三極法・二極法・クランプ式は、同じものを測っていない ― 接地抵抗計が出した数字の読み方

三極法・二極法・クランプ式は、同じものを測っていない ― 接地抵抗計が出した数字の読み方 保護と保安

接地抵抗計が表示した数字を、点検記録に書き写す。

その数字が何を意味するかは、どうやって測ったかで変わります。

三極法で出した値、二極法(簡易測定)で出した値、クランプ式で出した値。どれも同じ「接地抵抗」という欄に書き込まれます。しかし測っているものが違います。 二つは、合格の判定にしか使えません。 そのうち一つは、単独の接地極では成り立ちません。残る一つだけが、合格と不合格の両方を判定できます。 ただし、その一つも、1回測っただけでは確定しません。

どれかが正しくて、ほかが間違っている、という話ではありません。それぞれ別のものを測っているので、どれが使えるかは、何を知りたいかで決まります。

この記事は手順書ではありません。実際の操作の手順は、お使いの接地抵抗計の取扱説明書に書いてあります。この記事が扱うのは、その手順がなぜそうなっているのかと、出てきた値をどこまで信用してよいのかです。

扱う範囲はD種接地工事(300ボルト以下の低圧用機械器具)を中心にします。300ボルトを超えるものはC種で、基準値が変わります。

接地そのものが何をしている線なのかは、前の記事「アース線をつないでも、外箱の電圧はほとんど下がらない」で扱いました。その記事には、こう書きました。つながって見えることと、決まった通り道になっていることは、別です。 それを確かめるのが、この記事の話です。

接地抵抗計は、接地極の抵抗を直接は測っていない

接地抵抗の測定には、電位降下法という方法が使われます。

考え方はこうです。測りたい接地極をEとして、そこから十分に離れたところにもう一つ接地極Cを打ち込みます。EとCの間に交流電圧をかけると、大地を通って電流が流れます。流れた電流Iと、かけた電圧Vから、E-C間の抵抗が求まります。

ところがこの抵抗には、接地極Cの抵抗も入っています。EとCの二つが直列につながった値になってしまう。これでは使えません。

そこで、E-C間の地面の電位を見ます。

接地極のまわりでは、電流が地面に広がっていく途中で電位が急に落ちます。しかし少し離れると、電流が広い断面に散ってしまうため、それ以上は電位がほとんど変化しなくなります。EのまわりとCのまわりで、それぞれ電位が落ちる。その中間に、どちらの影響も及んでいない平らな部分ができます。

共立電気計器のガイドブックも、こう書いています。

E-C間の電圧変化をみてみると、中央に電圧の変化のない部分が現れます。

この平らな部分からEまでの電圧を測れば、それが接地極Eだけによる電圧降下です。そのために三本目の電極Pを打ち込んで、電圧計をつなぎます。

E-P間の電圧Vpと、E-C間を流れる電流Iから、

接地極Eの抵抗 = Vp ÷ I

が求まります。Pにも接地抵抗はありますが、電圧計の内部抵抗が大きいためP極にはほとんど電流が流れません。だから、この割り算には入ってきません。ただし、P極の接地抵抗が大きくなりすぎると話が変わります。 あとの「地面の状態」で扱います。

このPとCを補助接地極と呼びます。Pが電位電極、Cが電流電極です。

共立電気計器のガイドブックは、最新の規格ではP極をS、C極をHと表示するよう規定されていると説明しており、製品にはS(P)、H(C)と併記されているものがあります。この記事では、本文も図も、従来からのE・P・Cで書きます。

上段は電極の配置。左から、測りたい接地極E、電位電極P、電流電極Cが一直線に地面へ打ち込まれている。EとCのあいだに電流Iを流し、EとPのあいだで電圧Vpを測る。下段は、Eからの距離に対する地面の電位。Eのまわりで急に落ち、中間で平らになり、Cのまわりで再び落ちる。Pはその平らな部分にあり、EからPまでの電圧がVp。接地極Eの抵抗は Vp ÷ I。
図は、Pが平らな部分に入っている場合です。そうなっているかどうかを、表示された数字から知ることはできません。

