高圧で受電する事業場では、電力会社の配電線との境目に区分開閉器を置くことがあります。電柱の上の気中開閉器を、現場ではPASと呼びます。
SOG付きPASは、構内の高圧の地絡ならすぐに開きます。ところが、PASと構内の主遮断装置のあいだの短絡では、すぐには開きません。先に配電線が止まり、構内も止まってから開きます。
故障ではなく、取扱説明書どおりの動きです。
なぜ短絡のときだけ待つのか。開けないと何が起きるのか。メーカー2社の取扱説明書と、電気関係報告規則とその内規で確かめます。
先に答えを書きます。PASが定格で切れる電流は、戸上電機の200Aの機種で400Aです。短絡電流は、その20倍あまりになりえます。だから、PASから主遮断装置までの短絡では、変電所の遮断器が切って配電線が停電してから開きます。開けないと、事故点が配電線につながったまま残り、報告規則の第十二号の事故、いわゆる波及事故になりえます。
SOGは、地絡と短絡で開くタイミングが違う
PASは Pole Air Switch の略で、柱上に付ける気中開閉器です。戸上電機製作所は製品ページで、柱上用SOG開閉器を「通称PAS(Pole Air Switch)と言われており」と紹介し、目的を「自家用高圧受電設備から電力会社配電線への波及事故を防止するため」としています。
そのPASに組み合わせて使うのがSOG制御装置です。同社の取扱説明書(No.01314b)は、SOGを次のように説明しています。
Storage Overcurrent Ground の略で過電流蓄勢トリップ付地絡トリップ形のことを言います。
同じ取扱説明書は、事故の種類ごとの動作を表にしています。原文のまま写します。
| 事故 | 開閉器の動作(原文) |
|---|---|
| 1 地絡事故の場合 | SOG制御装置が動作し、開閉器を開放します。(配電線は停電しない) |
| 2 過電流(短絡)事故の場合 | 電源側の遮断器(変電所のCB)の動作により高圧電路が停電してSOG制御装置の制御電源が無くなると、開閉器は自動的に開放し、事故点を切り離します。 |
| 3 地絡と過電流(短絡)事故が重なった場合 | 過電流蓄勢トリップ動作(SO動作)が優先し、過電流事故時の動作をします。 |
PASより負荷側の高圧で地絡が起き、SOG制御装置が動作したら、PASが自分で開きます。配電線は止まりません。
短絡なら、PASは待ちます。その短絡がPASと主遮断装置のあいだなら、待つのは、変電所の遮断器が動作して、配電線ごと停電するまでです。主遮断装置より負荷側の高圧の場合は、あとの役割分担の表で触れます。

ここで、この先で使う言葉を3つ整理しておきます。
- SO動作:過電流蓄勢トリップ動作のこと。表の2の動き方を指します。あとで引く「上記2項」も、この2のことです。主遮断装置の遮断と同時にPASが開く場合も、取扱説明書はSO動作と呼んでいます(あとの役割分担の表の3段目)
- 蓄勢:取扱説明書は、この語の意味を説明していません。略称と並べると、Storage に当たる語と読めます。字のとおりに読めば勢いを蓄えることで、制御電源が無くなったあとに開閉器を開くための力を、前もって蓄えておく動きと受け取れます。何にどう蓄えるかは、読んだ取扱説明書には見当たりませんでした
- 過電流ロック:取扱説明書は「ロック」という語そのものを定義していません。ただ、地絡と短絡が重なっても地絡ですぐには開かず、停電を待つと書いています。大きな電流が流れているあいだは開かない、と読める動き方です
低圧で言えば、地絡と過電流を別の機器が別のものを見て受け持つ話に近い構図です。低圧の配線用遮断器と漏電遮断器の違いは、記事配線用遮断器は、地絡を地絡として見ていないで書きました。SOG付きPASでは、同じ1台の中で、地絡と短絡の扱いが分かれています。
短絡で開かないのは、切れる電流に上限があるから
仕様表の「定格過負荷遮断電流」と「ロック電流値」
答えの手がかりは、取扱説明書の仕様表にあります。見るのは2行です。
- 定格過負荷遮断電流:名前のとおり、過負荷の電流を切る能力を定格で示した値です。規格(JIS C 4607)の定義の文は、有償のため確かめていません。値の前の「C」は、戸上電機の注で「Cは回数3回の意味です」とされています
- ロック電流値:仕様表にこの名前で載っている値です。名前からは、過電流ロックがかかる電流と読めます。定義の文は、読んだ範囲では見当たりませんでした
2社の取扱説明書から、この2行を並べます。
| 資料 | ロック電流値 | 定格過負荷遮断電流 |
|---|---|---|
