「受変電設備」と「キュービクル」は、指している範囲が違います。
受変電設備は、高圧などの電気を受け入れて、使う電圧に変えるための設備一式です(電機メーカーのダイヘンの説明による)。キュービクルは、その機器一式を一つの金属製の外箱に収めた形のことで、正式には「キュービクル式高圧受電設備」と呼ばれます。受変電設備の機器は、キュービクルに収めずに電気室などに設置されることもあります。その形はキュービクルとは呼びません。
受変電設備は、電気を受けて電圧を変える設備のまとまり
電機メーカーのダイヘンは、受変電設備をこう説明しています。
発電所から変電所を通して送られてくる高圧の電気を受け入れて、最終的に使用できる電圧に変換するための設備一式を「受変電設備」と呼びます。
同じページに挙がっている構成機器は、区分開閉器、断路器、負荷開閉器、遮断器、変圧器、保護継電器、制御装置、計測機器、配線用遮断器などです。そのうえで、これらの機器は「需要家構内の電気室などに設置されるか、キュービクルと言われる金属製の箱の中に収納して設置されます」と書いています。
ダイヘンの説明では、機器を電気室などにそのまま置いても、金属製の箱に収めても、受変電設備です。
消防庁告示第7号は、「受電設備」と「変電設備」を分けて定義している
受電と変電を分けて決めている文書もあります。昭和50年の消防庁告示第7号「キュービクル式非常電源専用受電設備の基準」は、この告示の中での言葉として、次のように書いています。
| 告示での呼び方 | 告示の定義(原文) |
|---|---|
| 受電設備 | 電力需給用計器用変成器及び主遮断装置並びにこれらの付属機器 |
| 変電設備 | 変圧器及びこれの付属装置 |
非常電源のための設備についての告示なので、ほかの場面でもこの線引きが使われるとは限りません。次の節の「キュービクル式高圧受電設備」は、変圧器まで含めて「受電設備」と呼んでいます。
キュービクルは、高圧受電の機器一式を一つの金属製の外箱に収めた形
日本電気協会 中部支部は、キュービクルをこう説明しています。
キュービクルとは、”キュービクル式高圧受電設備”の略称で、電気事業者から高圧で受電するための機器および変圧器、コンデンサ、その他の保安装置などの機器一式を一つの金属製の外箱に収めた受電設備をいいます。
盤メーカーの日東工業の説明も同じで、高圧受電設備は「高圧で受電するための機器一式を金属製の箱に収めた設備」です。日東工業によると、立方体(キューブ)の形から、キュービクルとも呼ばれます。中部支部は特徴として、所要床面積が少なくて済むこと、専用の部屋が要らず、地下室・屋上・構内の一部などに設置できることを挙げています。

JIS C 4620の対象は、6.6kV・受電設備容量4,000kVA以下のキュービクル
キュービクルを対象にした日本産業規格(JIS)に、JIS C 4620「キュービクル式高圧受電設備」があります。2023年12月20日に改正されたJIS C 4620:2023は、2018年版を置き換えたものです。1(適用範囲)は、対象をこう決めています。
この規格は,需要家が一般送配電事業者,特定送配電事業者及び配電事業者(以下,一般送配電事業者などという。)から受電するために用いるキュービクル式高圧受電設備(以下,キュービクルという。)で,公称電圧6.6kV,周波数50Hz又は60Hzで系統短絡電流12.5kA以下の回路に用いる受電設備容量4000kVA以下のキュービクルについて規定する。
次のものは、この規格の対象に入りません。
- 公称電圧が6.6kVでない回路に用いるもの(7,000Vを超える特別高圧で受電する設備など)
- 系統短絡電流が12.5kAを超える回路に用いるもの
- 受電設備容量が4,000kVAを超えるもの
一般送配電事業者などから受電するために用いるもの、という条件もあります。ダイヘンは、7,000Vを超える特別高圧の電気を受け入れるには「特高受変電設備」が要ると書いています。製品の欄にも「特高受配電設備」(36kV・24kV)があります。
キュービクルは工場で組み立てて運び、開放形は現地で組み立てる(ダイヘンの比較)
ダイヘンは、キュービクルと比べる相手として、現地で機器を据え付け、機器のあいだを配線し、組み立てる「開放形」を示しています。日東工業の商品紹介には、キュービクルと並んで「開放形高圧受電盤」があります。
