シーケンス図の読み方|縦書きは左から右へ、図は電源を切り手を放した状態で描かれる

シーケンス図の読み方 シーケンス制御

シーケンス図は、展開接続図とも呼ばれる、制御回路を動作の順に並べて描いた図です。縦書きの図なら、上下に引いた2本の制御母線のあいだに回路を縦に描き、左から右へ動作の順に並べます。横書きの図なら、母線が左右にあり、回路は上から下へ並びます。

読む前に押さえる約束は2つです。図は、電源を切り、押しボタンなどから手を放した状態で描かれています。そして、離れた場所にある接点は、コイルと同じ名前で結びついています。この2つが分かれば、ボタンを押したら何が起きるかを、図の上で順に追えます。

縦書きのシーケンス図の例(電動機の始動と停止)。上の制御母線Rと下の制御母線Tのあいだに、左の回路として停止用ボタンのb接点、始動用ボタンのa接点とそれに並列のMCのa接点、電磁接触器のコイルMC、熱動継電器THRのb接点を直列に描き、右の回路としてMCのa接点と運転表示灯SLを描く。回路は左から右へ動作の順に並ぶ。記号は簡略化した。

シーケンス図は、展開接続図のこと

三菱電機の技術者向けの教材は、一般に「シーケンス図」と呼ぶものが展開接続図だとしています。機器を制御・保護する電気回路を、操作の順序にしたがって展開した図です。

同じ教材は、展開接続図で表せるものとして、機器の構成、機器間の接続・端子番号・線番号、電源を切って動作していないときの機器の状態などを挙げています。使い道は、制御回路の設計、制御装置の製作と試験、保守です。

縦書きは左から右へ、横書きは上から下へ

日本電気技術者協会の解説は、縦書きの接続図は左から右へ、横書きの接続図は上から下へ、シーケンス制御の作動が進むように描くとしています。

書き方制御母線の位置回路の並び
縦書き上下に横線で引く左から右へ、動作の順に並ぶ
横書き左右に縦線で引く上から下へ、動作の順に並ぶ

三菱電機の教材は、一般には動作の追いやすい縦書きが多く使われるとしています。

制御母線の名前は、日本電気技術者協会によると、交流ならRとT、直流ならPとNです。どちらも電源の線を表します。三菱電機の教材は、直流では正極を上または左、交流では非接地側を上または左に置くとしています。

交流の制御回路では、接点は非接地側、コイルは接地側に置く

三菱電機の教材は、交流の制御回路では、接点を非接地側に、コイルなどの負荷を接地側につなぐのが一般的だとしています。逆にすると、コイルと接点のあいだで地絡したときに、コイルが働いてしまうおそれがあるからです。

ただし、同じ教材は、電磁開閉器では例外的に、熱動継電器(サーマルリレー、THR)の接点が接地側にあるとしています。冒頭の図で、THRのb接点がコイルMCの下にあるのはこのためです。

図は、電源を切り、手を放した状態で描かれている

日本電気技術者協会の解説は、展開接続図は電源を切った状態で描き、手で動かす接点は手を放した状態、そのほかの接点は休止またはふだんの状態で描くとしています。三菱電機の教材は、さらに細かく次のように書いています。

  • 電源は、すべて切り離した状態
  • 制御する機器は休止した状態。電動機は止まり、遮断器は開き、コイルには電流が流れていない
  • 押しボタンのように手を放すと戻る開閉器は、手を放した状態
  • 手で戻す開閉器や継電器は、戻した状態
  • 常用・予備のように切り換える器具は、ふだん使う側
  • どちらの状態で描いてもよい機器は、どちらで描いたかを図面に書く(リミットスイッチなど)

図で多くのa接点が開き、b接点が閉じて描かれているのは、この状態だからです。リミットスイッチなどは、図面の書き込みでどの状態かを確かめます。ボタンを押せば、a接点が閉じてb接点が開きます。a接点とb接点の違いは、記事「a接点とb接点の違い」で扱いました。