| 戸上電機 No.01314b(200A) | 350A±50A | C400A |
| 戸上電機 No.01314b(300A・400A) | 600±100A | C700A |
| 戸上電機 No.01030a(600A) | 1000A±200A | C1200A |
| 東光高岳 №3239B(200〜400A) | 600±180A | C級 800A |
ロック電流値の幅の上限を計算すると、上から400A、700A、1200A、780Aです。4つとも、定格過負荷遮断電流と同じか、それより小さい値になっています。
ここから言えるのは、ロック電流値の幅が、定格で切れるとされた電流を超えていない、ということまでです。この関係の理由を、メーカーが文章で説明している箇所は、読んだ範囲では見つかりませんでした。
短絡電流は、戸上電機の200Aの機種が定格で切れる電流の20倍あまりになりうる
では、短絡電流はどれくらいか。
仕様表には「適用系統短絡容量」という行もあります。戸上電機の200Aでは100MVAです。数字だけ見ると、この開閉器が100MVAを切れるように読めます。取扱説明書は、注でそれを否定しています。
適用系統短絡容量とは、この開閉器の遮断電流ではなくこの開閉器が使用できる設置点の短絡容量です。
つまり100MVAは、この開閉器を使ってよい設置点の条件です。切れる電流ではありません。
この100MVAを電流に直してみます。三相の短絡容量を、√3と電圧の積で割ります(線どうしの電圧に√3が付く理由は記事三相はなぜ3本で足りるのかで書いています)。電圧は、高圧配電線で一般的な6.6kVと置きます。資料から取った値ではなく、計算の前提です。
100,000,000 ÷(1.732 × 6,600)≒ 8,748A
約8.7kAです。定格過負荷遮断電流の400Aと比べると、20倍あまりになります。

この8.7kAは、短絡容量100MVAの設置点で三相短絡が起きたときの目安です。実際の短絡電流は、設置点までの線路などで決まり、事故の場所や種類でも変わります。換算に使う電圧を、開閉器の定格電圧の7.2kVにすれば約8.0kAで、どちらで割るかで1割ほど違います。それでも、数百アンペアと数千アンペアの差は動きません。
確かめた2社の仕様表の数字から読めるのは、数千アンペアを切る役がSOG付きPASには与えられていない、ということです。だから、切れる者が切るのを待ちます。PASと主遮断装置のあいだで起きた短絡なら、それが変電所の遮断器です。
短絡電流を自分で切る開閉器もある
タイトルの主語を「SOG付きPAS」に限ったのは、確かめた取扱説明書がどれも過電流ロック形のもので、高圧の開閉器には短絡を自分で切るものもあるからです。
戸上電機は「遮断機能付地絡トリップ形高圧ガス負荷開閉器」も公開しています。定格遮断電流は8kA-3回と12.5kA-3回。規格の欄には、高圧交流遮断器のJIS(JIS C 4603)も並びます。製品ページは、過電流ロック形と比べてこう書いています。
過電流ロック形高圧負荷開閉器は、過電流(短絡)事故の場合は電力会社の配電用遮断器を一度遮断させ無電圧の状態で開放しますが、本装置は地絡、過負荷、短絡事故の全てを検出し、事故点を切離しますので、波及事故を完全に防止することができます。
この製品は名前のとおりガスの開閉器で、気中(Air)のPASそのものではありません。それでも、短絡を自分で切る負荷開閉器がある以上、「高圧の負荷開閉器は短絡を切らない」とまでは言えません。この記事が扱うのは、過電流ロック形、つまりSOG付きのPASです。
停電を待って開く ― SO動作の順番
合図は、制御電源が無くなること
SO動作の順番を、戸上電機の取扱説明書は短く書いています。
SO動作(過電流→停電→蓄勢トリップ)
PASと主遮断装置のあいだで短絡が起き、PASに大きな電流が流れます。PASは開きません。取扱説明書の言葉では「電源側の遮断器(変電所のCB)」が動作して、配電線が停電します。SOG制御装置の制御電源が無くなります。そこでPASが自動的に開き、事故点を切り離します。
開く合図は、制御電源が無くなることです。
このとき、構内も停電した状態です。600Aの取扱説明書(No.01030a)の警報回路の注に、「開閉器がトリップした時には構内が停電となり、交流電源が無電圧になります」とあります。
「SOGが動いたのに、すぐ開かない」のはこのため
SOG制御装置には、過電流を検出する回路があります。東光高岳の取扱説明書は、自己診断の項でこれを「過電流(SO)検出回路」と呼んでいます。それでもPASがすぐに開かないのは、上の順番のとおり、停電を待っているからです。
