないまま、時間だけが延びていくからです。
統計もあります。低圧は交流600V以下という広い区分ですが、感電災害の約半分は100Vまたは200Vで起きています。 これは死亡に限らない、感電災害全体の数字です。
さきほどの周波数の話も、100Vに限った話ではありません。42Vも24Vも、変圧器で作る以上は同じ50Hzか60Hzです。 どの交流電圧を扱っても、あの帯からは出られません。
42Vが死にボルトと呼ばれているなら、100Vはどう呼べばいいのか。濡れた状態の手から手で比べれば、死に至るとされる値を超えているのは100Vのほうです。
すでに書いた2本と、数字でつながるところ
このサイトで先に公開した2本が、ここで宿題を回収します。
接地された外箱に出る90.9V
D種接地工事の接地抵抗が100Ωのとき、漏電した機器の外箱には対地電圧が90.9V残ります。対地電圧とは、大地を基準にしたときの電圧です。外箱に触れた人は、この電圧を受けることになります。この計算はアース線をつないでも、外箱の電圧はほとんど下がらないで追いました。
その90.9Vを、濡れた体に当てます。
90.9 ÷ 500 = 181.8mA
死に至るとされる100mAの、1.8倍です。手から手の経路で比べれば、接地されている外箱に触れるほうが、42Vの充電部に触れるより電流が大きくなります。
接地は、触っても安全な電圧まで下げる仕組みではありません。前の記事では電圧でそう書きました。電流で見ても、結論は変わりません。
ただし、この90.9Vは、遮断器が切るまでのあいだの電圧です。 ずっと残り続けるわけではありません。その記事では、この状態の地絡電流を0.909Aと計算しています。30mA形の漏電遮断器から見れば約30倍で、確実に動く範囲です。接地が引き受けているのは、遮断器を動かすところまでです。
30mAという境界
高感度形の漏電遮断器は、定格感度電流が30mAです。この値の電流が漏れたら動作する、という設計上の基準値を指します。この数字がどこから来たのかは、配線用遮断器は、地絡を地絡として見ていないでは扱いませんでした。
電流の表に置いてみると、30mAは、身体の自由が失われる10mAと、心室細動のおそれがある50mAの間にあります。10mAより先です。
これは読み落とされやすいところです。漏電遮断器が動いたということは、動作するだけの電流がいったんは流れたということです。遮断器があるから無傷で済む、という意味ではありません。 だから漏電遮断器には、感度電流だけでなく動作時間も定められています。
ただし、30mAという値そのものについて分かるのは、表の上での位置だけです。人体への影響から決めたと書ける根拠を、私は持っていません。
条文が締めているのは、電流と時間の両方です
接地の記事で、条文の数字を2つ出しました。地絡、つまり電気が本来の通り道から外れて大地へ流れることに備えた条件です。どちらにも時間が入っています。
| 条文が認めていること | 条件 |
|---|---|
| D種接地を100Ωではなく500Ωにできる | 地絡を生じたとき0.5秒以内に電路を遮断する装置があること |
| 機械器具の接地を省略できる | 定格感度電流15mA以下、動作時間0.1秒以下の漏電遮断器を施設すること |
この2つの値がなぜそこなのかは、その記事が次に回した宿題でした。
電流のほうは、表に置けば位置が見えます。15mAは、手が離せなくなる10mAのすぐ上です。 30mAのさらに手前にあります。条文が接地そのものを省かせるときだけ、感度をここまで締めています。
時間のほうは、この記事の表には置けません。電流だけの目安で、時間の軸を持っていないからです。ただし同じ教材は、国際電気標準会議が通電電流と通電時間の組み合わせで領域を分けた資料も紹介しています。心室細動が起こる確率は、通電電流と通電時間の増加で増加する、と書かれています。
条文が電流だけでなく時間も指定していることは、この見方と符合します。符合するだけです。 条文の値が人体への影響から決まったことを示す資料を、私は見ていません。