記号は JIS C 0617、文字記号は JEM 1115

図記号は JIS C 0617。古い図面は旧 JIS C 0301 の記号

三菱電機の教材は、シーケンス図の図記号は JIS C 0617「電気用図記号」に規定されているとしています。

JIS C 0617 は IEC 60617 に準拠した規格です(春日電機のカタログ)。電気設計用CADのメーカーEPLANの解説によると、それまでの JIS C 0301 に代わり、1997年と1999年に分けて制定されました。春日電機のカタログは、JIS C 0617 の記号と旧 JIS C 0301 の記号を並べて載せています。古い盤の図面では、旧規格の記号で描かれていることがあります。形が分からない記号は、図面の凡例か、新旧を並べた資料で確かめます。

文字記号は英語の頭文字、器具番号は数字

図記号だけでは、それが何の機器かまでは分からないことがあります。三菱電機の教材は、機器の種類や働きを文字記号で補うとしています。文字記号は JEM 1115「配電盤・制御盤・制御装置の用語及び文字記号」に定められていて、多くは英語の頭文字です。

農林水産省の資料が載せている JEM 1115(2010年版)の抜粋から、制御回路でよく出てくるものを挙げます。

文字記号機器
MC電磁接触器
THR熱動形継電器
BSボタンスイッチ
SL表示灯
LSリミットスイッチ
COS切替スイッチ
MCCB配線用遮断器

三菱電機の教材が載せている抜粋では、表示灯の色は、赤なら RD(RL)、緑なら GN(GL)のような補助の記号で表します。

受変電設備の図面では、数字の器具番号もよく出てきます。器具番号は JEM 1090「制御器具番号」に定められています。農林水産省の資料の抜粋では、52 が交流遮断器または接触器、51 が交流過電流継電器、49 が回転機温度継電器または過負荷継電器などです。

図面に出てくる記号が規格の抜粋と違うときは、その図面の凡例に従います。

厚生労働省の電気製図技能検定の試験範囲には、JIS C 0617、JEM 1115、JEM 1090 と、JEM 1404「展開接続図の様式」が並んでいます。

接点は、コイルと同じ名前で探す

シーケンス図では、コイルとその接点は、離れた場所に描かれます。日本電気技術者協会の解説の図では、リレーCのa接点を「Ca」のように、コイルの名前で表しています。コイルMCに電流が流れれば、図のどこにあっても、MCと名の付いたa接点は閉じ、b接点は開きます。

図面には、線番号や端子番号も書かれます(三菱電機の教材)。電気設計用のCADのうち、アルファテックとタナックシステムの製品には、コイルの横に接点の所在を、接点の横にコイルの所在を書き込む機能や、線番号を自動で付ける機能があります。図面にこうした番号があれば、コイルから接点をたどれます。

例:始動と停止の回路を読む

冒頭の図を、始動ボタンを押したところから順に読みます。

  1. 始動ボタンを押す。a接点が閉じ、R→停止ボタンのb接点→始動ボタン→コイルMC→THRのb接点→Tと電流が流れて、MCが働く
  2. MCのa接点が閉じる。始動ボタンに並列のMCのa接点が閉じる。右の回路のMCのa接点も閉じて、運転表示灯SLが点く
  3. 始動ボタンから手を放す。始動ボタンのa接点は開くが、並列のMCのa接点を通って電流が流れ続け、MCは働いたまま(自己保持)。自己保持の組み方は、記事「自己保持回路とは」で扱いました
  4. 停止ボタンを押す。b接点が開いてMCへの電流が切れ、MCのa接点が開く。手を放しても、自己保持は戻らない
  5. 過負荷でTHRが働いた場合も、THRのb接点が開いて、MCへの電流が切れる