なお、測定に交流を使う理由を、共立電気計器のガイドブックはこう説明しています。直流を流すと、土の中の水分で水の電気分解と同じ反応が起こり、電極に泡が発生して次第に電流が流れにくくなってしまう。同ガイドブックによれば、周波数は電力系統からの誘導と分けるために商用周波数を避けます。ただし高すぎるとリード線のインダクタンスや静電容量の影響を受けるため、一般には1キロヘルツ以下が使われます。

ここまでが、接地抵抗計が値を出す仕組みです。 直接測っているのは電圧と電流であって、抵抗ではありません。

三極法・二極法・クランプ式は、同じものを測っていない

接地抵抗の測り方は、大きく三つあります。

先に言っておきます。精度の高い順に並んでいるのではありません。 測れる条件も、出てくる値の中身も、判定に使える範囲も違う。

どれを使うかは、腕前ではなく現場の条件で決まります。補助極を打てる地面があるか、その接地極がほかの接地とつながっているか。そこで決まります。

三極法 ── 接地極Eだけの抵抗を測る

三極法は、いま説明した電位降下法そのものです。E・P・Cの三本を一直線に並べ、E-C間に電流を流し、E-P間の電圧を測ります。

補助極をどれくらい離すか。現場でよく聞くのは「5メートルから10メートル」です。

この数字は、法令には書かれていません。

出どころはメーカーの資料です。共立電気計器の接地抵抗計ガイドブックには、こうあります。

測定したい接地極Eと補助接地極PとCはそれぞれ約5~10m間隔で一直線上に配置します。もし障害物があって一直線に配置できない場合は、E-PとE-Cに角度をつけて配置します。この場合は30度以内が目安です。

日置電機のFT3151の取扱説明書(2026年1月 改訂3版)には、こうあります。

正確な測定をするためには、E-S-Hの間隔が5 m程度は必要です。

つまりこの数字は、規格が決めた要求値ではなく、メーカーが実務上の目安として示している値です。 二社が近い数字を出していることから、業界で共有された目安だとは言えます。しかし条文ではありません。

ちなみに、FT3151に付属する測定コードは黄が10メートル、赤が20メートルです。コードを全部引き出した位置に補助極を打てば、自然に10メートル間隔になります。目安の数字と、付属品の長さは対応しています。

三つのうち、合格と不合格の両方を判定できるのは、この方法だけです。

二極法(簡易測定)── 借りてきた接地極の抵抗が、足し算で乗る

補助接地棒が打ち込めない場所があります。全面がコンクリートやアスファルトの敷地、屋内の分電盤まわり。

そこで使われるのが簡易測定、二極法です。既存の接地極を補助極の代わりに使います。

ガイドブックの説明です。

既存のできるだけ小さい接地抵抗の接地極、例えば金属製埋設物、商用電源の共同アース、ビル等の避雷針などを補助接地極として利用して、二極法で測定します。

接地抵抗計のP端子とC端子を短絡し、P側を既存の接地極に、E側を測りたい接地極につなぐ。三極法の三本目が要らなくなるので、二極法と呼ばれます。

このとき、表示される値は次のようになります。

Re(測定値)= Rx(測りたい接地抵抗)+ re(既存の接地極の接地抵抗)

既存側の抵抗が、そのまま足し算で乗ってきます。reが分かっていれば引けますが、分かっていないことのほうが多い。

それでもD種の判定には使えます。 ガイドブックの一文です。

もし測定目的がD種接地(100Ω以下)の基準を満たしているかどうかをチェックするだけであれば、利用する補助接地の抵抗値が不明でも、合計の測定値が100Ω以下であれば、D種接地の基準を満たしていることになるのでOKと判断できます。

足し算の結果が100オーム以下なら、そのうちの一部であるRxは必ず100オーム以下です。だから合格側の判定は、これで確定します。

日置電機のFT3151の取扱説明書も、同じ測定法をこう説明しています。

簡易測定法(2電極法)とは、TT方式と呼ばれる接地方式の機器接地の接地抵抗をチェックするための測定法です。(中略)主にD種接地工事(判定基準100Ω)のチェックに利用されます。

この方法では、測定原理上、測定対象と既設の接地抵抗体の接地抵抗の和(Rx+Ro)が測定値となります。このため、利用する既設の接地抵抗体の接地抵抗値は、測定対象の接地電極よりも低くなければなりません。