ダイヘンは、キュービクルと開放形を次のように比べています。組み立て方の違いは、工期が短くなる理由として書かれています。
| 比べるところ | キュービクル式 | 開放形 |
|---|---|---|
| 組み立て | 工場で完成させ、1〜3面(盤の枚数)ごとに分けて運び、据え付けたあと分けたところの配線をつなぐ | 現地で機器を据え付け、機器のあいだを配線し、組み立てる |
| 工期 | 開放形より短くできる | — |
| 屋外に置くとき | 開放形に比べて、風雨や外気、日射の影響を少なくできる | — |
表の「—」は、ダイヘンの説明に書かれていないところです。
ダイヘンは、ほかの利点も挙げています。金属製の箱に収めるので、充電部などがむき出しにならず、小動物などの侵入を防げることです。一方で、一般的には1,000kVAを超える大形の変圧器の収納は難しい、とも書いています。これは変圧器の大きさの話です。JIS C 4620の4,000kVAは、この規格が対象にする受電設備容量の上限です。
ダイヘンは、あとから設備を広げるときに大きなコストと時間がかかることも、キュービクルの注意点にしています。確かめる点として示しているのは、次の3つです。
- 増設用の開閉器や空き回路があるか
- 追加のキュービクルを置く場所があるか、配線用のピットを施工できるか、フェンスを含めた用地を確保できるか
- 屋上なら、クレーンで吊り上げる場所があるか、吊り上げに公道を使う必要があるか
制度の上でも、キュービクル式かどうかが関わる(月次点検の頻度、推奨と認定)
外部委託の月次点検の頻度:屋内のキュービクル式は、第9号の条件の一つ
電気主任技術者を外部に委託するときの月次点検(運転中の点検)の頻度は、平成十五年経済産業省告示第二百四十九号の第4条で決まっています。需要設備は、原則として毎月1回以上です(第10号)。
第7号は、2つの需要設備を隔月1回以上としています。次のイからニまでの設備条件をすべて満たし、設備容量が100kVA以下のものと、低圧受電のものです。
- イ 柱上に高圧変圧器がない(あるときは、その変圧器と支持物が落下しないように設置し、変圧器の上面を適確に点検できるようにしてある)
- ロ 高圧負荷開閉器(キュービクル内に設置するものを除く)に、可燃性絶縁油を使っていない
- ハ 保安上の責任分界点か、その近くに、地絡保護継電器付高圧交流負荷開閉器か地絡遮断器がある
- ニ 責任分界点から主遮断装置までのあいだに、電力需給用計器用変成器、地絡保護継電器用変成器、受電電圧確認用変成器、主遮断器用開閉状態表示変成器、主遮断器操作用変成器のほかに、変成器がない
第9号は、次の場合を3か月に1回以上としています。
第七号に適合する需要設備であって、次のイ及びロの設備条件に適合するものにあっては三月に一回以上 イ 受電設備がキュービクル式であるもの(屋内に設置するものに限る。) ロ 蓄電池設備又は非常用予備発電装置がないもの
第9号で3か月に1回以上になるには、第7号の条件に加えて、受電設備が屋内のキュービクル式であることが条件の一つです。告示第4条の第7号から第10号までは、記事「「年次点検は年1回」は誰が決めたのか」で表にしています。
推奨と認定は、目的が違う制度
キュービクルには日本電気協会の推奨と認定の制度があり、日東工業はそれぞれに適合した製品を「推奨品」「認定品」と呼んでいます。名前は似ていますが、目的が違う制度です。日本電気協会 中部支部の説明では、認定キュービクルの目的は「消防設備等の電源確保」、推奨キュービクルの目的は「電気安全の確保」です。表は、中部支部と日東工業の説明からまとめました。
| 推奨品 | 認定品 | |
|---|---|---|
| もとになる規程 | キュービクル式高圧受電設備推奨規程 | キュービクル式非常電源専用受電設備認定規程 |
| 目的 | 信頼度の高いキュービクルの普及で、波及事故と感電死傷事故を防ぐ | 消防設備等の電源を確保する |
| 関係する基準 | 推奨基準で審査し、JIS C 4620に適合 | 消防庁告示第7号「キュービクル式非常電源専用受電設備の基準」 |
中部支部によると、推奨キュービクルは、消防法令にもとづき消防長(消防署長)が火災予防上支障がないと認める構造をもつものです。屋内に置く場合は、火災予防上、不燃材で区画された室に置いた場合と同等に扱われます。屋外に置く場合は、建築物から3m以上離すという決まりが、1m以上に緩められています。実際に置くときは、所轄の消防の扱いを確かめてください。