図面を読む順番

決まった順番はありませんが、次の順で読むと追いやすくなります。

  1. 凡例と、描かれている状態を確かめる。記号の規格(新旧)と、文字記号の一覧を見る
  2. 制御母線と電源を確かめる。交流か直流か、何Vか
  3. 縦書きなら左の回路から読む。横書きなら上から読む
  4. コイルが働いたら、同じ名前の接点を探す。a接点は閉じ、b接点は開く。タイマーの限時接点は、オンディレイなら入力が入ってから設定時間のあとに切り替わる。オフディレイなら入力ですぐ切り替わり、入力が切れてから設定時間のあとに戻る(記事「タイマーリレーのオンディレイとオフディレイの違い」)
  5. 停止と保護の接点を確かめる。停止ボタンのb接点、THRのb接点など、回路を切る接点がどこにあるか

図面を見ながら盤を点検するときは、充電部に近づく作業になります。職場の作業手順と、保護具の決まりに従います。

まとめ

  • シーケンス図は、展開接続図とも呼ばれ、制御回路を動作の順に並べて描いた図
  • 縦書きは母線が上下で、回路は左から右へ。横書きは母線が左右で、回路は上から下へ。一般には縦書きが多い
  • 交流の制御回路では、接点は非接地側、コイルは接地側に置くのが一般的。電磁開閉器のTHRの接点は例外
  • 図は、電源を切り、手を放した状態で描く。だから、多くのa接点は開き、b接点は閉じて描かれる。リミットスイッチなどは、図面に書かれた状態を確かめる
  • 図記号は JIS C 0617。古い図面は旧 JIS C 0301 の記号のことがある
  • 文字記号は JEM 1115(MC、THR、BSなど)、器具番号は JEM 1090(52、51など)。図面の凡例に従う
  • 接点は、コイルと同じ名前で探す

参考にした資料

  • 三菱電機 FA eラーニング「配電制御機器の電気知識」2.4 展開接続図(https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/ssl/learn/el/eln/course/fa_0131/cha_2/02040001.html)、3.1 シーケンスの読み方(https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/ssl/learn/el/eln/course/fa_0131/cha_3/03010001.html)、3.2 電気用図記号(https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/ssl/learn/el/eln/course/fa_0131/cha_3/03020001.html)、3.3 制御器具番号(https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/ssl/learn/el/eln/course/fa_0131/cha_3/03030001.html)、3.4 文字記号(https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/ssl/learn/el/eln/course/fa_0131/cha_3/03040001.html)、3.5 シーケンスの書き方(https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/ssl/learn/el/eln/course/fa_0131/cha_3/03050001.html)、参考資料「JEM 1115 抜粋」
  • 日本電気技術者協会「リレーシーケンスの基礎」(https://jeea.or.jp/course/contents/09107/)
  • 日本電機工業会「JEM規格番号一覧」(https://www.jema-net.or.jp/engineering/JEM_JEM-TR/JEMnumber.html)
  • 農林水産省「機械設備関係 参考資料」文字記号〔JEM 1115 抜粋〕・制御器具番号〔JEM 1090 抜粋〕(https://www.maff.go.jp/j/nousin/seko/kyotu_siyosyo/kikaisisin/attach/pdf/denkisetsubi_koutei-27.pdf)
  • 厚生労働省「電気製図技能検定試験の試験科目及びその範囲並びにその細目」(https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001168013.pdf)
  • EPLAN「新JIS規格に準拠した回路記号で行う電気設計」(https://blog.eplanjapan.co.jp/blog/trend3)
  • 春日電機「総合カタログB」電気用基本図記号(http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/kasug-sougoub/Book/kasug-sougoub-P0975.pdf)
  • アルファテック「ACAD-DENKI 基本機能」(https://www.alfatech.jp/products/acad-denki/baseFunction.html)、タナックシステム「CADCityシーケンス」(https://www.tanaksys.com/cad_seq.html)
この記事を書いた人
高卒電気マン

高卒から電気の道へ。プラントの電気保全を8年あまり、受配電設備の設計を経て、現在はクレーンの電気制御設計に従事。2026年に電験三種合格。壊れる側と作る側の両方を見てきた視点で、日々の学びを記録しています。

高卒電気マンをフォローする
シーケンス制御
シェアする
高卒電気マンをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました