制御用リレーの寿命は、カタログでは年数ではなく、開閉できる回数(耐久性)で表します。回数には、接点に負荷をつながない機械的耐久性と、定格負荷をつないだ電気的耐久性の2つがあります。電気的耐久性は、負荷の種類や電流で大きく変わります。接点溶着の主な原因は、接点容量に見合わない負荷(突入電流の大きい負荷など)と、多すぎる開閉です。ほかに、負荷回路の短絡、電圧低下などによるうなり、耐久回数の到来などでも起きます。
保全をしていた工場では、リレーの故障は接点溶着などの、一般的なものだったと思います。高い頻度でON/OFFを繰り返す箇所には、高頻度用のリレーを使っていました。

リレーの寿命は、カタログでは年数ではなく開閉回数で表す
オムロンのFAQは、耐久性(寿命)を、接点を持つ商品が規定の性能からはずれるまでに開閉できる回数、と説明しています。表し方は2種類です。
- 機械的耐久性:接点に負荷を接続せず、通電しない状態で、規定の開閉ひん度で開閉させたときの耐久性
- 電気的耐久性:接点に定格負荷を接続した状態で、規定の開閉ひん度で開閉させたときの耐久性
パナソニックの用語説明も同じ分け方です。機械的寿命は「接点には通電せず」、電気的寿命は「接点には定格負荷を接続し」た寿命としています。
オムロンの別のFAQは、リレーの具体的な耐用年数や推奨交換時期の規定はない、としています。同じFAQによると、リレーの寿命には接点の寿命とコイルの寿命があります。接点の寿命は、耐久性曲線や電気的耐久性の開閉回数を参考にします。コイルは主にポリウレタン銅線で、電線単品の耐熱寿命は一般的に4万時間、としています。
電気的耐久性は、負荷の種類と電流で大きく変わる
オムロンの「リレー 共通の注意事項」は、接点定格は一般に抵抗負荷を基準に表示している、と書いています。誘導負荷は、負荷に貯えられる電磁エネルギーの影響で、抵抗負荷より開閉能力が下がります。
同社のFAQには、形MY2の定格負荷の例があります。抵抗負荷ではAC220V 5A、誘導負荷(cosφ=0.4)ではAC220V 2Aです。同じリレーでも、つなぐ負荷で開閉できる電流が変わります。
開閉回数は、カタログの耐久性曲線で、負荷の電圧と電流から読みます。パナソニックの用語説明には、接点電圧125V AC、接点電流0.6Aで寿命30万回、という読み方の例があります。これは抵抗負荷の場合なので、実負荷の条件で確かめるよう添えています。
突入電流の大きい負荷は、接点を傷めやすい
モータやランプのように、入れた瞬間に定常より大きな電流が流れる負荷があります。パナソニックの注意事項は、閉路時の突入電流が大きいほど、接点の消耗や転移が増え、溶着につながることがある、と書いています。
突入電流の大きさの目安は、メーカーによって少し違います。
| 負荷の種類 | パナソニックの目安(定常電流の) | オムロンの目安(交流負荷。定常電流の) |
|---|---|---|
| 抵抗負荷 | 1倍 | 1倍 |
| ソレノイド | 10〜20倍 | 約10倍 |
| モータ | 5〜10倍 | 約5〜10倍 |
| 白熱電球 | 10〜15倍 | 約10〜15倍 |
| コンデンサ | 20〜40倍 | 約20〜50倍 |
| トランス | 5〜15倍 | 約10〜20倍 |
パナソニックは、突入電流のある負荷では定常電流と突入電流の両方を測り、リレーの余裕を検討するよう求めています。オムロンも、余裕度の検討を求めています。
接点を2つ並列にしても、開閉できる電流は2倍にならない
オムロンの技術解説は、リレー接点を2個並列にしても開閉容量は2倍にならない、としています。2つの接点がいつも同時にON/OFFするとは限らず、瞬間的に1つの接点に全負担がかかるためです。
NECAの資料は、接点溶着の原因に負荷の過大・開閉ひん度の過大・短絡・うなり・耐久回数の到来の5つを挙げる
接点溶着は、接点が溶けてくっつき、離れなくなることです。オムロンの用語解説は、溶着を「接触面およびその近傍が溶融固着して開離困難となる現象」としています。溶着すると、コイルの電圧を切っても接点が離れず、リレーが復帰しません。
オムロンの注意事項は、日本電気制御機器工業会(NECA)の資料から抜粋した故障解析の表で、接点溶着の原因を5つ挙げています。
