タイマーリレーのオンディレイとオフディレイの違い|遅れるのは出力のONか、OFFか

タイマーリレーのオンディレイとオフディレイの違い シーケンス制御

オンディレイは、入力が入ってから設定時間だけ遅れて出力がONになり、入力が切れるとすぐOFFに戻るタイマーの動きです。オフディレイは、入力が入るとすぐ出力がONになり、入力が切れてから設定時間だけ遅れてOFFになる動きです。遅れるのが出力のONか、OFFかの違いです。パナソニックの用語解説では、オンディレイの接点を「限時動作・瞬時復帰接点」、オフディレイの接点を「瞬時動作・限時復帰接点」と呼びます。

オフディレイには、入力信号が切れてから計る形のほかに、タイマーの電源が切れてから計る形(電源オフディレー)もあります。オムロンの形H3CR-H、パナソニックの受注終了品PM4H-F、富士電機のMS4SFには、電源を入れておく時間に下限があります。

オンディレイとオフディレイのタイムチャート。上段がオンディレイ:入力がONしてから設定時間tだけ遅れて出力がON、入力がOFFすると出力もすぐOFF。下段がオフディレイ:入力がONすると出力もすぐON、入力がOFFしてから設定時間tだけ遅れて出力がOFF。

オンディレイは「入ってから遅れてON」、オフディレイは「切れてから遅れてOFF」

オムロンの技術解説は、オンディレー動作を、タイマーに入力が入ってから設定した時間だけ遅れて接点が切り替わり、出力する動きと説明しています。名前の由来は、入力が入って(オン)から出力が出るタイミングが遅れる(ディレー)ことです。同じ解説は、自動機械で使われる動作モードの中では、オンディレー動作がもっとも多く使われる、としています。

オフディレー動作は、入力と同時に出力がONし、入力がOFFしてから設定時間を計り、その時間だけ遅れて出力をOFFする動きです。入力が切れて(オフ)から、出力が切れるタイミングが遅れます。

動きの順番で並べると、次のとおりです。

  • オンディレイ:入力ON → 設定時間を待つ → 出力ON → 入力OFF → 出力はすぐOFF
  • オフディレイ:入力ON → 出力はすぐON → 入力OFF → 設定時間を待つ → 出力OFF
項目オンディレイオフディレイ
遅れる動き出力がONになる動き出力がOFFになる動き
入力がONしたとき設定時間のあとに出力ONすぐに出力ON
入力がOFFしたときすぐに出力OFF設定時間のあとに出力OFF
接点の呼び方(パナソニックの用語解説)限時動作・瞬時復帰接点瞬時動作・限時復帰接点
オムロンの技術解説の用途例押しボタン式の信号機(押してから、ある程度遅れて青に変わる)自動車の室内灯(ドアを閉めても数秒間は点いている)

オムロンとパナソニックの解説は、どちらも基本の動作を4つ挙げています。オンディレイとオフディレイのほかの2つは、次のとおりです。

  • フリッカ:入力が入ると、出力が設定時間ごとにON/OFFを繰り返す
  • インターバル:入力と同時に出力がONし、設定時間のあとにOFFする

インターバルとオフディレイは、どちらも「すぐON、遅れてOFF」に見えます。違いは、時間を計り始める合図です。インターバルは入力が入ったときから計り、オフディレイは入力が切れたときから計ります。

タイマーには、電源で計り始める形と、スタート信号で計り始める形がある

オムロンの技術解説は、動作モードのスタート方法を2通りに分けています。

  • 信号スタート:タイマーの電源に電圧を加えておき、入力端子にスタート信号が入ると計時を始める
  • 電源スタート:タイマーの電源を入れると計時を始める

同じ解説によると、信号スタートの形は外部入力が要るので、端子が多くなります。自動機械では、形H3CRの場合、電源スタートの形(形H3CR-A8)が多く使われている、としています。

電源スタートのオンディレイでは、タイマーの電源そのものが「入力」です。電源を入れると計時が始まります。図面を読むときは、そのタイマーが電源で動く形か、スタート信号で動く形かを、まず形式で確かめます。

