クレーンの性能検査で電気は何を見られるか ― 条文の「構造及び機能」と月例点検

記事のアイキャッチ画像です。作業着の男性が工場の天井クレーンを見上げ、カピバラのぬいぐるみが「月例点検」のファイルを抱えています。画像に「クレーンの性能検査で、電気は何を見られるか」「電気の項目が条文に名前で出てくるのは、月例の定期自主検査と作業開始前の点検(クレーン則)」という文字が入っています。 受変電と保全

工場のクレーンに、性能検査の日が近づいています。電気の担当として、検査では何を見られるのか。毎月の点検とは、何が違うのか。

この記事は、この2つの問いに、クレーン等安全規則、労働安全衛生法と同施行令、クレーン構造規格の原文と、ある登録性能検査機関の案内で答えます。私はプラントの電気保全で、クレーンとボイラーの電気系の性能検査を、受ける側で担当していました。今はクレーンメーカーで電気制御の設計をしています。

先に答えを書きます。性能検査について条文が求めているのは、クレーンの各部分の「構造及び機能」の点検と、荷重試験です。電気の項目は、そこに並んでいません。クレーン等安全規則の検査と点検の条文で、電気の項目が名前で出てくるのは、事業者が自分で行う月例の定期自主検査と、作業開始前の点検のほうです。私が保全側で担当したクレーンの電気系の性能検査は、主に絶縁測定と電流値でした(1つの職場の経験です)。

性能検査は、検査証の有効期間を更新するための検査

性能検査の対象になるクレーンが落成検査に合格すると、所轄の労働基準監督署長から、申請書を出した者に、クレーン検査証が交付されます(クレーン等安全規則第9条第1項)。検査証には有効期間があり、それを更新するための検査が性能検査です。

労働安全衛生法(以下、安衛法)第41条第2項は、こう定めています。

検査証の有効期間の更新を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録性能検査機関」という。)が行う性能検査を受けなければならない。

検査をするのは、厚生労働大臣の登録を受けた登録性能検査機関です。事業者や保全の担当者が自分で行う検査ではありません。たとえば東京労働局が公開している都内の一覧(令和7年10月16日現在)では、クレーンの欄に3つの機関の名前があります。

合格したあとの扱いは、クレーン等安全規則(以下、クレーン則)第43条にあります。登録性能検査機関は、性能検査に合格したクレーンについて、検査証の有効期間を「更新するものとする」とされています。

なお、労働基準監督署長が性能検査の業務の全部または一部を自ら行う場合の規定も、クレーン則の第41条と第43条の2に置かれています。この場合、申請書は所轄の労働基準監督署長に出します。

検査証そのものは、作業の場所に置いておくものです。第16条は、事業者に、クレーンを使って作業を行うときは、その場所に検査証を「備え付けておかなければならない」と定めています。

性能検査の対象は、つり上げ荷重3トン以上のクレーン(スタッカー式は1トン以上)。自主検査と点検は0.5トン以上

性能検査がかかるのは、すべてのクレーンではありません。

クレーン則第3条は、第4節(性能検査)などで使う「クレーン」という語を、括弧書きで絞っています。

クレーン(令第十二条第一項第三号のクレーンに限る。以下本条から第十条まで、第十六条及び第十七条並びにこの章第四節及び第五節において同じ。)

ここでいう令は、労働安全衛生法施行令です。その第12条第1項第3号は、次のクレーンを挙げています。

つり上げ荷重が三トン以上(スタツカー式クレーンにあつては、一トン以上)のクレーン

つまり性能検査の対象は、つり上げ荷重3トン以上のクレーンで、スタッカー式クレーンだけは1トン以上になります。

一方で、あとで見る定期自主検査の節(第3節)は、この括弧書きに入っていません。クレーンのうち、クレーン則全体の適用から外れるのは、第2条第1号の、つり上げ荷重が0.5トン未満のものです。つり上げ荷重0.5トン以上3トン未満のクレーンにも、自主検査と点検の義務はかかっています。

つり上げ荷重による対象の区分を示した図。0.5トン未満はクレーン等安全規則の適用外、0.5トン以上は定期自主検査と点検の対象、3トン以上(スタッカー式クレーンは1トン以上)は性能検査の対象にもなる。