自分の設備がどれに当たるかを確かめる順番
本文の内容をもとに、確かめる順番をまとめます。
- 機器一式が一つの金属製の外箱に収まっているか。収まっていればキュービクル式、現地で機器を据え付けて組み立てていれば開放形
- キュービクル式なら、JIS C 4620の対象の範囲かを見る。対象は、一般送配電事業者などから受電し、公称電圧6.6kV・系統短絡電流12.5kA以下の回路に用いる、受電設備容量4,000kVA以下のキュービクル
- 電気主任技術者を外部に委託しているなら、月次点検の頻度が告示第4条のどの号に当たるかを見る。屋内のキュービクル式であることは、第9号(3か月に1回以上)の条件の一つ。第9号には、第7号に適合することと、蓄電池設備・非常用予備発電装置がないことも要る
- 推奨品か認定品かを分けて確かめる。推奨品は、屋内・屋外に置くときの消防上の扱いが変わるので、置き場所を決めるときは所轄の消防に扱いを確かめる
まとめ
- 受変電設備は、高圧などの電気を受け入れて、使う電圧に変えるための設備一式
- キュービクルは、「キュービクル式高圧受電設備」の略で、機器一式を一つの金属製の外箱に収めた形
- 受変電設備には、現地で機器を据え付けて組み立てる開放形もある
- JIS C 4620:2023の対象は、公称電圧6.6kV、系統短絡電流12.5kA以下の回路に用いる、受電設備容量4,000kVA以下のキュービクル
- 外部委託の月次点検の頻度では、告示第4条第9号で3か月に1回以上になる条件の一つが、屋内のキュービクル式であること
- 日本電気協会の推奨は電気安全の確保、認定は消防設備等の電源確保を目的とした制度
参考にした資料
閲覧日はすべて2026年10月14日です。
- ダイヘン「受変電設備とは?役割や構成について」(https://www.daihen.co.jp/technologygeeks/cat01/cat01_03/120/ )
- ダイヘン「キュービクルとは?導入のメリットや注意点を紹介」(https://www.daihen.co.jp/technologygeeks/cat01/cat01_03/126/ )
- 日東工業「高圧受電設備」商品紹介(https://www.nito.co.jp/products/high-voltage-power-receiving-facilities/ )
- 日本電気協会 中部支部「キュービクル式高圧受電設備の概要」「キュービクル式受電設備の認定・推奨」「キュービクル式高圧受電設備の推奨」(https://www.chubudenkikyokai.com/cubicle/system.html 、https://www.chubudenkikyokai.com/cubicle/ 、https://www.chubudenkikyokai.com/cubicle/recommend.html )
- JIS C 4620:2023 キュービクル式高圧受電設備(日本規格協会の公開プレビュー、PDF)── 表紙、まえがき、1(適用範囲)(https://webdesk.jsa.or.jp/preview/pre_jis_c_04620_000_000_2023_j_ed10_ch.pdf )
- 消防庁告示第7号「キュービクル式非常電源専用受電設備の基準」(PDF)── 第二(種類)(https://www.fdma.go.jp/laws/kokuji/assets/s50_kokuji7.pdf )
- 平成十五年経済産業省告示第二百四十九号(PDF)── 第4条第7号・第9号・第10号(https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/files/tenkenhindokokuji.pdf )
このサイトの記事
- 「「年次点検は年1回」は誰が決めたのか ― 外部委託の内規と、保安規程が決める頻度」(https://www.kousotsu-denkiman.com/nenji-tenken-hindo/)

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