低圧モーターの絶縁抵抗の測り方と基準値|巻線とアースの間を測り、インバータは外す

モーターの絶縁抵抗は巻線とアースの間を測る。メーカーの資料が書いている測定電圧と基準値の図 感電と安全

巻線が600V以下のモーターの絶縁抵抗は、巻線の端子とアース(フレームなど)の間を、直流500Vのメガー(絶縁抵抗計)で測ります。三菱電機のFAQがこう書いています。判定値の書き方はメーカーと機種で違い、三菱電機の三相モータでは推奨が100MΩ以上、1MΩを下回ったら使わない、としています。

項目三菱電機のFAQ(三相モータ SF-PR、SF-HR、SF-JR)
測る場所モータ巻線の端子とアース部(フレームなど)の間
測定電圧600V以下の巻線は直流500V
読む値1分間電圧をかけたあとの値(1分値)を推奨
判定推奨は100MΩ以上。1MΩを下回る場合は使用しない

インバータにつながっているモーターは、測る前にインバータとの配線を外します。東芝産業機器システムのFAQが、モータの絶縁試験は出力端子U、V、Wの接続を外して行うよう書いています。

プラントの電気保全を8年あまりやった私は、モーターの絶縁抵抗を盤側でまとめて測っていました。住友重機械工業の取扱説明書の指示は、モーター単体での測定です。

測るのは、巻線とアースの間

三菱電機のFAQ「絶縁抵抗の基準値について」は、測り方を次のように書いています。

絶縁抵抗は、モータ巻線の端子とアース部(フレームなど)に1分間電圧印加後の値(1分値)を計測することを推奨します。

メガーの片方をモーターの端子(U、V、W)に、もう片方をアースにつなぎ、1分たったところの値を読みます。測定電圧について、同じFAQは、モータの定格電圧と絶縁の状態に合った値にすべきで、600V以下の巻線には直流500Vにする、としています。

モーターの構造の話をすると、口出線が3本のモーターは、巻線が中でスター結線かデルタ結線につながっています。U、V、Wのどれか1本に当てれば、3相の巻線をまとめて測ることになります。同じ理由で、U-V間のような線間にメガーを当てても、巻線でつながっているので0MΩ近くを指します。モーターがつながったままでは、端子の線間の絶縁は測れません。

基準値は2社とも1MΩ以上、三菱電機は100MΩ以上を推奨

基準値(判定値)は、メーカーと機種で書き方が違います。

資料対象判定値
三菱電機のFAQ 18482三相モータ SF-PR、SF-HR、SF-JR推奨は500Vメガーで100MΩ以上。1MΩを下回る場合は使用しない
住友重機械工業の取扱説明書 MM1004-3オプション仕様モータ(600V以下の低圧電動機)メガ電圧500Vで1MΩ以上

住友重機械工業の取扱説明書は、絶縁抵抗はモータの出力、電圧、絶縁種別、巻線の温度、湿気、汚損度、使用期間などで変わるとしたうえで、通常は表の値以上が必要だと書いています。

法令にも、低圧の電路の絶縁抵抗の値(0.1MΩ、0.2MΩ、0.4MΩ)があります。こちらは電路についての値で、モーター単体の判定値とは別のものです。法令の値の読み方は、記事「「0.1MΩ以上」は、健全という意味ではない」に書きました。

インバータの回路では、インバータにメガーをかけない

東芝産業機器システムのFAQ「メガテスト(絶縁試験)」は、モータの絶縁試験について次のように書いています。

モータ単体の絶縁試験を行う場合は、出力端子U, V, Wの接続を外し、モータ単体で行ってください。

同じFAQは、モータ以外の周辺回路を試験するときも、インバータにつながっている配線をすべて外し、インバータに試験電圧がかからないようにするよう書いています。

インバータそのものを試験するときの手順も、このFAQにあります。主回路端子台の配線をすべて外し、端子を一括で短絡してから、主回路端子とアースの間に電圧をかけます。一括短絡をしないで電圧をかけると、インバータの内部の部品に電気的なストレスが加わる場合があります。試験は500Vメガーで主回路端子台だけを対象に行います。値は、5MΩ以上であれば問題ないとし、ノイズフィルタ内蔵の機種は低めの値になると注記しています。

インバータの機種が違えば、手順や判定値も違うことがあります。測る前に、そのインバータの取扱説明書で確かめてください。

盤側でまとめて測ると、ケーブルとモーターを合わせた値になる

保全で私がモーターの絶縁抵抗を測るときは、盤の端子から、ケーブルとモーターをまとめて測っていました。

盤側で測ると、出てくる値はケーブルとモーターを合わせたものです。値が低かったときは、それだけではケーブルとモーターのどちらが悪いのか分かりません。モーター側で配線を外し、モーター単体とケーブルを分けて測れば、どちらが低いのかが分かります。インバータの回路を盤側から測るときも、東芝産業機器システムのFAQのとおり、先にインバータの配線を外します。

住友重機械工業の取扱説明書は、配線の章で、モーター単体で測るよう次のように書いています。

絶縁抵抗を測定するときは必ず制御盤との接続を切り離し、モータ単体で測定してください。

メーカーの判定値(1MΩ以上など)は、モーター単体の値です。盤側でまとめて測った値には、ケーブルの分も含まれます。

1MΩを下回ったら、電源を入れない

住友重機械工業の取扱説明書は、絶縁抵抗が低下しているときは絶縁不良も考えられるので、電源を入れずに認定サービス店に相談するよう書いています。三菱電機のFAQも、1MΩを下回る場合は使用しないとしています。

測定中は、端子に触れないでください。住友重機械工業の取扱説明書が、絶縁抵抗の測定の際は端子に触れないよう、感電のおそれを挙げて注意しています。

まとめ

  • モーターの絶縁抵抗は、巻線の端子とアース(フレームなど)の間を測る。600V以下の巻線は直流500V、1分値を読む(三菱電機のFAQ)
  • 判定値は、三菱電機の三相モータで推奨100MΩ以上、1MΩを下回ったら使わない。住友重機械工業の取扱説明書は1MΩ以上
  • 法令の0.1MΩなどは電路の値で、モーター単体の判定値とは別
  • インバータで回しているモーターは、出力端子U、V、Wの接続を外してモーター単体で測る(東芝産業機器システムのFAQ)。インバータに試験電圧をかけない
  • 盤側で測った値は、ケーブルとモーターを合わせたもの。低かったら、モーター側で配線を外して分けて測れば、どちらが低いか分かる(私は盤側でまとめて測っていた)
  • 1MΩを下回ったら電源を入れない(三菱電機のFAQ、住友重機械工業の取扱説明書)。測定中は端子に触れない

参考にした資料

閲覧日は、とくに書いていないものは2026年10月10日です。

  • 三菱電機「絶縁抵抗の基準値について」(FAQ 18482、三相モータ SF-PR、SF-HR、SF-JR、公開 2015/03/31、更新 2017/12/04) / https://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/18482?site_domain=default / 確認した範囲:回答全文
  • 住友重機械工業 取扱説明書 No.MM1004-3「オプション仕様モータ」 / https://assets.sumitomodrive.com/sites/default/files/2024-01/mm1004-3.1.pdf / 確認した範囲:4ページ(注意)、5ページ「2-1 絶縁抵抗の測定」
  • 東芝産業機器システム「[共通] メガテスト(絶縁試験)」(インバータFAQ) / https://www.toshiba-tips.co.jp/services/faq/inverter/0048.html / 確認した範囲:回答全文

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