- 接続負荷機器の過大(接点容量の不足)
- 開閉ひん度の過大
- 負荷回路の短絡
- うなりによる接点の異常開閉
- 規定耐久回数の到来
モータが始動した瞬間の電圧低下でも、接点は傷む
4つ目の、うなりによる接点の異常開閉は、操作回路の電圧が下がったときにも起きます。オムロンの注意事項は、大型モータなど突入電流の大きい負荷を動かした瞬間に、リレーコイルの電圧が下がる場合があると書いています。操作回路の電源と同じラインにモータやソレノイドがあると、それらが動作したときに電圧低下で接点がバイブレーションを起こします。これが焼損や溶着、自己保持はずれの原因になります。
パナソニックも、AC型コイルのリレーについて、モータ起動の際に電源電圧がドロップすると、リレーがうなりながら復帰し、接点の焼損・溶着や自己保持はずれが起こる、と書いています。自己保持のしくみは、記事「自己保持回路とは」で扱いました。
電磁接触器でも、始動電流による電圧低下で同じことが起きます。三菱電機の電磁開閉器の技術資料(MS-Tシリーズ)は、電動機の始動電流による電圧降下で接点が浮き上がる場合がある、と書いています。これを高頻度で繰り返すと、接点溶着や接触子の溶断が起きる場合があります。
接触不良は、使い方と周りの空気で起きる
溶着とは逆に、接点が閉じても電気が通りにくくなるのが接触不良です。オムロンのFAQは、接触不良の原因に次のものを挙げています。
- 微小負荷で使うときの、硫化ガスや塩害による接点面の硫化・塩化
- 誘導負荷の開閉で、接点にできる炭化物
- シリコーンガスの侵入
- アーク放電でできる硝酸による腐食
開閉の少なさも原因になります。パナソニックの注意事項では、開閉頻度が月1回以下の使い方では、定期的に接点の通電検査をするよう求めています。長期間開閉しないと、接点表面に皮膜ができて接触が不安定になるためです。
周りの空気が悪い場所では、シール構造のリレーが候補になります。パナソニックは密封型のリレーを、オムロンはプラスチック・シールリレーやハーメチック・シールリレーを挙げています。シリコーンの影響が考えられる場合は、ハーメチック・シールリレーを使う、とオムロンは書いています。
高頻度で入り切りする箇所は、開閉回数を時間に直して見積もる
開閉回数で決まる寿命は、開閉が多いほど早く来ます。オムロンのFAQに、温度調節器のリレー出力でPID制御をする例があります。電気的寿命が10万回のリレー出力で、制御周期を20秒にすると、550時間で寿命に達するという例です。
寿命までの時間は、電気的耐久性の回数に、1回の開閉にかかる周期を掛けると見積もれます。この例なら、10万回×20秒=200万秒で、約556時間です(FAQは550時間)。1日24時間動かす設備なら、1か月もたない計算です。
同じFAQは、PID制御の場合は、制御周期を長めに設定することや、電圧出力で外付けのSSR(無接点リレー)を使うことを勧めています。
SSRは、開閉回数の制限がない代わりに、別の注意がある
SSR(ソリッドステート・リレー)は、半導体を使った、可動接点のないリレーです。オムロンの技術解説は、SSRの特長に「高速・高頻度開閉に対応」「開閉回数の制限なし」を挙げています。一般のリレーのほうは「開閉回数の制限あり」です。
そのかわり、オムロンはSSRに次の注意を挙げています。
- 故障はほとんどがショート故障(短絡故障)で、負荷を遮断できなくなる。SSRだけで負荷を切る回路にせず、SSRの異常時には負荷電源側のコンタクタやブレーカで遮断する回路にする
- 短絡電流が流れるとSSRが破裂する場合がある。短絡保護の対策例として、負荷と直列に速断ヒューズを入れる
- 電磁リレーと比べて自己発熱が大きく、放熱が要る。一般に5A程度までは放熱器なしで済むが、それ以上は放熱器が要る
- 入力がないときでも、出力側に数mAの漏れ電流が流れる
- 自己保持回路は、有接点のリレーで組む
漏れ電流があるので、SSRの交換や配線では、入力側と負荷側の両方の電源を切り、安全を確かめてから作業するよう、オムロンは書いています。電源を切った直後でも、負荷側のLOAD端子は内蔵スナバ回路の電荷で感電の原因に、本体と放熱器は高温で火傷の原因になる、としています。
PLCのリレー出力にも、開閉回数の目安がある
