VCT(計器用変圧変流器)は、高圧で受電する需要場所で、取引用の電力量計と組み合わせて使う変成器です。東京電力パワーグリッドの託送供給等約款では、計量器と変成器は原則として同社が選定・所有し、同社の負担で取り付けます。高圧のVCTと組む電子式の電力量計の有効期間は7年です(計量法施行令 別表第三)。VCTそのものに、計量法上の有効期間の規定はありません。日本電気計器検定所(JEMIC)の説明では、この7年の電力量計と組む場合、VCTの使用期間は実質21年です。
| 項目 | 内容 | 資料 |
|---|---|---|
| 所有と取付け | 原則として東京電力パワーグリッドが選定・所有し、同社の負担で取り付ける。取付場所は需要者が無償で提供する | 東京電力パワーグリッド 託送供給等約款 63 |
| 計器の有効期間 | 高圧のVCTと組む電力量計は、電子式7年、機械式5年 | 計量法施行令 別表第三、JEMIC |
| VCTの有効期間 | 規定はない。VCTの合番号に表示された日から14年以内なら、合番号などを書いた書面を出すことで、VCTを添えずに計器だけで変成器付電気計器検査を受けられる(JEMICの呼び方で特別検定) | 計量法施行令 別表第三、計量法 第73条第2項ただし書、特定計量器検定検査規則 第4条第5項・第6項、JEMIC |
| VCTの使用期間 | 有効期間7年の計器と組む場合、実質21年 | JEMIC |
| 異状に気づいたら | すみやかに東京電力パワーグリッドに知らせる | 同約款 76 |

VCTは計器用変圧変流器。VTで電圧を、CTで電流を下げる
JIS C 1736-1:2021は、計器用変成器を「変流器,計器用変圧器及び計器用変圧変流器の総称」としています。VCTは、このうちの計器用変圧変流器です。
JEMICの説明では、計器用変圧器(VT)は高電圧を低電圧(110V等)に、変流器(CT)は大電流を小電流(5A)に変えます。関西電力の2004年の資料によると、高電圧・大電流で受電する場合は計量器に直接つなげないので、変成器で小さく変えてから計量します。
東京電力パワーグリッドの約款では、VCTと電力量計は原則同社の所有
東京電力パワーグリッドの託送供給等約款(令和8年11月1日実施の版)の63は、料金の算定に必要な計量器と、その付属装置について定めています。付属装置は、計量器箱、変成器、変成器の2次配線などです。
- 原則として、同社が選定し、同社の所有とし、同社の負担で取り付ける
- ただし、契約者(小売電気事業者など)の希望で付属装置を施設する場合や、変成器の2次配線などで特に多額の費用がかかる場合は、契約者の負担で取り付けてもらうことがある
- 取付位置は、適正な計量ができ、検査と取付け・取外しの工事が容易な場所とし、協議で決める
- 取付場所は、需要者から無償で提供してもらう
同じ約款の43では、計量器などの取付け・取外し・検査のための立入りを、正当な理由がない限り需要者が承諾します。
同社の資料「高圧電気設備の概要について」の単線結線図では、①開閉器(PAS)、②高圧引込ケーブル、③VCT(変成器)の順に番号が付きます。VCTと計器には「当社設備」と注記があり、図の中に「キュービクル内部」の表示があります。
ここで挙げたのは東京電力パワーグリッドの約款と資料です。ほかの一般送配電事業者は、それぞれの約款で確かめます。
有効期間は電力量計の側。7年の計器と組むVCTは実質21年
計量法第16条第2項は、電気計器を変成器とともに取引に使う場合の決まりです。変成器付電気計器検査に合格し、同じ合番号が付いた計器と変成器を組み合わせて使います。合番号は、検査に合格した計器と変成器に付ける共通の番号で、VCTの合番号には検査を行った日が表示されます(同法第74条第2項)。
検定証印の有効期間の一覧は、計量法施行令 別表第三にあります。電力量計のうち、定格一次電圧が300Vを超える計器用変圧器と組むもの(高圧のVCTと組む電力量計はこれに当たります)は、電子式なら五ロ(3)で7年です。機械式(電子式でないもの)で定格電流5Aのものは、五ハで5年です。JEMICの表でも、定格電流5Aの変成器付計器は電子式7年・機械式5年となっています。別表第三に、変成器の行はありません。