商用電源の中性線側を使うことが多いのは、そこにB種接地工事が施されていて、測りたいD種より低いことが期待できるためです。同書は、柱上変圧器のB種接地工事を「数十Ω程度以下」と書いています。ただしB種の抵抗値は現場ごとに決まるもので、いつもその範囲だとは限りません。

ここで注意したいのは、逆が言えないことです。

簡易測定で100オームを超えたとき、不合格とは限りません。超えている分が、測りたい接地極なのか、借りてきた既存接地極なのかが分からないからです。判定できるのは合格側だけで、超えた場合は三極法で測り直すしかありません。

前の記事「アース線をつないでも、外箱の電圧はほとんど下がらない」で、D種接地とB種接地が直列になって100ボルトを分け合う話を書きました。簡易測定で測っているのは、まさにその直列の合計です。

クランプ式 ── 並列につながった他の接地極が要る

補助極を打ち込まずに、接地線をクランプするだけで測れる機種があります。クランプ式接地抵抗計です。

便利ですが、測っているものが違います。

クランプ式は、抵抗を並列につなぐと合成抵抗が小さくなるという性質を使っています。多重接地された系統では、測定対象の接地極Rxのほかに、他の接地R1、R2…Rnが並列につながっています。R1からRnまでの合成抵抗は、数が多いほど小さくなる。十分小さければ無視できて、クランプで測ったループの抵抗がほぼRxになる、という理屈です。

JIS C 60364-6:2010の附属書B(参考)にも、同じことが書かれています。

並列抵抗値R1…Rnは一般に無視できるので,求める抵抗値は,測定したループ抵抗に等しいか又は少し小さい。

読み方に注意が要ります。「小さい」と言われているのは、求める抵抗値のほうです。つまり 真値 ≦ 測定値。裏返せば、クランプ式の測定値は真値以上、つまり高めに出ます。

ここを逆に読むと「低めに出る」ことになり、本当は基準を超えているものを、満たしていると判定してしまいます。

そして、この不等号から一つ言えます。測定値が100オーム以下なら、真値も100オーム以下です。 だからクランプ式も、合格側なら確定します。超えたときに不合格と言えないのは、二極法と同じです。

そして、この理屈は並列の相手がいなければ成り立ちません。共立電気計器のガイドブックは、はっきりこう書いています。

測定原理上、多重接地のように、複数の接地極が並列に接続されている場合でないと測定できませんのでご注意ください(単独接地の場合は使用できません)。

同社の4200/4202について、対応していない接地が具体的に挙げられています。

  • 他の接地との接続がない単独の接地(避雷針等)
  • 本製品の交流電流レンジで2アンペアを超える電流が測定された接地
  • 測定対象の接地抵抗に対し他の接地抵抗が大きい接地
  • 接地抵抗が1500オームを超える接地

「クランプ式を買えば補助極を打たなくて済む」は、条件つきです。 単独の接地極に当てても、意味のある値は出ません。

三つを並べる ── 成り立つ条件と、言えることの違い

表にすると、こうなります。

測り方測っているもの成り立つ条件出た値で言えること
三極法接地極Eだけの抵抗補助極を2本打てる。EとCが互いに影響しない距離にある。P極が平らな部分に入っている合格・不合格の両方。ただし外れる向きは決まらないので、確認の手順が要る
二極法(簡易測定)測りたい接地極と、借りた接地極の合計既存の低い接地極が使える合格だけ。超えたら三極法で測り直す
クランプ式接地ループの抵抗(真値以上)他の接地極が並列につながっている多重接地なら合格だけ。超えたら三極法で測り直す。単独接地では何も言えない

同じ「接地抵抗」という欄に書き込まれますが、中身は同じではありません。

二極法とクランプ式が合格側だけなのは、値が安全側にずれるからです。三極法だけが両方を判定できるのは、接地極Eそのものを測っているからです。

ただし、その三極法には、安全側の保証がありません。 二極法もクランプ式も、測りたい接地極の抵抗に何かが上乗せされた値なので、外れるとしても高い側です。三極法は違います。P極が平らな部分より手前、つまりE寄りにあれば、Eからの電位の落ちを途中までしか拾わないので真値より低く出ます。逆にC寄りに寄りすぎれば、Cのまわりの落ちを拾って真値より高く出ます低く出た値は、危険側です。