では、どうするか
ここまでの数字が言っているのは、一つです。電圧が同じでも、濡れているかどうかで電流は桁が変わります。
対策も、そこに戻ります。
汗も濡れです。 雨や水たまりだけの話ではありません。夏の統計が示しているのは、そこです。研究所は夏に多い理由として、発汗で人体の抵抗が低下すること、暑さで肌の露出が増えること、注意力が低下しがちであること、絶縁用保護具の使用を怠りがちになることを挙げています。手が汗ばんでいるかどうかで、同じ充電部に触れたときの電流が変わります。
濡れが効くのは、仕事で電気を扱う人だけではありません。水を使う場所は、洗面所、浴室、台所、そして屋外のコンセントまわりです。危ない電圧が特別な場所にあるのではなく、ふつうの電圧が、濡れる場所にあります。
もう一つ、原因の分類を見ておきます。同じ173人の分析で、漏電や絶縁不良といった設備的な要因は16人、約9パーセントにとどまります。安全管理体制の不備や作業者のエラーなど、設備以外の要因が148人で約86パーセントを占めます。この2つの合計は164人で、残る9人は示されていません。
多くは、設備が壊れて死んでいるのではありません。 検電器で電気が来ていないことを確かめる、停電させたことを確認する、絶縁用保護具を使う。そこを省いたときに起きています。
夏だけ気をつければいい、という話でもありません。研究所はこう書いています。冬には命に別状のなかったヒヤリ・ハットでも、同じことが夏に起これば死亡するといったことも考えられる、と。だから常日頃からヒヤリ・ハットを見過ごさないことが大切だ、と。
平成13年には、厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長から「夏季における感電災害の防止について」という通達も出ています。
なお、感電災害そのものは減り続けています。昭和49年には203人が亡くなっていましたが、平成26年には15人でした。それでも、毎年誰かが亡くなっています。
手元で確かめられます
感電は試せません。代わりにできるのは、自分が扱っている電圧を、この記事の表に載せてみることです。電卓だけで済みます。
- 電圧を500で割る(濡れた条件の抵抗)
- 出た数字はアンペアなので、1000倍してミリアンペアにする
- 電流と反応の表の、どこに落ちるかを見る

たとえば制御回路の交流24Vなら、24 ÷ 500 = 0.048Aで48mAです。50mAの一歩手前に来ます。24Vは、表の外側にはありません。
自分がふだん扱っている電圧が表のどこに来るかを、一度だけ見ておいてください。
なお、この表は交流の値です。さきほど見たとおり直流は事情が違うので、直流の電圧を、この表にそのまま当てることはできません。
まとめ
- 「42Vは死にボルト」は語呂合わせで、許容接触電圧の表に42という数字はありません
- 体に起きることを決めるのは、電圧ではなく流れた電流です
- 人体の抵抗は、濡れても変わらない内部の約500Ωと、濡れると極端に下がる皮膚の10,000Ω以上に分かれます。この記事は乾燥10,500Ω・濡れ500Ωと置き、21倍の差になりました
- 42Vに当てると、乾燥で4.0mA、濡れで84mA。経路が手から胸なら186.7mAです
- 84mAは、心室細動のおそれがある50mAと、死に至る100mAの間にあります
- 乾いていても、100Vなら9.5mA。手を離せなくなるとされる10mAのすぐ下です
- 100V工具の漏電で、安全靴を履きコンクリート土間で作業していて死亡した例があります。乾いていれば安全とは言えません
- ここに出した数字は目安の計算であって、あなたの体の値ではありません
- 仕事中の感電死亡災害では、低圧の105人中91人が6月から9月です。高圧に月の偏りはありません
- 低圧と高圧の死亡者数の比較は、触れる機会が違うため危険度の比較にはなりません