接点の名前は「限時」と「瞬時」。どちらの接点を使うかで動きが変わる

タイマーの接点には、設定時間を待ってから切り替わる接点があります。オムロンの参考資料の図記号の表は、時間を待つ接点を次の3つに分けています。どれにもa接点とb接点があります。

  • 限時動作接点
  • 限時復帰接点
  • 限時動作、限時復帰接点

オンディレイの限時a接点は、入力が入ってから設定時間のあとに閉じ、入力が切れるとすぐ開きます。オフディレイなら逆で、入力でただちに閉じ、入力が切れて設定時間がたってから開きます。

限時接点のほかに、時間を待たない瞬時接点を持つ機種もあります。たとえばオムロンの形H3DT-N2は、出力を「限時2c」か「限時1c+瞬時1c」に切り替えられます。瞬時に設定した側のリレーは、電源の動きに合わせてON/OFFする、としています。富士電機のスーパータイマには、「瞬時接点付オンデレー」(MS4SC)という形式があります。

瞬時接点については、自己保持回路での使い方に注意書きのある機種もあります。たとえば、オムロンの形H3CR-G(スターデルタ・タイマ)の最小電源開放時間は0.5sです。仕様の注は、形H3CR-A・形H3CR-Fより長いので、瞬時接点を自己保持回路に用いるケースでは注意するよう書いています。自己保持回路の組み方は、記事「自己保持回路とは」で扱いました。

オフディレイには、入力信号で計る形と、電源を切ってから計る形がある

オフディレイの「入力が切れる」には、2つの形があります。

  • 信号オフディレー:電源を入れたまま、スタート信号が切れてから計る(オムロンの形H3CR-AのDモードなど)
  • 電源オフディレー:電源を入れると出力がすぐ動作し、電源が切れてから計る(オムロンの形H3CR-H、形H3DT-H。パナソニックの受注終了品PM4H-Fはパワーオフディレー、IDECは電源オフディレータイプと表記)
2つのオフディレイのタイムチャート。上段は信号オフディレー:タイマーの電源は入れたまま、スタート信号がONすると出力がすぐON、スタート信号がOFFしてから設定時間tのあとに出力がOFF。下段は電源オフディレー:タイマーの電源がONすると出力がすぐON、電源がOFFしてから設定時間tのあとに出力がOFF。電源を入れておく時間には下限がある(形H3CR-Hの例:秒の機種で0.1s以上、分の機種で2s以上)。

電源オフディレーの形には、使い方の条件がついています。オムロンの形H3CR-Hの仕様では、次のとおりです。

  • 電源投入時間:Sシリーズ(秒)で0.1s以上、Mシリーズ(分)で2s以上。これより短いと動作しないことがある
  • タイムアップの繰り返し周期:3s以上。3s未満で使うと、異常発熱・焼損の原因になる

形H3DT-Hの注意事項も、繰り返し周期が3秒以下のタイムアップ動作を、故障の原因として挙げています。そのような使い方では、形H3DT-NのDモード(信号オフディレー)を検討するよう書いています。

富士電機のFAQも、同社のオフデレータイマ MS4SF(-R)について、出力接点を動かす間隔は2s以上とるよう書いています。2s以内で使う場合は、MS4SMの信号オフデレーモードを検討するよう勧めています。

電源オフディレーの形には、出力にキープリレーを使っている機種があります。形H3CR-Hと形H3DT-H(どちらもオムロン)は、輸送や取り扱いの衝撃で出力接点が反転したり、中立の状態になったりすることがある、としています。そのため、使う前にテスタで出力の状態を確かめるよう書いています。

スターデルタ始動には、専用のタイマーがある

スターデルタ始動では、モータをY(スター)結線で始動し、加速したあとΔ(デルタ)結線に切り替えます。始動方式の違いは、記事「スターデルタ始動でも、モータの発熱は減らない」で書きました。