だから三極法には、測り方の条件がつきます。

三極法でも、1回測っただけでは真値か分からない

三極法には、まずEとCが互いに影響しない距離にあることが要ります。規格の言い方では、抵抗区域が重なっていないことです。

抵抗区域というのは、さきほどの「電位が落ちていく範囲」のことです。接地極に電流が流れ込むと、そのまわりの大地に電位の傾きができます。傾きが平らになりきるまでの範囲が抵抗区域で、この範囲が重なっていると、Pをどこに置いても「どちらの影響も及んでいない平らな部分」が存在しません。

そして、抵抗区域が重なっているかどうかは目で見て分かりません。 土の状態も、埋設物の位置も、地面の上からは見えない。5メートル離したから大丈夫、という保証はどこにもありません。

見えないうえに、外れる向きも決まっていません。 三極法は低い側にも外れます。高い側にしか外れないなら、確かめなくても合格の判定はできます。低い側にも外れるから、確かめる必要があります。

では、どう確かめるのか。電気設備技術基準の解釈には、測り方を定めた条文はありません。 全文(令和7年11月20日改正版、239ページ)を検索しましたが、接地抵抗の測り方を定めた条文は見つかりませんでした。「補助接地」「電位降下」という語は一度も出てきません。解釈が定めているのは、第17条の抵抗値です。

確認の手順 ── 電位電極を動かして、三度測る

確かめ方は、理屈から出ます。 P極を動かして、もう二度測ります。

最初に測った位置を基準にして、そこから少し遠ざけた位置と、少し近づけた位置。合計三回測って、三つの値がおおむね一致するかを見ます。

なぜこれで確かめられるのか

抵抗区域が重なっていなければ、P極は電位が平らな部分の中にあります。平らなのだから、多少前後に動かしても測れる電圧は変わりません。三つの値は一致します。

逆に抵抗区域が重なっていれば、平らな部分そのものが存在しません。P極を動かせば、そのぶん電圧が変わる。三つの値はばらつきます。

つまり、動かしても値が変わらないこと自体が、抵抗区域が重なっていないことの証拠になっています。1回だけ測って出た値には、この証拠がありません。

ばらついたときは、E-C間の距離を広げて、やり直します。区域が重なっているなら、離すしかないからです。

ただし、これは証拠であって、証明ではありません。 重なっていれば三つはばらつく、とは言えます。その逆、三つ一致したから重なっていない、とまでは言い切れません。それでも、1回だけ測って出した値よりは確かです。

測定中は、接地極を他の供給電源から切り離します。 つないだまま測れば、他の経路を通った電流が測定に混じるからです。

1回だけ測って出した値と、三度測って一致を確かめた値は、同じ数字でも意味が違います。 前者には、その値が真値だという証拠が付いていません。1回だけの値では、合格も不合格も確定しません。 二極法とクランプ式が合格側だけは確定できるのと、そこが違います。

だから、どちらなのかが後から分かる形で残しておくことに意味があります。 これは、この記事の最後でもう一度出てきます。

測る前に確認すること

安全と、測定の成否に直接かかわる項目です。

地電圧

三極法の手順の中で、接地抵抗を測る前にレンジを地電圧測定に切り替えて確認するよう、ガイドブックは書いています。

その電圧が3V以下であることを確認してください。3V以上の場合は測定に大きな誤差を生じる可能性がありますので、被測定接地体(E極)を使用している機器の電源を切るなどして、地電圧を低くしてから接地抵抗の測定を行ってください。

地電圧が出る原因は、E極につながっている機器やその他の機器の絶縁劣化による電流の流れ込みだと説明されています。

だとすれば、地電圧が高いこと自体が情報です。 測れないから電源を切って測り直す、で終わらせずに、記録に残す価値があります。

ただし、地電圧の原因はこれだけとは限りません。低ければ絶縁が健全だ、という意味にもなりません。

なお、同ガイドブックは注記で、測定器によっては10ボルトまで測定可能な場合もあるため、使用する接地抵抗計の取扱説明書で確認するよう添えています。

絶縁抵抗の測り方は、別の記事「「0.1メガオーム以上」は、健全という意味ではない」に書きました。

地面の状態

ガイドブックは、補助接地極PとCの接地抵抗が大きいと測定に影響するとして、補助接地極はできるだけ湿気の多い土の部分に打ち込むよう書いています。乾いた場所、小石の多い場所、砂地では、打ち込んだ部分に水をかけて湿らせる。コンクリート面では補助接地極を寝かせて水をかけるか、濡れ雑巾をかける。