- 条文が接地の緩和や省略に付ける条件は、電流と時間の両方を締めています
この記事の数値と出典について
数値の根拠
- 電流と人体の反応(1・5・10・20・50・100mA)、人体内部抵抗500Ω、皮膚表面抵抗10,000Ω以上、経路別の内部抵抗の比(手-手を100としたとき手-胸は45)、受傷に影響する4つの要因、危険な周波数帯、各国の安全電圧 ── 安全衛生マネジメント協会が公開している低圧電気取扱業務特別教育の教材(本文でいう「教材」)
- 許容接触電圧の4区分 ──(一社)日本電気協会「低圧電路地絡保護指針」(上記の教材が掲載しているものを参照しました)
- 「心室細動が起こる確率は、通電電流と通電時間の増加で増加する」── 国際電気標準会議による人体反応と通電時間・通電電流の区分(上記の教材が参考として掲載しているものです)
- 感電死亡災害の統計(173人、電圧別、月別、原因別、減少傾向)── 厚生労働省「死亡災害データベース」を労働安全衛生総合研究所が分析したもの
- 夏季と冬季の比(19倍)、夏季集中(77パーセント)── 安全衛生年鑑(中央労働災害防止協会編)の統計を同研究所が集計したもの
- 「感電災害の約半分は100Vまたは200V」── 上記研究所の記事が、中央労働災害防止協会「低圧電気取扱者安全必携-特別教育用テキスト-」を引いて示している数字です。この書籍は上記の教材とは別物で、こちらは開いていません。この数字だけ、母集団が死亡災害ではなく感電災害です
- 通達「夏季における感電災害の防止について」── 上記研究所の記事に記載されていたものです。通達そのものは開いていません
- 0.5秒以内(D種接地の緩和)── 電気設備の技術基準の解釈 第17条第4項
- 15mA以下・0.1秒以下(接地工事の省略)── 同 第29条第2項第五号
- 上の2つの条文は、前の記事の制作時に経済産業省が公開している解釈のPDF(最新改正は令和7年11月20日付け)にあたって確認したものを、この記事に引いています
こちらで計算したもの
- 表の電流値はすべて、オームの法則(電流=電圧÷抵抗)による割り算です
- 乾燥10,500Ωは、皮膚表面10,000Ωと内部500Ωを足したものです
- 90.9Vは、D種接地の記事で求めた対地電圧をそのまま使っています
- 手から胸の225Ωは、手から手の500Ωに45/100を掛けたものです。186.7mAは、42Vをその225Ωで割った値です
- 図2には、この186.7mAを入れていません。181.8mAと近すぎて、図の上で重なるためです
書かなかったこと
- 42Vという数字の由来。語呂以外の根拠を確認できていません
- 許容接触電圧の25V・50Vと、電流の目安の50mA・100mAの一致。数値は一致しますが、因果は確認していません
- 漏電遮断器の30mAが人体への影響から決まったという説明。根拠を持っていません
- 各国の安全電圧(ドイツ・イギリス24V、オランダ50V)が現在もその値かどうか。教材の記載をそのまま引いています
- 条文の0.5秒・15mA・0.1秒が人体への影響から決まったという説明。表の値と位置は照らせますが、因果は確認していません
- 低圧と高圧を月別に並べた図。低圧の月別の数字はありますが、高圧は「依存性が見られない」という記述しかなく、並べて描くには高圧の月別を作ることになります
参考にした資料
- (一社)安全衛生マネジメント協会「低圧電気取扱業務特別教育 教育課程」第1章第4節②・③(感電と人体の反応、人体抵抗、許容接触電圧、安全電圧の項を参照)
- 労働安全衛生総合研究所 安衛研ニュース No.88「最近の感電死亡災害の分析と今後の対策」(電圧別・月別・原因別の分析を参照)
- 労働安全衛生総合研究所 安衛研ニュース No.192「夏の感電危険性について」(夏季集中、冬季との比、皮膚抵抗の低下、心室細動の説明を参照)

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