この切り替え用に、スターデルタ用のタイマーがあります。形H3CR-G(オムロン)の場合、設定した時間(スター時間)に達するとスター出力をOFFし、設定した切換時間のあとにデルタ出力をONします。切換時間は0.05s、0.1s、0.25s、0.5s、0.75s、1.0sから選びます。

時間の設定は、目盛りの使い方と、変えるタイミングに注意する

最大目盛りの近くで使える時間レンジを選ぶ

オムロンの共通の注意事項は、アナログタイマーの動作時間のばらつきを、最大目盛時間に対する%で表している、と書いています。そのため、セット時間を変えても、ばらつきの絶対値は変わりません。できるだけ最大目盛りの近くで使えるように、時間仕様を選ぶよう勧めています。

たとえば形H3CR-Aの仕様では、動作時間のばらつきは±0.2%(最大目盛りに対する割合)以下です(1.2s、3sレンジでは±0.2%±10ms以下)。セット誤差は±5%(最大目盛りに対する割合)±50ms以下です(形H3CR-APのC・D・Gモードの信号OFF時は別の値)。より正確な時間が要る場合は、使う前に動作時間を測ってつまみで調整するよう、共通の注意事項に書かれています。

時間単位や動作モードは、電源を切ってから切り替える機種がある

オムロンの形H3DTシリーズの注意事項は、通電中に時間単位・動作モード・限時/瞬時の切換スイッチを切り換えると、誤動作や故障の原因になると書いています。切り換えるときは、必ず電源を切ってから行います。パナソニックのPM4H(受注終了品)は、限時動作中は時間レンジ・時間設定・動作モードの設定を変更できません。変更したあとは、一度電源を切るか、リセット入力を入れる扱いです。

電源を切ってから入れ直すまでに、復帰時間以上あける

オムロンの用語解説では、復帰時間は、操作回路の電圧を切ってから、タイマーが始動前の状態に戻るまでの時間です。休止時間は、復帰を始めてから、再び操作回路に電圧が加えられるまでの時間です。規定の復帰時間より短い休止時間で使うと、動作時間が短くなったり、瞬間動作したり、動作しなくなったりする、と書いています。休止時間は、必ず規定の復帰時間以上とります。仕様表では、形H3CR-Aの場合、復帰時間が0.1s以下、電源リセットの最小電源開放時間が0.1sと書かれています。

タイマーが思ったとおりに動かないときに確かめる順番

盤の中の端子や配線に触れる作業は、電源を切り、開閉器に施錠か表示をするなど、停電作業の措置をとってから行います。触れる前に、検電で電圧がないことも確かめます。停電作業で求められる措置の全体は、記事「検電して電圧がなくても、まだ触らない」にまとめました。

  1. 形式と動作モードを確かめる。動作モードを切り替えられる機種なら、切替スイッチが図面どおりのモード(オンディレー、信号オフディレーなど)になっているか。電源スタートの形か、信号スタートの形か、電源オフディレーの形か
  2. 時間単位と目盛りを確かめる。時間単位切替スイッチと目盛数字切替スイッチで、同じダイヤル位置でも時間が変わる(形H3CR-Aの例)
  3. 表示灯を見る。オムロンの形H3CR-Aでは、緑の動作/通電表示灯は通電中は基本的に点灯し、計時中は点滅します。オレンジの出力表示灯は、出力を出しているときだけ点灯します
  4. 入り切りの間隔を確かめる。電源を切ってから入れ直すまでが、その機種の復帰時間や最小電源開放時間より短くないか。電源オフディレーの形なら、電源投入時間と繰り返し周期の条件を満たしているか
  5. 入力に無接点の機器や長い配線がないか確かめる。オムロンの共通の注意事項は、近接スイッチ・光電スイッチ・SSRなどの無接点出力の機器でタイマーを直接操作すると、漏れ電流で誤動作することがある、としています。形H3DT-Hの注意事項は、誘導電圧の影響で復帰しないことがあるとしています。対策は、配線を短くし、動力線と並行させないことです。誘導電圧が定格電圧の30%以上ある場合は、CRフィルターかブリーダ抵抗を電源端子間に接続する、としています
  6. 判断がつかなければ、取扱説明書とメーカーに確かめる。機種ごとの条件(電源投入時間、繰り返し周期、復帰時間)は、その機種の仕様に書かれています