さきほど「P極にはほとんど電流が流れないので、この割り算には入ってこない」と書きました。その前提が、ここで崩れます。

値が思ったとおりに出ないとき、疑う先は測りたい接地極だけではありません。 補助極の打ち込みが浅い、地面が乾いている、という側にも原因があり得ます。

そして、アスファルトでは測定できません。 絶縁物だからです。

商用電源を借りるときの注意

二極法で商用電源の中性線側を使う場合、日置電機の取扱説明書には強い警告が並んでいます。

  • 接続前に必ず検電器などでアース側を確認してから接続する
  • 接続するときにはE端子を最初に接続する
  • 接続できるのは対地電圧300ボルト以下のコンセントのニュートラル側のみ

同書によれば、誤って活電部に接続して85ボルト以上が入力されると警告ブザーが鳴ります。ただし漏電遮断器を備えた電源ラインでは、警告ブザーが鳴る前にブレーカが動作する場合があるとも書かれています。

ブザーは最後の砦であって、最初の確認ではありません。 検電器で確かめてから触る、が先です。

漏電遮断器が何を見て動いているかは、別の記事「配線用遮断器は、地絡を地絡として見ていない」で説明しています。

出た値をどう判定するか

D種接地工事の抵抗値は、電気設備技術基準の解釈 第17条第4項に定められています。

原則は100オーム以下。ただし、低圧電路において地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500オーム以下とされています。

同条第6項には、もう一つ規定があります。D種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が100オーム以下である場合は、D種接地工事を施したものとみなす、というものです。この場合、E端子をつなぐ先は接地極ではなく、その金属体そのものです。

ただし、さきほど引いた「すべての他の供給電源から切り離す」という条件は、この場合も同じです。

条文の詳しい読み方と、なぜ抵抗値と遮断時間がセットになっているのかは、前の記事「アース線をつないでも、外箱の電圧はほとんど下がらない」にまとめています。

一点だけ、ここでも書いておきます。100オーム以下であることは、安全であることを意味しません。 前の記事で計算したとおり、対地電圧を100ボルト、B種接地を10オームと置いた場合、D種が100オームなら地絡した機器の外箱には最大で90.9ボルトが現れます。前の記事は、この表を地絡そのものに抵抗がないものとして計算しています。100オームという値は、そこまで許容したうえでの上限です。

測定値が基準を満たしていることと、触っても危なくないことは、別の話です。

手元で確かめられます

接地抵抗計が手元にあるなら、端子を見てください。 補助極を使うタイプなら、E・P・C、またはE・S(P)・H(C)と、三つ並んでいるはずです。付属の測定コードの長さも見てください。補助極をどこまで持っていく道具なのかが、そこに出ています。

そのうえで、点検記録を開いてみてください。

接地抵抗の値の隣に、測定方法が書いてありますか。 三極法なのか、二極法なのか。二極法なら、どこの接地極を借りたのか。三極法なら、三度測って一致を確かめたのか、1回で済ませたのか。

書いていなければ、次の点検から、値の隣に測定方法を書き足してください。 様式を変えなくても、備考欄に一言入れば足ります。三度測ったかどうかが残っていれば、その値には証拠が付きます。

この記事のとおりなら、二極法の値は測りたい接地極の抵抗そのものではありません。同じ設備を、ある年は三極法で、次の年は二極法で測っていれば、値が上がったように見えても、測り方が変わっただけということがあり得ます。