PLCの出力には、リレー出力のものもあります。三菱電機のFX5シリーズのマニュアルに、リレー出力の寿命の目安があります。同社の寿命テスト(1秒ON/1秒OFF)にもとづく値です。誘導性負荷の項にある値で、CPUユニットや出力ユニットでは、20VAで300万回、35VAで100万回、80VAで20万回です。同じ項に、コンタクタや電磁弁など誘導性交流負荷の規格寿命として、20VAで50万回という表もあります。
同じマニュアルは、逆起電力や突入電流を出す負荷は、接触不良や溶着の原因になり、接点寿命を著しく下げる、とも書いています。

PLCは寿命部品と設置環境に気をつける(オムロンは10年もたない寿命部品、三菱電機はほこりやガスを挙げる)
PLCが壊れるのは、寿命以外ではよほどのことだ、というのが保全をしていたときの私の実感です。一般的ではないかもしれませんが、環境の悪い場所で、接触不良のような症状が出てPLCのカードを交換したこともあります。
オムロンのFAQによると、同社はPLC・PT(プログラマブルターミナル)を使用年数10年と規定して寿命計算・設計しています。ただし、設置される環境や機種によっては、10年を満たさない寿命部品もあります。バッテリ、出力リレー、フォトカプラ、アルミ電解コンデンサ、ヒューズなどです。これらの部品で寿命が決まるユニットがあります。
三菱電機のFX5Uのマニュアルも、ほこり、導電性ダスト、腐食性ガスのある場所で使わないよう求めています。接続ケーブルはコネクタに確実に装着するよう書き、接触不良により誤動作の原因となることがある、としています。
自分の回路で確かめる順番
| 場面 | 確かめること | 見る資料 |
|---|---|---|
| リレーを選ぶ・置き換える | 負荷の種類、定常電流と突入電流。抵抗負荷の定格だけで決めていないか | カタログの接点定格、電気的耐久性曲線 |
| 高頻度で入り切りする | 1時間あたりの開閉回数から、寿命までの時間を見積もる | 電気的耐久性の回数。足りなければSSRなど無接点のものも検討 |
| 接点が溶着した | 負荷が接点容量を超えていないか、開閉が多すぎないか、負荷の短絡、うなり、耐久回数の到来 | オムロンの注意事項の故障解析の表 |
| 接触不良が出た | 周りの空気(硫化ガス、シリコーン)、開閉が少なすぎないか | 設置環境、シール構造のリレーの有無 |
| SSRを使う | 負荷電源側にコンタクタかブレーカがあるか、速断ヒューズ、放熱、漏れ電流 | SSRの共通の注意事項 |
リレーを外したり交換したりするときは、電源を切って作業します。停電作業で法令が求める措置は、記事「検電して電圧がなくても、まだ触らない」で扱いました。
まとめ
- リレーの寿命は、カタログでは年数ではなく開閉回数(耐久性)で表す。無負荷の機械的耐久性と、定格負荷をつないだ電気的耐久性がある(オムロン・パナソニック)
- 接点定格は一般に抵抗負荷が基準(オムロン)。誘導負荷では開閉できる電流が下がる(オムロンの形MY2の例:抵抗5A、誘導2A)
- 突入電流の目安はメーカーで少し違う。コンデンサ負荷はパナソニックで20〜40倍、オムロンで約20〜50倍
- 接点溶着の原因は、負荷の過大、開閉ひん度の過大、負荷回路の短絡、うなり、耐久回数の到来(NECAの資料から、オムロンが抜粋)
- モータ始動時の電圧低下でも、うなりから溶着や自己保持はずれが起きうる
- 接触不良は、硫化ガス(微小負荷のとき)・シリコーン・炭化物などと、開閉の少なすぎる使い方で起きる
- 高頻度の開閉は、寿命までの時間に直して見積もる。オムロンの例では10万回・20秒周期で550時間
- SSRは開閉回数の制限がないが、ショート故障、発熱、漏れ電流に注意が要る(オムロン)
- PLCは、出力リレーなどの寿命部品でユニットの寿命が決まることがある(オムロン)。ほこり・導電性ダスト・腐食性ガスのある場所では使わない(三菱電機のFX5Uのマニュアル)
参考にした資料(閲覧日:2026-10-25)
- オムロン 製品に関するFAQ「■機械的寿命・電気的寿命 (全商品共通・用語解説)」(https://faq.fa.omron.co.jp/tech/s/article/faq02225)