VCTの合番号に表示された日から14年(特定計量器検定検査規則 第4条第5項)を経過していなければ、合番号などを書いた書面を出すことで、VCTを添えずに計器だけで変成器付電気計器検査を受けられます(計量法第73条第2項ただし書、同規則第4条第6項)。JEMICはこれを特別検定と呼び、検定証印の有効期間が7年の変成器付計器の場合、変成器の使用期間は実質的に21年になると説明しています。有効期間についても、「変成器については、検査の有効期間は明記されていませんが、特別検定を受けられる期間から、実質的に決まってきます」としています。
東京電力パワーグリッドの低圧の組合せ計器の資料は、計量器と変成器について「計量法でそれぞれ有効期間が定められており」と書いています。条文とJEMICの説明では、有効期間が定められているのは計器の側です。
取替工事の費用は、東京電力パワーグリッドでは原則同社の負担
約款の63では、計量器と付属装置は原則として同社の負担で取り付けます(63のただし書の場合は、契約者の負担になることがある)。同社の「発電側計量関連工事における工事費負担金について」のページ(小売電気事業者や発電事業者向け)も、供給地点(需要者)の計量器関連工事では、原則として工事費負担金は発生しないとしています。
高圧のVCTの取替で停電が要るかは、一般送配電事業者に確かめる
東京電力パワーグリッドの低圧の組合せ計器の資料によると、計量器と変成器を同時に取り替える場合は、これまで事前に知らせたうえで停電工事で取り替えてきました。停電工事が難しい場合は、無停電工法で取り替えるとしています。どちらも低圧の話です。
高圧受電のVCTの取替で停電が要るかは、この記事で参照した資料には見当たりません。一般送配電事業者(東京電力パワーグリッド管内なら同社)に確かめ、その事業場の電気主任技術者か、外部委託なら委託先に相談します。
VCTと計器には触らない。異状は東京電力パワーグリッドに知らせる
約款の76では、需要者が、計量器など需要場所内の同社の電気工作物に異状や故障、そのおそれがあると認めた場合、すみやかに同社に知らせます。JEMICによると、検定に合格した計器は、内部に触れることのできないように封印されています。
VCTの中には変流器(CT)があります。CTは、一次側に電流が流れている状態で二次側を開放すると、二次側に高電圧が出ます(パナソニックの用語解説)。
乗率は電圧比×電流比(関西電力の2004年の資料)
この資料によると、計量装置の表示から実際の使用量を出すには、電圧比と電流比を掛けます。この掛ける値が乗率です。
- 電圧比:6,600V→110Vで60倍
- 電流比:50A→5Aで10倍
- 乗率:60×10=600倍
同じ資料の添付図には、計器と変成器の組み合わせを誤ると乗率がずれる例があります。50Aの変成器に20A用の計器を組み合わせると、表示は実際の2/5になる、という例です。電子式の計器で乗率をどう扱っているかは、この資料からは分かりません。
自分の設備のVCTを確かめる順番

盤は開けずに、図面と問い合わせで確かめます。
- 単線結線図で、VCTの位置を見る。一般送配電事業者の設備か図面で分からなければ、一般送配電事業者に確かめる。東京電力パワーグリッドの資料では、PAS、高圧引込ケーブル、VCTの順に番号が付き、VCTと計器に「当社設備」の注記がある
- 取替の時期を知る。高圧のVCTと組む電力量計は、電子式7年・機械式5年。7年の計器と組むVCTは実質21年(JEMIC)。満了の年月は検定証印に表示される(計量法第72条第2項)。盤の外から見えなければ一般送配電事業者に確かめる
- VCTと計器には触らない。異状は一般送配電事業者に知らせる。東京電力パワーグリッドの約款76では、すみやかに同社に知らせる
- 取替工事で停電が要るかは一般送配電事業者に確かめ、電気主任技術者か委託先に相談する
- 請求の電力量が合わないと感じたら、乗率(電圧比×電流比)が合っているかを一般送配電事業者に確かめる
まとめ
- VCTは計器用変圧変流器。VTで高電圧を110V等に、CTで大電流を5Aに変えて、取引用の電力量計につなぐ(JIS C 1736-1、JEMIC)