測定日も見てください。 土の含水率が変われば接地抵抗は変わります。毎年同じ季節に測っているかどうかで、値の並びの意味が変わります。

数字だけを並べて傾向を語る前に、その数字がどう作られたかを見る。

まとめ

  • 接地抵抗計が直接測っているのは電圧と電流であって、抵抗ではない。電位降下法で、接地極のまわりの電位が落ちきった「平らな部分」までの電圧から抵抗を出している
  • 三極法・二極法・クランプ式は、同じものを測っていない。 精度の高い低いではなく、測れる条件も、出た値の意味も違う
  • 三極法は接地極Eだけの抵抗を測る。三つのうち、合格と不合格の両方を判定できるのはこの方法だけ。ただし、外れる向きが決まっていないのもこの方法だけ。低く出た値は危険側。1回だけの値では、合格も不合格も確定しない。
  • 二極法(簡易測定)の値は Rx+re。合計が100オーム以下ならD種の基準を満たしていると判定できる。ただし逆は言えず、超えた場合は三極法で測り直す
  • クランプ式は並列につながった他の接地極があってはじめて成り立つ。単独接地には使えない。規格が「等しいか又は少し小さい」と書いているのは求める抵抗値のほうで、測定値は真値より高めに出る。だから合格側だけ確定でき、超えたら三極法で測り直す。二極法と同じ
  • 補助極を離す「5メートルから10メートル」という数字は、法令には書かれていない。メーカーが実務上の目安として示している値
  • 三極法には抵抗区域が重なっていないことが要る。重なっているかは目で見て分からない。P極を前後に動かしてもう二度測り、三つがおおむね一致するかで確かめる
  • 動かしても値が変わらないこと自体が、測定が成立していることの証拠になっている。 ただし証拠であって証明ではない。三つ一致したから重なっていない、とまでは言い切れない
  • 測る前に地電圧を確認する。ガイドブックはその原因を絶縁劣化による電流の流れ込みだと説明している。だとすれば、地電圧が高いこと自体が情報になる。ただし原因はこれだけとは限らず、低ければ絶縁が健全だという意味にもならない
  • 100オーム以下であることは、安全であることを意味しない
  • 同じ「接地抵抗」欄の数字でも、測り方が書いていなければ意味が決まらない。 三極法か二極法か、三極法なら三度測ったかどうかを、値の隣に残す

この記事の数値と出典について

この記事で出した数値の出どころを分けて書きます。

法令に由来するもの

  • D種接地工事 100オーム以下、0.5秒以内の自動遮断で500オーム以下 ── 電気設備技術基準の解釈 第17条第4項
  • 金属体と大地との間が100オーム以下ならD種を施したものとみなす ── 同 第17条第6項

JISに由来するもの

  • クランプ法の値が「等しいか又は少し小さい」 ── JIS C 60364-6:2010 附属書B(参考・方法B3)
  • この附属書は「(参考)」であり、規定ではありません。 またJIS C 60364は、日本で接地工事を規律している文書ではありません

メーカーの公開資料に由来するもの

  • 約5〜10メートル間隔、30度以内、地電圧3ボルト以下、機種によっては地電圧を10ボルトまで測定できること、アスファルトでは測定できない、交流を使う理由と「1キロヘルツ以下」という周波数、二極法の Re=Rx+re、単独接地でクランプ式が使えないこと ── 共立電気計器「接地抵抗計ガイドブック」
  • E-S-H間隔が5メートル程度は必要、付属測定コードが黄10メートル・赤20メートル、二極法の Rx+Ro、クランプ式が使えない条件(交流2アンペアを超える、接地抵抗1500オームを超える、など)、商用電源を使う際の警告(対地電圧300ボルト以下のコンセントのみ、85ボルト以上の入力でブザー) ── 日置電機 FT3151 取扱説明書(2026年1月 改訂3版)

前の記事から持ってきたもの

  • 対地電圧100ボルト、B種10オーム、D種100オームのとき外箱に現れる最大90.9ボルト ── 前の記事「アース線をつないでも、外箱の電圧はほとんど下がらない」の計算
  • この記事でも計算し直して、同じ値になることを確認しました

書かなかったこと

  • 内線規程(JEAC 8001)の記述。有償のため確認していません
  • 個々の測定器の性能比較

参考にした資料

  • 電気設備に関する技術基準を定める省令 第11条(e-Govで条文を確認)
  • 電気設備の技術基準の解釈 第17条第4項・第6項(経済産業省の公開PDF `dengikaishaku.pdf` 令和7年11月20日改正版で条文を確認)/同PDF全239ページをテキスト抽出し、「接地抵抗」「測定」「測定方法」「補助接地」「電位降下」で全文検索。測定方法を定めた条文は見当たらなかった
  • JIS C 60364-6:2010 低圧電気設備-第6部:検証 附属書B(参考)方法B3(本文を確認)
  • 共立電気計器株式会社「接地抵抗計ガイドブック」(全文を確認)
  • 日置電機株式会社 FT3151 取扱説明書 FT3151A980-03(2026年1月 改訂3版、本文を確認)

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