有効期間は原則2年。結果によって短くも長くもなる

検査証の有効期間は、クレーン則第10条で2年です。ただし、落成検査の結果によって2年未満にできる、というただし書があります。

性能検査で更新するときの期間は、第43条の後段にあります。

性能検査の結果により二年未満又は二年を超え三年以内の期間を定めて有効期間を更新することができる。

更新の期間は、いつも2年とは限りません。2年未満になることも、2年を超えて3年以内になることもあります。「性能検査は2年ごと」と覚えていると、手元の検査証の日付とずれることがあります。

条文が性能検査に求めるのは、「構造及び機能」の点検と荷重試験

性能検査で何をするかは、クレーン則第40条が決めています。条文は2項だけです。

クレーンに係る性能検査においては、クレーンの各部分の構造及び機能について点検を行うほか、荷重試験を行うものとする。

第2項は、第34条第4項の荷重試験の規定を準用しています。その中身は、定格荷重に相当する荷をつって、つり上げ、走行、旋回、トロリの横行などを定格速度で行う、というものです。

第40条に並んでいるのは、この2つだけです。絶縁、電流、配電盤といった電気の語は、第40条には出てきません。後で引くボイラ・クレーン安全協会(登録性能検査機関の1つ)の案内には「電気部分の検査」という語があり、少なくともこの機関の検査では、電気の部分も対象になることがうかがえます。ただ、何をどう点検するかを、第40条は書いていません。

労働基準監督署長が行う性能検査について、検査を受ける場合の措置を定めているのが第42条です。第42条は、落成検査について定めた第7条を、「前条のクレーン」、つまり第41条の労働基準監督署長が行う性能検査を受けるクレーンに準用しています(安定度試験の部分は除きます)。この準用で求められる中身は、次の3つです。

  • 荷重試験のための荷と玉掛用具を準備すること
  • 所轄の労働基準監督署長が必要と認めたときは、安全装置の分解、塗装の一部をはがすことなどを命じられることがあること
  • 検査に立ち会うこと

監督署長の検査で安全装置の分解を命じられることがある、という点は、電気の担当にも関係します。巻過防止装置には、電気式のものがあるからです。

登録性能検査機関が行う検査については、第42条は定めていません。同じ協会の案内は、クレーンの清掃と整備に加えて、荷重試験に使う荷と玉掛用具の準備を、受検する側に求めています。

安衛法の側では、クレーンの電気の構造の基準は、クレーン構造規格の「電気機器等」などにある

では、クレーンの構造について、安衛法の側で電気の部分の基準はどこにあるのか。

それがクレーン構造規格です。告示(平成7年労働省告示第134号)で、前文によれば、安衛法第37条第2項と第42条にもとづいて定められています。その第2章第4節が「電気機器等」で、第34条から第38条までがあります。

電気に関係する主な条文を、表にまとめます。条の番号は、クレーン構造規格のものです。

条対象求めていること(要旨)
第25条第2項電気式の巻過防止装置通電部分の外被は鋼板など堅固なもの。外被に定格電圧・定格電流の銘板。接点が開くことで巻過ぎを防ぐ構造
第30条走行クレーン電鈴、ブザー等の警報装置を備える(床上で運転者が一緒に移動する方式などを除く)
第34条操作回路地絡で電磁接触器等が閉路するおそれのある操作回路は、コイルの一端を接地側の電線につなぎ、コイルとその電線の間に開閉器を置かない(第1項)。操作回路は、停電時に、すべての電動機を切り離し、コントローラーを停止の位置に戻さないと電源が入らない(第2項。手を放すと停止の位置に戻り作動も止まる構造のものを除く)
第35条コントローラー作動の種別・方向と、停止の位置を、運転者の見やすい箇所に表示する
第36条床上で運転するコントローラー(床上の定位置から運転する方式を除く)手を放すと自動で停止の位置に戻り、クレーンを止める。無線のものは、通信の途絶などの異常で自動的に止まる
第37条・第38条トロリ線直流750V以下・交流600V以下のトロリ線は、歩道などからの位置に制限がある。それを超えるものは専用のピットかダクトに納める(どちらも、囲いや絶縁覆いがあれば別)