- オムロン 製品に関するFAQ「リレーの寿命、推奨交換時期を教えてください。」(https://faq.fa.omron.co.jp/tech/s/article/faq06044)
- オムロン 製品に関するFAQ「接点の開閉容量が負荷の種類によって違うのはなぜですか?」(https://faq.fa.omron.co.jp/tech/s/article/faq02771)
- オムロン 製品に関するFAQ「負荷の種類と突入電流について教えてください。」(https://faq.fa.omron.co.jp/tech/s/article/faq02165)
- オムロン 製品に関するFAQ「リレーが接触不良になる原因にはどの様なことが考えられますか?」(https://faq.fa.omron.co.jp/tech/s/article/faq04912)
- オムロン 製品に関するFAQ「リレー出力の温度調節器(デジタル調節計)でPID制御はできますか?」(https://faq.fa.omron.co.jp/tech/s/article/faq06183)
- オムロン 製品に関するFAQ「PLC、PTの寿命、推奨交換時期を教えてください。」(https://faq.fa.omron.co.jp/tech/s/article/faq04652)
- オムロン「一般リレー 用語解説」(https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/36/67/index.html)
- オムロン「一般リレー 参考資料」(https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/36/288/index.html)
- オムロン「リレー 共通の注意事項」(https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/generalrelay_cn_j_6_1.pdf)
- オムロン「ソリッドステート・リレー 概要」(https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/18/77/index.html)
- オムロン「ソリッドステート・リレー 参考資料」(https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/18/82/index.html)
- オムロン「ソリッドステート・リレー 共通の注意事項」(https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/ssr_cn_j_2_7.pdf)
- パナソニック インダストリー「リレー用語説明」(https://industry.panasonic.com/jp/ja/products/control/relay/term)
- パナソニック インダストリー「リレー使用上の注意事項」(https://industry.panasonic.com/jp/ja/products/control/relay/cautions_use)
- 三菱電機「MELSEC iQ-F FX5S/FX5UJ/FX5U/FX5UCユーザーズマニュアル(ハードウェア編)」(https://dl.mitsubishielectric.com/dl/fa/document/manual/plcf/sh082451/sh082451q.pdf)
- 三菱電機「MELSEC iQ-F FX5U CPUユニット ハードウェアマニュアル」(https://dl.mitsubishielectric.com/dl/fa/document/manual/plcf/jy997d53401/jy997d53401jh.pdf)
- 三菱電機「三菱電磁開閉器 技術資料集 MS-Tシリーズ」(https://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/document/catalog/lvsw/sh-020005/sh020005c.pdf)

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