取扱説明書の動作説明の表(No.01030a 表8)は、この違いを一行ずつで示しています。地絡事故は「すぐにトリップ」、過電流(短絡)事故は「電源側遮断器が動作して停電となればトリップ」です。
ですから、短絡のときに配電線が一度止まってからPASが開いたこと自体は、取扱説明書のとおりの動きです。ただし、その事故のあと何を調べ、いつ再び送電するかを決めるのは、その事業場の電気主任技術者、または保安業務の委託先です。この記事は、その判断の代わりにはなりません。
停電しても開けないとき ― SO動作ができない条件
SO動作は、制御電源が無くなることを合図にしています。裏を返すと、事故のあとも制御電源が残る作りでは、合図が来ません。その条件を、取扱説明書から拾います。
まず、戸上電機(No.01314b)の制御電源の取り方についての注意です。
制御電源を別系統から取った場合、SO動作(過電流→停電→蓄勢トリップ)ができません。
東光高岳の取扱説明書(№3239B)にも、同じ趣旨の注意があります。
多回線による引込み、また、無停電電源装置(UPS)の負荷側より制御装置の電源を供給した場合にはSO動作によるトリップ動作ができませんので、注意してください。
2回線で引き込み、両回線とも常時供給されている場合については、戸上電機が結果まで書いています(「A点」は取扱説明書の図の中の位置で、図の中身は確かめていません)。
もし切換開閉器(DT)の負荷側からとりますと、A点で短絡事故が発生すればSO動作ができないため開閉器は開放せず波及事故になります。
もう1つ、制御電源の取り方とは別の条件を、戸上電機の取扱説明書が書いています。短絡している回路にPASを入れた場合です。
短絡点投入動作の場合は、過電流蓄勢トリップ動作(上記2項)を行いません。
理由として、取扱説明書は、SOG制御装置の電源がP1、P2端子からだけ供給されていて、「一般の過電流継電器のように変流器二次側電流から電源を供給されていないため」と説明しています。取扱説明書は続けて、負荷側の短絡の原因を取り除いてから開閉器を入れるよう求めています。
自分の設備の制御電源がどこから来ているかは、この記事では判定できません。確かめる相手は、記事の後半、まとめの直前の見出しで書きます。
波及事故は、報告規則の「第十二号」の事故
規則の本文に「波及事故」という言葉はない
ここまで、取扱説明書の言葉として「波及事故」を引いてきました。では、法令ではどう決まっているのか。
電気関係報告規則の第3条は、報告しなければならない事故を表にしています。自家用の設備の事故が配電線の側に停電を広げた場合に当たるのは、その表の第十二号です。
十二 一般送配電事業者の一般送配電事業の用に供する電気工作物、配電事業者の配電事業の用に供する電気工作物又は特定送配電事業者の特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧三千ボルト以上の自家用電気工作物の破損又は自家用電気工作物の誤操作若しくは自家用電気工作物を操作しないことにより一般送配電事業者、配電事業者又は特定送配電事業者に供給支障を発生させた事故
縮めると、3,000V以上で配電線につながっている自家用の設備が、壊れたり、誤操作されたり、操作されなかったりして、配電線の側に停電などの供給支障を起こした事故です。
ただし、e-Gov法令検索で規則のページを開き、表示される条文を検索しても、「波及」という語は一度も出てきません。「波及事故」と呼んでいるのは、経済産業省の内規「電気関係報告規則第3条及び第3条の2の運用について」です。内規は第十号から第十二号をまとめて、見出しを「他者への波及事故」としています。
規則が「波及事故」を定義しているのではありません。規則の第十二号に当たる事故を、内規が波及事故と呼んでいる、という関係です。
報告を求められるのは、事故を起こした側
内規は、運用上の留意点の最初に、考え方の原則を書いています。
電気事故は、本来、事故を発生させた側に責任があることが原則であり、発生した事故は設置者自身の施設内に留めるのが原則であることから、各種保護装置や遮断器を設置して波及事故防止対策を講じている。
続けて、その装置が有効に機能しなかった場合などに波及事故が起きたときは、発端となった事故を発生させた設置者から報告を求める、としています。