巻過防止装置の基本の機能は、第25条第1項第1号にあります。巻過ぎを防ぐため、「自動的に動力を遮断し、及び作動を制動する機能」を持つことです。

操作回路の第34条第2項は、原文で読んでおく価値があります。

操作回路は、停電時に、すべての電動機を電路から切り離し、かつ、コントローラーをクレーンの作動を停止する位置に戻さなければ電源が投入されないものでなければならない。

条文に理由は書かれていませんが、読み取れることはあります。復電したとき、コントローラーが動かす位置のままだと、クレーンが急に動き出しかねません。それを回路の構造で防ぐ形です。ただし、運転者が手を放すと、操作部分が自動で停止の位置に戻り、かつクレーンの作動も止まる構造のクレーンは、この項の対象から外れます。

なお、構造規格の第25条、第33条、第36条の末尾には、令和8年の厚生労働省告示第210号による一部改正の注記があります。改正の施行日と中身は、この記事では確かめていません。

構造規格と性能検査の関係は、条文から言える範囲で書きます。クレーン則第17条は、事業者に、製造許可基準のうちクレーンの構造に係る部分に適合しないクレーンを使ってはならない、としています。この第17条の「クレーン」も、第3条の括弧書きで、性能検査の対象と同じクレーン(3トン以上、スタッカー式は1トン以上)に限られます。製造許可基準は、第3条第2項で、安衛法第37条第2項の厚生労働大臣の定める基準と定義されています。構造規格も、同じ第37条第2項などにもとづく告示です。

ただし、構造規格の各条が、そのまま性能検査で確かめる項目の一覧だ、とは原文から言えません。構造規格は、クレーンがどういう構造であるべきかを定めた基準です。

定期自主検査と点検は、事業者が自分で行う ― 年次・月例・作業開始前

性能検査と並べて覚えておきたいのが、定期自主検査です。こちらは登録性能検査機関ではなく、事業者が自分で行います。

安衛法第45条第1項は、政令で定める機械等について、事業者に、定期に自主検査を行い、その結果を記録しておくことを求めています。その機械等を挙げているのが施行令第15条第1項第1号で、第12条第1項各号の機械等と、第13条第3項第14号の「つり上げ荷重が〇・五トン以上三トン未満(スタッカー式クレーンにあつては、〇・五トン以上一トン未満)のクレーン」が入っています。クレーンの定期自主検査と点検の中身は、クレーン則の第3節(第34条〜第39条)にあります。

性能検査と、事業者が行う検査・点検を、誰が・どの頻度で行うかで並べると、こうなります。対象のクレーンは、性能検査がつり上げ荷重3トン以上(スタッカー式は1トン以上)、事業者が行う検査・点検が0.5トン以上です。

種類誰が頻度電気に関係する項目根拠
性能検査登録性能検査機関(監督署長が行う場合あり)検査証の有効期間ごと条文に列挙なし(各部分の構造及び機能の点検と荷重試験)安衛法第41条第2項、クレーン則第40条
年次の定期自主検査事業者1年以内ごとに1回(1年を超えて使わない期間は除く)条文に列挙なし(荷重試験あり。例外あり)クレーン則第34条
月例の定期自主検査事業者1月以内ごとに1回(1月を超えて使わない期間は除く)安全装置・警報装置・ブレーキ・クラッチ、配線・集電装置・配電盤・開閉器・コントローラークレーン則第35条
作業開始前の点検事業者その日の作業を始める前巻過防止装置・ブレーキ・クラッチ・コントローラーの機能クレーン則第36条

年次の検査(第34条)は、設置した後、1年以内ごとに1回行うものです(1年を超えて使わないクレーンは、その期間は除かれ、使用を再び始めるときに行います)。荷重試験を行うことになっていますが、例外が2つあります。1つは、自主検査を行う日の前2か月以内に性能検査の荷重試験を行ったクレーンか、その日の後2か月以内に検査証の有効期間が満了するクレーンです。もう1つは、発電所や変電所などで荷重試験が著しく困難な場所にあり、所轄の労働基準監督署長が必要ないと認めたクレーンです。