- 東京電力パワーグリッドの約款では、計量器と変成器は原則として同社が選定・所有し、同社の負担で取り付ける。取付場所は需要者が無償で提供する
- 計量法上の有効期間(検定証印の有効期間)は電力量計の側にある。高圧のVCTと組む電力量計は、電子式7年・機械式5年。VCTに有効期間の規定はない
- VCTの合番号に表示された日から14年以内なら、合番号などを書いた書面を出すことで、計器だけで変成器付電気計器検査を受けられる(計量法第73条第2項ただし書、特定計量器検定検査規則 第4条第5項・第6項)。JEMICはこれを特別検定と呼ぶ。7年の計器と組む場合、VCTの使用期間は実質21年(JEMIC)
- VCTと計器には触らない。東京電力パワーグリッドの約款では、異状はすみやかに同社に知らせる。高圧受電のVCTの取替で停電が要るかは、一般送配電事業者に確かめる
- 乗率は電圧比×電流比。6,600V/110V・50A/5Aなら600倍(関西電力の2004年の資料)
参考にした資料
- 計量法 第16条・第72条・第73条・第74条(e-Gov法令検索、閲覧日:2026-10-20)
- 計量法施行令 別表第三(e-Gov法令検索、閲覧日:2026-10-20)
- 特定計量器検定検査規則 第4条(e-Gov法令検索、閲覧日:2026-10-20)
- 日本規格協会 JIS C 1736-1:2021 計器用変成器(電力需給用)-第1部:一般仕様(プレビュー、適用範囲・用語)(https://webdesk.jsa.or.jp/preview/pre_jis_c_01736_001_000_2021_j_ed10_ch.pdf 、閲覧日:2026-10-20)
- 日本電気計器検定所「電気計器等の検定・検査」(https://www.jemic.go.jp/kentei/dk_kentei.html 、閲覧日:2026-10-20)
- 東京電力パワーグリッド「託送供給等約款」(令和8年11月1日実施)43・63・76(https://www.tepco.co.jp/pg/consignment/notification/pdf/takusou_yakkan20260911.pdf 、閲覧日:2026-10-20)
- 東京電力パワーグリッド「低圧組合せ計器(変成器付計量器)の取替工事に対する無停電工法の導入について」(2023年8月31日)(https://www.tepco.co.jp/pg/consignment/retailservice/pdf/teiatsu_keiki.pdf 、閲覧日:2026-10-20)
- 東京電力パワーグリッド「高圧電気設備の概要について」(2023年11月)(https://www.tepco.co.jp/pg/consignment/retailservice/pdf/H_setsubi.pdf 、閲覧日:2026-10-20)
- 東京電力パワーグリッド「発電側計量関連工事における工事費負担金について」(https://www.tepco.co.jp/pg/consignment/retailservice2/construction-costs.html 、閲覧日:2026-10-20)
- 関西電力「電気使用量計量装置の一部乗率誤りに伴う電気料金の誤請求について」(2004年8月24日)と添付資料(https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2004/0824-2j.html 、https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2004/__icsFiles/afieldfile/2004/08/24/1.pdf 、閲覧日:2026-10-20)
- パナソニック TERASU辞書「計器用変流器」(https://www2.panasonic.biz/jp/terasu/skill/dictionary/currenttransformer.html 、閲覧日:2026-10-20)

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