報告先は、規則の表で、電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長です。期限は第3条第2項にあります。事故の発生を知った時から24時間以内に、できる限り速やかに電話などで概要を伝え、知った日から30日以内に報告書を出す、という2段構えです。第十二号の事故のうち原因が自然現象のものは、報告書の提出は要らないとするただし書もあります。外れるのは報告書で、電話などでの報告まで外れるとは書かれていません。
再閉路に成功した場合は除かれる
内規の同じ項には、ただし書があります。
ただし、一般送配電事業又は配電事業の用に供する配電線路等が自動的に再閉路に成功した場合を除く。
変電所の遮断器が一度切っても、自動的に入れ直して送電が戻れば、報告の対象から外れるということです。
SOG付きPASは、停電しているあいだに開いて事故点を切り離す、と取扱説明書は書いています。入れ直したときに事故点がもう切り離されていれば、事故点に再び電気が送られることはありません。逆に、SO動作ができずにPASが開いていなければ、事故点はつながったままです。
配電線の再閉路がどんな方式で、何秒後に行われるかは、この記事では確かめていません。一般送配電事業者の資料に当たっていないためです。
役割分担 ― 地絡はPASが切り、短絡はほかの遮断器が切る
ここまでを、誰が何を切るかで並べ直します。並べるのは、PASより負荷側の高圧の事故です。PASより電源側の短絡では、短絡電流がPASを通らず、SO動作の始まりの「過電流」がPASに起きないので、表には入れていません。
| 事故の場所と種類 | 電流を切るもの | SOG付きPASの動き |
|---|---|---|
| PASより負荷側の高圧の地絡(短絡が重ならない場合) | SOG付きPAS(SOG制御装置が動作したとき) | すぐに開く。配電線は停電しない |
| PASと主遮断装置のあいだの短絡 | 変電所の遮断器 | 停電を待って開き、事故点を切り離す |
| 構内の主遮断装置より負荷側の高圧の過電流(短絡) | 構内の主遮断装置 | 制御電源の取り方によっては、同時にSO動作で開く |
3段目は、戸上電機の取扱説明書の記述によります。制御電源の取り方によっては「主遮断装置の負荷側で過電流事故が発生した時は、主遮断装置の遮断と同時に本開閉器もSO動作で開放します」とあり、どの取り方を推奨するかは地区で違うとも書いています。図の中身は文字として確かめられなかったので、この記事では取り方の良し悪しには触れません。
SOG付きPASは短絡を切りませんが、短絡のときにも役目があります。短絡電流を切る役はほかの遮断器に任せ、PASは、表の2段目の場面なら、変電所の遮断器が切ったあとに事故点を配電線から外す役を受け持っています。SO動作ができなければ、どうなるか。戸上電機の取扱説明書は、2回線の例で「開閉器は開放せず波及事故になります」と書いていました。
書き手は受配電設備の設計に携わってきましたが、この記事の内容は、上のメーカー資料と、規則・内規で確かめた範囲で書いています。
自分の設備で確かめるときに開く資料と、聞く相手
PASは電柱の上にあり、SOG制御装置は電柱などに取り付けられます。どちらも、確かめるために開けたり触ったりするものではありません。戸上電機の600Aの取扱説明書は、SOG制御装置のP1、P2端子には交流100/110Vがかかっているので「端子に触れないでください」と書いています。
紙の上で確かめられることがあります。
まず、開閉器とSOG制御装置の形式です。東光高岳の取扱説明書は、末尾で形式・製造年・製造番号を記入しておくと保守点検時に役立つ、と勧めています。形式が分かれば、メーカーの取扱説明書が探せます。見るのは、この記事で扱った仕様表の2行、定格過負荷遮断電流とロック電流値です。
次に、SOG制御装置の制御電源がどこから来ているかです。これは単線結線図や制御回路の図面に現れます。読むのが難しければ、その事業場の電気主任技術者か、外部委託なら委託先(電気管理技術者、または電気保安法人)に聞くのが確実です。2回線で受電している、UPSがある、といった事情があれば、それも一緒に伝えます。
最後に、地絡の整定値です。この記事では、どの値がよいかを書きません。東光高岳の取扱説明書も、タップの設定値について「電力会社殿あるいは、電気設備管理者等にご相談ください」としています。
まとめ
- SOG付きPASは、PASより負荷側の高圧の地絡ならすぐ開き、配電線は止まらない。地絡と短絡が重なれば、短絡のときと同じ動きになる。短絡なら、PASより負荷側で主遮断装置より電源側の範囲では、変電所の遮断器が動作して停電したあとに開く。主遮断装置より負荷側の高圧の過電流(短絡)では、制御電源の取り方によって、主遮断装置の遮断と同時に開く
- SOGは Storage Overcurrent Ground の略で、過電流蓄勢トリップ付地絡トリップ形のこと
- 仕様表の定格過負荷遮断電流は、確かめた4例でC400A〜C1200A。ロック電流値の幅の上限は、4例ともそれぞれの定格過負荷遮断電流以下
- 設置点の短絡容量が100MVAなら、三相短絡の電流の目安は約8.7kA(6.6kVで換算)。戸上電機の200Aの機種が定格で切れる400Aの20倍あまり
- 適用系統短絡容量は、開閉器を置いてよい場所の条件で、切れる電流ではない
- 短絡を自分で切る遮断機能付のガス負荷開閉器もある。この記事の話は、過電流ロック形(SOG付き)のPASに限る
- SO動作の合図は、制御電源が無くなること。別系統やUPSの負荷側から制御電源を取ると、SO動作ができない。両回線とも常時供給の2回線引込みで切換開閉器の負荷側から取った場合も、取扱説明書の図のA点の短絡でSO動作ができないと戸上電機は書いている。短絡点投入でも行わない、とも戸上電機は書いている
- 報告規則の本文に「波及事故」の語はない。第3条の表第十二号に当たる事故を、経済産業省の内規が「他者への波及事故」と呼んでいる
- 報告を求められるのは、発端の事故を起こした設置者。配電線の再閉路が自動で成功した場合は除かれる
- 自分の設備は、形式と仕様表の2行、制御電源の出どころを紙の上で確かめ、判断は電気主任技術者か保安業務の委託先に聞く
この記事の数値について
数値の根拠
SOGの略称と、地絡・短絡・両者が重なった場合の動作は、戸上電機製作所の取扱説明書 No.01314b(過電流ロック形高圧気中負荷開閉器 KLT-PA形)の「1-1 商品概要」によります。「すぐにトリップ」「電源側遮断器が動作して停電となればトリップ」は、同社の取扱説明書 No.01030a(600A〔方向性〕KLT-ASA-D形)の表8によります。
ロック電流値と定格過負荷遮断電流は、戸上電機の No.01314b の「1-7 定格と仕様」、No.01030a の表2、東光高岳の取扱説明書 №3239B の「1-2 ②開閉器本体の仕様」から写しました。戸上電機 No.01314b の仕様表は、値が「200A」の列と「300A・400A」の共通の列に分かれています。どの値がどの列かは、PDFの文字の位置で確かめました。同社の製品ページ(GR付PAS)の仕様表の値とも一致しています。東光高岳の値は、200A〜400Aの全列に共通の1つの値として書かれています。
「Cは回数3回の意味です」は戸上電機 No.01314b の注、「C級は、投入回数および遮断回数3回を示します」は東光高岳 №3239B の注です。
遮断機能付地絡トリップ形高圧ガス負荷開閉器の定格遮断電流(8kA-3回、12.5kA-3回)は、戸上電機の製品ページによります。
電気関係報告規則の条文は、e-Gov法令検索の表示(令和7年11月20日施行の改正を反映した現行版)によります。「波及」の語が出てこないことは、同じページに表示されるテキスト全体を文字列で検索して確かめました。内規は、経済産業省が公開している「電気関係報告規則第3条及び第3条の2の運用について」(最終改正 令和7年11月20日)によります。
こちらで計算したもの
ロック電流値の幅の上限(400A、700A、1200A、780A)は、表示値に「±」の値を足したものです。
短絡電流の約8.7kAは、短絡容量100MVAを、√3 × 6,600V(約11,431V)で割った値です。開閉器の定格電圧7.2kVで割ると約8.0kAになります。「20倍あまり」は、8,748A ÷ 400A ≒ 21.9、8,019A ÷ 400A ≒ 20.0 から書きました。どちらも三相短絡の目安で、実際の設備の短絡電流を計算したものではありません。
図は本文の前提と計算をもとにこちらで描いた模式図とグラフです。
書かなかったこと
- ロック電流値をその値にした理由と、ロック中の開閉器の内部の仕組み ── メーカーの公開資料に、文章での説明が見当たりませんでした
- 「蓄勢」で何に、どう蓄えているか ── 同上
- 配電用変電所の遮断器の動作時間と、再閉路の方式・時間 ── 一般送配電事業者の資料に当たっていません
- 制御電源の取り方の図(取扱説明書の㋑〜㋩)の中身と、関東地区で推奨が違う理由 ── 図を文字として確かめられず、理由の記述も見当たりませんでした
- 地絡電流整定値・動作時間整定値の選び方と、動作試験の方法 ── 整定値は推奨しない方針です。試験は事業場の手順書と作業責任者が決めることです
- 他のメーカーのSOG付きPASが、すべて同じ動作をするか ── 確かめたのは戸上電機と東光高岳の2社の資料です
- 波及事故の件数や原因の統計 ── 今回は当たっていません
- 高圧受電設備規程(JEAC 8011)の記述 ── 有償の規程で、開いていません。メーカー資料の中に同規程を引いた箇所がありましたが、使っていません
- JIS C 4607(引外し形高圧交流負荷開閉器)の本文 ── 有償の規格で、開いていません。メーカー資料が「準拠」と書いていることだけを使いました
参考にした資料
閲覧日はすべて2026年10月4日です。
法令(e-Gov 法令検索)
- 電気関係報告規則(昭和四十年通商産業省令第五十四号) / https://laws.e-gov.go.jp/law/340M50000400054 / 確認した範囲:第3条第1項の柱書と表の第十二号(報告先の欄を含む)、第3条第2項。ページの表示テキスト全体での「波及」の文字列検索
経済産業省
- 電気事業法 告示・内規等(一覧ページ) / https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/denjikokuji.html / 確認した範囲:報告規則の運用の内規のリンク名と版
- 電気関係報告規則第3条及び第3条の2の運用について(制定 20210319保局第1号、最終改正 20251104保局第1号 令和7年11月20日) / https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/files/251120houkokukisoku3-3-2.pdf / 確認した範囲:表紙、【第3条第1項の表第10号、第11号、第12号】他者への波及事故の(1)目的と(2)運用上の留意点、第8号・第9号の供給支障事故の解釈
メーカーの公開資料
- 戸上電機製作所 取扱説明書 No.01314b「過電流ロック形 高圧気中負荷開閉器 KLT-PA形/SOG制御装置 LTR-P形・LTR-R形」 / https://www.togami-elec.co.jp/document/catalogs/gr_pas_la_ippan_No.01314b.pdf / 確認した範囲:表紙、1-1 商品概要(SOGとは、短絡点投入)、1-7 定格と仕様、SOG制御装置の仕様の注、2-4 配線の制御電源の配線と2回線引込みの注、接続図の記号
- 戸上電機製作所 取扱説明書 No.01030a「過電流ロック形高圧気中負荷開閉器 600A〔方向性〕KLT-ASA-D形/SOG制御装置 LTR-P-D形」 / https://www.togami-elec.co.jp/document/catalogs/gr_pas_naizonashi_ippan_no.01030a.pdf / 確認した範囲:表紙、安全上のご注意、各部の名称、設置時のチェックポイント、制御電源の配線、21 定格と仕様(表2)、23 警報回路例の注、24 動作説明(表8)
- 戸上電機製作所 製品ページ「GR付PAS|柱上用SOG開閉器」 / https://www.togami-elec.co.jp/product/sog_kaiheiki/product_101.php / 確認した範囲:商品概要、定格および仕様(一般地区・北陸地区)、Q&A 01、制御電源について
- 戸上電機製作所 製品ページ「遮断機能付地絡トリップ形高圧ガス負荷開閉器」 / https://www.togami-elec.co.jp/product/kouatsu_kaiheiki/product_313.php / 確認した範囲:商品概要、定格(定格遮断電流・定格遮断容量)と規格
- 東光高岳 取扱説明書 №3239B「過電流ロック形高圧気中開閉器 SOG〔200A,300A,400A〕」 / https://www.tktk.co.jp/product/assets/pdf/switch-02-06_1.pdf / 確認した範囲:表紙、1-2 ②開閉器本体の仕様、□2 制御電源の接続、2-5 制御装置の操作の注記、自己診断機能、保証期間と保証範囲の頁。発行年月は本文に見当たりません
※ 高圧受電設備規程(JEAC 8011)と、JIS C 4607・JIS C 4603 の規格票は有償のため、参照していません。


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