年次の検査で見る項目は、第34条には並んでいません。

このほか第37条は、屋外のクレーンで瞬間風速が毎秒30メートルを超える風が吹いた後や、屋外か屋内かを問わず、中震以上の震度の地震の後に作業をするときは、あらかじめ各部分の異常の有無を点検するよう求めています。

月例の第4号に、電気の部分が名前で並ぶ

現場で「月例点検」と呼ばれているのは、条文では、1月以内ごとに1回行う定期自主検査(第35条)です。年次と同じく、1月を超えて使わない期間は除かれ、再び使い始めるときに改めて行います(同条のただし書と第2項)。条文は、検査する事項を5つの号で挙げています。電気の担当に関係するのは、次の2つです。

  • 第1号:巻過防止装置その他の安全装置、過負荷警報装置その他の警報装置、ブレーキ及びクラッチの異常の有無
  • 第4号:配線、集電装置、配電盤、開閉器及びコントローラーの異常の有無

第4号では、配線、集電装置、配電盤、開閉器、コントローラーと、クレーンの電気の部分が名前で挙がっています。性能検査の第40条には出てこなかった電気の語が、ここではまとめて出てきます。

作業開始前の点検(第36条)でも、第1号に「巻過防止装置、ブレーキ、クラツチ及びコントローラーの機能」があります。月例が「異常の有無」なのに対し、こちらは「機能」です。その日の作業の前に、これらが働くかを見る、という形です。

どう検査するか、何を基準に異常とするかは、第35条にも第36条にも書かれていません。安衛法第45条第4項は、厚生労働大臣が自主検査指針を公表するとしていますが、クレーンの指針の中身を私はこの記事のために確かめていません。

記録は3年保存、異常は直ちに補修

自主検査には、記録と補修の決まりが続きます。

第38条は、第3節に定める自主検査と点検の結果を記録し、「三年間保存しなければならない」としています。ただし、作業開始前の点検(第36条)は記録の義務から除かれています。

第39条は、自主検査や点検で異常を認めたときの義務です。条文の言葉は「直ちに補修しなければならない」です。

このうち記録の保存は、性能検査の準備ともつながっています。先に挙げたボイラ・クレーン安全協会の案内は、受検の際に、過去3年分の定期自主検査の記録を用意するよう求めています。性能検査の日には、クレーンそのものに加えて、過去の記録の用意も求められることがある、ということです。

私が保全側で担当したクレーンの電気系の性能検査では、絶縁測定と電流値が中心だった

ここからは、条文ではなく、私の経験です。

リードで書いた保全の仕事のうち、クレーンの電気系の性能検査について、私の経験は次のとおりです。

電気系の性能検査での指摘はほぼないです。そもそも指摘を受けたことがないのが実情です。それこそ検査結果に異常がなければ。検査は主に絶縁測定と電流値がメインです。

それ以外の項目は、見た目などで異常がないかを確かめるものでした。

条文と並べておきます。第40条が性能検査で行うとしているのは、「構造及び機能」の点検と荷重試験です。点検の対象は「各部分」で、電気の部分を名前で挙げた項目はありません。私が担当した検査では、電気系の項目が、主に絶縁測定と電流値だった、ということです。条文が絶縁測定や電流値を名指ししているわけではありません。

測った値をどの基準と比べたかは、この記事では書きません。性能検査の合否を判定するのは検査を行う側(登録性能検査機関。労働基準監督署長が行う場合は監督署長)で、電気の部分の判定値は、私が読んだ検査機関の案内(ボイラ・クレーン安全協会)には見当たらなかったからです。絶縁抵抗の値が何を意味し、何を意味しないかは、記事「「0.1MΩ以上」は、健全という意味ではない」で書きました。モータの電流と保護の関係は、記事「サーマルリレーは、モータの温度を見ていない」に書いています。

この体験から言えないこと

私が担当したクレーンの性能検査で、検査結果に異常がなければ、電気系の指摘を受けなかった。これは1つの職場での経験です。

ここから「クレーンの電気系の性能検査は、指摘が出にくい」とは言えません。検査機関、クレーンの種類や年数、事業場の保全の体制によって、検査の中身も結果も違いうるからです。