まとめ

  • オンディレイは、入力が入ってから設定時間だけ遅れて出力がONし、入力が切れるとすぐOFFする(パナソニックの用語では限時動作・瞬時復帰接点)
  • オフディレイは、入力が入るとすぐ出力がONし、入力が切れてから設定時間だけ遅れてOFFする(パナソニックの用語では瞬時動作・限時復帰接点)
  • タイマーには、電源を入れると計り始める電源スタートの形と、スタート信号で計り始める信号スタートの形がある
  • オフディレイには、入力信号が切れてから計る形(信号オフディレー)と、電源が切れてから計る形(電源オフディレー)がある。形H3CR-H、PM4H-F、MS4SFなどの機種には、電源投入時間などの条件がある
  • オムロンの資料では、アナログタイマーのばらつきは最大目盛りに対する%なので、最大目盛りの近くで使えるレンジを選ぶ
  • オムロンの形H3DTシリーズのように、電源を切ってから時間単位や動作モードを切り替える機種がある
  • オムロンの用語解説は、電源を切ってから入れ直すまでの休止時間を、規定の復帰時間以上とるよう書いている

参考にした資料

  • オムロン「タイマ/タイムスイッチ 概要 – 技術解説」(https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/19/89/index.html)
  • オムロン「タイマ/タイムスイッチ 用語解説 – 技術解説」(https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/19/90/index.html)
  • オムロン「タイマ/タイムスイッチ 参考資料 – 技術解説」(https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/19/294/index.html)
  • オムロン「タイマ/タイムスイッチ 共通の注意事項」(https://www.fa.omron.co.jp/product/cautions/19/91/index.html)
  • オムロン「H3CR-A ソリッドステート・タイマ 定格/性能」(https://www.fa.omron.co.jp/products/family/193/specification/)
  • オムロン「H3CR-A ソリッドステート・タイマ 形式/種類」(https://www.fa.omron.co.jp/products/family/193/lineup/)
  • オムロン「H3CR-F / -G / -H ソリッドステート・タイマ 定格/性能」(https://www.fa.omron.co.jp/products/family/194/specification/)
  • オムロン「H3DT-N / -L マルチタイマ 定格/性能」(https://www.fa.omron.co.jp/products/family/3486/specification/)
  • オムロン「H3DT-N / -L マルチタイマ 形式/種類」(https://www.fa.omron.co.jp/products/family/3486/lineup/)
  • オムロン「H3DT-H 電源オフディレータイマ ご使用の前に」(https://www.fa.omron.co.jp/products/family/3490/preuse/)
  • パナソニック エレクトリックワークス「タイマーリレー|TERASU辞書」(https://www2.panasonic.biz/jp/terasu/skill/dictionary/Timerrelay.html)
  • パナソニック インダストリー「PM4H-Fオフディレータイマ(終了品)」(https://industry.panasonic.com/jp/ja/products/fasys/component/timer/pm4h-f)
  • 富士電機機器制御「スーパータイマ MS4S・ST7Pシリーズ」(https://www.fujielectric.co.jp/products/timer/ms4s_st7p/)
  • 富士電機機器制御 FAQ「MS4SF(-R)は高頻度開閉できますか?」(https://faq-fa.fujielectric.co.jp/faq/show/1040)
  • IDEC「GT3シリーズ オールマルチタイマ」(https://www.idec.com/ja-jp/industrial-components/relays-timers/timers/gt3-multi-function)
この記事を書いた人
高卒電気マン

高卒から電気の道へ。プラントの電気保全を8年あまり、受配電設備の設計を経て、現在はクレーンの電気制御設計に従事。2026年に電験三種合格。壊れる側と作る側の両方を見てきた視点で、日々の学びを記録しています。

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