もう1つ言えないのは、「だから準備は軽くてよい」ということです。私の経験で言えるのは、担当した性能検査では、検査結果に異常がなければ電気系の指摘はなかった、というところまでです。

検査の前に、確かめる文書と相手

この記事は、盤を開けて測ってみてください、とは言いません。性能検査の段取りは、検査を行う側に確かめるのが先です。

代わりに、何を開き、誰に聞けばよいかを書きます。

登録性能検査機関の1つ、公益社団法人ボイラ・クレーン安全協会は、クレーンの性能検査の案内で、受検する側に求めることの1つとして、次のように書いています。

検査証、定期自主検査の記録(過去3年間分)、設置届等関係書類等を用意するとともに、検査当日に運転する者はクレーン運転士免許証、玉掛作業を行う者は玉掛技能講習修了証を携帯して下さい。

電気の担当に直接かかわる記述もあります。

電気部分の検査及び感電のおそれがある箇所へ立ち入る場合は、電源を遮断するとともに、検査中は開路した電路が不意に閉路されないような措置を講じて下さい。

案内は、「詳しいことは、性能検査の実施前に打ち合わせを行います」と結ばれています。これは1つの機関の案内で、ほかの機関の求めることは、それぞれの機関に確かめる必要があります。

この案内とここまでの条文をもとに、開く文書と聞く相手を挙げます。

  • 開く文書:クレーン検査証(有効期間の満了日)、定期自主検査の記録(年次・月例。協会の案内では過去3年分)、設置届などの関係書類
  • 聞く相手:検査を申し込む登録性能検査機関(事前の打ち合わせで、電気の部分をどう検査するか、当日の電源の扱い)。性能検査を監督署長が行う場合は、申請書を出す所轄の労働基準監督署
  • 聞く相手:事業場でクレーンを管理している人、保全の責任者(停電の段取りと、不意に電源が入らないための措置を誰が行うか)
  • 聞く相手:クレーンのメーカー(構造や回路について、図面と取扱説明書の範囲で)

まとめ

  • 性能検査は、クレーン検査証の有効期間を更新するための検査で、行うのは登録性能検査機関(根拠は安衛法第41条第2項とクレーン則第43条。労働基準監督署長が行う場合もあり、こちらはクレーン則第41条と第43条の2)
  • 性能検査の対象は、つり上げ荷重3トン以上(スタッカー式は1トン以上)のクレーン(施行令第12条第1項第3号、クレーン則第3条第1項の括弧書き)。検査証の有効期間は原則2年だが、更新のときに2年未満にも、2年を超え3年以内にもなることがある(クレーン則第10条・第43条)。定期自主検査と点検は、0.5トン以上のクレーンにかかる(0.5トン未満はクレーン則第2条第1号で適用除外)
  • クレーン則第40条が性能検査で行うとしているのは、構造と機能の点検、それに荷重試験の2つ。電気の項目の列挙はない
  • 安衛法にもとづくクレーンの電気の構造の基準は、主にクレーン構造規格の「電気機器等」(第34条〜第38条)と、電気式の巻過防止装置(第25条第2項)、走行クレーンの警報装置(第30条)にある
  • クレーン則の検査と点検の条文で、配線や配電盤、コントローラーといった電気の語がまとめて出てくるのは、事業者の行う月例の定期自主検査(第35条第4号)。作業開始前の点検(第36条第1号)にも、コントローラーなどの機能がある
  • 自主検査と点検の記録は3年保存(クレーン則第38条。作業開始前の点検を除く)。ボイラ・クレーン安全協会の案内も、過去3年分の定期自主検査の記録の用意を求めている
  • 私が保全側で担当したクレーンの電気系の性能検査は、絶縁測定と電流値が中心で、検査結果に異常がなければ、電気系の指摘を受けることはなかった。これは1つの職場の経験で、一般則ではない

この記事の数値について

数値の根拠

  • つり上げ荷重3トン以上(スタッカー式は1トン以上)は、労働安全衛生法施行令第12条第1項第3号によります。性能検査の対象がこのクレーンに限られることは、クレーン等安全規則第3条第1項の括弧書きによります。
  • 0.5トン未満の適用除外は、クレーン等安全規則第2条第1号によります。
  • 0.5トン以上3トン未満(スタッカー式は0.5トン以上1トン未満)のクレーンが定期に自主検査を行うべき機械等に入ることは、労働安全衛生法施行令第13条第3項第14号・第15条第1項第1号によります。
  • 検査証の有効期間2年はクレーン等安全規則第10条、更新時の2年未満・2年を超え3年以内は同第43条によります。
  • 年次の1年以内ごとに1回、荷重試験の例外の前後2か月は同第34条、月例の1月以内ごとに1回は同第35条、記録の3年間保存は同第38条によります。
  • 暴風後の点検の瞬間風速毎秒30メートルは、クレーン等安全規則第37条によります。
  • トロリ線の直流750V・交流600Vは、クレーン構造規格第37条・第38条によります。
  • 「過去3年間分」の記録は、ボイラ・クレーン安全協会のクレーンの性能検査の案内によります。
  • 都内のクレーンの欄に3つの機関の名前があること(令和7年10月16日現在)は、東京労働局「登録性能検査機関一覧表(都内)」によります。
  • クレーン等安全規則は、e-Gov 法令検索の法令データで本文を取り出し、そのうち15か所の文言を、表示ページの本文でも検索して一致を確かめました(第9条は法令データの本文だけです)。労働安全衛生法と同施行令は、法令データの本文で確かめました。クレーン構造規格は、厚生労働省の法令等データベースで本文を取り出し、電気機器等のページ(pageNo=2)の15か所の文言を、表示したページでも検索して確かめました。

こちらで計算したもの

  • ありません。本文の2つの表は、条文の要件を写して並べ直したものです。構造規格の表の「求めていること」は要旨で、条文の全文ではありません。

書かなかったこと

  • 性能検査で登録性能検査機関が電気の部分に何を測り、何を判定値にしているか ── 読んだ検査機関の案内(ボイラ・クレーン安全協会)に、電気の測定項目と判定値の記載を見つけていません。ほかの機関の資料は確かめていません
  • 絶縁抵抗の判定値、測定電圧、電流値の基準 ── 性能検査での判定値は読んだ検査機関の案内で見つけておらず、測定の手順にもなるため、扱いません
  • 巻過防止装置の調整の間隔の数値(構造規格第25条第1項第2号) ── 調整の値に当たるため、扱いません
  • 電気式の巻過防止装置が適合すべきJIS C 8201-4-1の基準の中身 ── JISの本体を開いていません
  • クレーンの定期自主検査指針の中身 ── 確かめていません
  • 令和8年厚生労働省告示第210号による構造規格の改正の施行日と、改正前後の違い ── 注記があることだけを確かめています
  • 性能検査の手数料、所要時間、申込みの時期 ── 確かめていません
  • 移動式クレーン、デリック、エレベーター、ボイラーの性能検査 ── 工場の天井クレーンなどを想定して絞りました
  • 私の経験のメモのうち、語の確認が済んでいない一文 ── 引用せず、「見た目などで異常がないか」の範囲で書きました

参考にした資料

閲覧日は、断りのないものは2026年10月4日です。

法令(e-Gov 法令検索)

  • クレーン等安全規則(昭和四十七年労働省令第三十四号) / https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000034 / 確認した範囲:第2条、第3条第1項の括弧書きと第2項の製造許可基準の定義、第7条、第9条第1項、第10条、第16条、第17条、第34条〜第43条の2、第2章の節の構成
  • 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号) / https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057 / 確認した範囲:第41条、第45条第1項・第4項
  • 労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号) / https://laws.e-gov.go.jp/law/347CO0000000318 / 確認した範囲:第12条第1項第3号、第13条第3項第14号、第15条第1項第1号(第13条第3項第14号と第15条第1項第1号は、2026年10月5日に閲覧)

厚生労働省

登録性能検査機関

※ JIS C 8201-4-1 は有償のため、開いていません。

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