ラダー図は、リレーの回路を記号にして、はしごのような形で書いたPLC(シーケンサ)のプログラムです。見た目はシーケンス図に似ていますが、読み方は3つ違います。PLCは、入力を取り込み、プログラムを上から順に実行し、出力を書き出す、という1周を繰り返します。プログラムの中の接点は、何回でも使えます。そして、外部でb接点につないだ機器は、プログラムではa接点で受けることがあります。
この3つを押さえれば、「ランプが点いているのに出力が出ない」「停止ボタンの接点がプログラムでは逆に見える」といったときに、どこを見ればよいかが分かります。

ラダー図は、リレー回路を記号にしたプログラム
オムロンの用語辞典は、ラダー言語を、電気リレー回路を記号化してはしごのような図形で表したプログラム言語とし、ラダー、ラダー図、ラダーロジックとも呼ぶとしています。三菱電機の用語集も、リレーシンボルでプログラムを表した図をラダー図としています。
キーエンスの解説によると、PLCのプログラム言語は国際規格 IEC 61131-3 で定められていて、ラダー(LD)はその1つです。リレー回路図を模した形で、保守の現場で最も普及しているとしています。
行の書き方
教育機器メーカーのアドウィンの教材は、ラダー図の両端の縦線を母線と呼び、そのあいだに記号を書くとしています。行は横に書いていきます。1行の中に、左から接点を並べ、右の端にコイル(出力)を置くのが基本の形です。冒頭の図の右側がその例です。
記号の形や、右の母線を描くかどうかは、使うソフトによって違います。手元の図面は、そのソフトの表示に合わせて読みます。
PLCは、上から順に処理する1周を繰り返す
キーエンスの解説は、PLCは「入力取込→プログラム実行→出力処理」という工程を、ミリ秒単位で絶え間なく繰り返すとしています。この1周にかかる時間をスキャンタイムと呼びます。オムロンは、同じものをサイクルタイムと呼んでいます。
三菱電機の用語集は、プログラムの実行順にステップ番号を付け、CPUはこのステップ番号の順に演算するとしています。ラダー図は、上の行から順に処理されます。
一括で取り込む方式では、入力の変化は次の1周で反映される
三菱電機の用語集は、入力ユニットからCPUへの入力と、CPUから出力ユニットへの出力は、プログラムの演算を始める前にまとめて行うとしています(I/Oリフレッシュ)。オムロンも、PLCの外のデータは、あるタイミングでPLCの中のメモリと一括して交換されるとしています。
入力を一括で取り込む方式では、プログラムを実行している途中で入力が変わっても、その1周の中では、取り込んだときの値で計算します。出力も、1周の計算が終わってからまとめて外へ出ます。リレーの回路のように、どこかの接点が動いたらすぐに全部が動くわけではありません。
シーケンス図との違い
リレーのシーケンス図の約束は、記事「シーケンス図の読み方」で扱いました。ラダー図で読み方が変わるのは、次の点です。
接点は何回でも使える
三菱電機のPLCの入門テキストは、リレーの接点は多くても数個だが、プログラム上では無数の接点を持っているとしています。リレーには、接触不良と寿命の制約もあると書いています。
ラダー図では、同じ入力や出力の接点が、何行にもわたって出てきます。接点の数を気にせず書けるので、シーケンス図より接点が多く並んでいることがあります。
入力・出力・内部のリレーは、記号で分かれる
三菱電機の入門テキストは、外部のスイッチから信号を受ける入力リレーを X、外部の負荷を動かす出力リレーを Y、PLCの中だけで使う補助リレーを M としています。タイマは T、カウンタは C です。
呼び方はメーカーで違います。各社の資料から、主なものを並べます。
| 役割 | 三菱電機(FXシリーズの入門テキスト) | オムロン(CS/CJ/CPシリーズ) | キーエンス(KV-8000) |
|---|---|---|---|
| 入力 | X | CIO(番号で区別) | R |
| 出力 | Y | CIO(番号で区別) | R |
| 内部の補助リレー | M | W | R、MR |
| 停電しても保持するリレー | 機種で違う(用語集の呼び方はラッチリレー) | H(保持リレー) | LR(ラッチリレー) |
| タイマ | T | T | T |
| カウンタ | C | C | C |
キーエンスでは、入力・出力・内部の補助リレーがどれも R で、番号で区別します。オムロンの W は内部補助リレーですが、キーエンスの W はリンクレジスタで、同じ記号でも意味が違います。ほかのメーカーの図面を読むときは、まずデバイスの一覧で記号の意味を確かめます。
外部でb接点につないだ機器は、プログラムではa接点で受けることがある
三菱電機の入門テキストは、PLCでは、外部の入力機器がa接点でもb接点でも、入力の端子が導通すると閉じる接点がa接点、開く接点がb接点になるとしています。同じテキストの例では、シーケンス図でb接点のリミットスイッチ LS2 を、プログラムではa接点で書いています。
外部でb接点につないだ機器は、ふだん(押していない、動いていないとき)入力の端子が導通しています。だから、プログラムでa接点で受けると、シーケンス図のb接点と同じように、ふだん閉じていて、機器が動くと開きます。
一方、停止ボタンを外部でa接点につないでいる場合は、プログラムでb接点として書きます。アドウィンの教材にも、停止用の押しボタンをプログラムのb接点で書く例があります(外部の配線の種類は書かれていません)。
ラダー図の接点がa接点かb接点かだけでは、外部の機器の接点は分かりません。外部の配線は、入出力の配線図で確かめます。
b接点でつなぐと、断線しても止まる側になる
三菱電機の入門テキストは、自己保持を切る役のリミットスイッチ LS2 をb接点で使うと、接触不良や配線の断線のときにも自己保持が切れて、モータを止められるとしています。停止ボタンも自己保持を切る役の接点なので、同じ理屈が当てはまります。外部でa接点につないだ停止ボタンは、断線すると、押しても止まらない側になります。
ただし、三菱電機は、非常停止回路、保護回路、正転・逆転のような相反する動作のインタロック回路などは、PLCの外部で組むよう警告しています。止めるための回路を、ラダー図の中だけに任せません。インタロックの組み方は、記事「インターロック回路とは」で扱いました。
同じ出力のコイルを2か所に書かない
前に挙げたアドウィンの教材は、同じデバイスのコイルを2か所以上で使うことを二重出力(ダブルコイル)と呼び、後に実行された命令の結果が最終的な出力になるとしています。同じ教材の例では、1行目で出力をONにしても、3行目で同じ出力がOFFになる条件だと、ランプは点きません。
上の行だけを見て「この条件ならONのはず」と読むと、間違えます。同じ出力のコイルがほかの行にもないかを、ソフトの検索で確かめます。
なお、三菱電機のFAQ(英語)は、GX Works2のチェックでは、SET命令とRST命令で同じデバイスを使っても二重コイルのエラーにはならないとしています。
自己保持が停電で切れるかは、使うデバイスで決まる
三菱電機の用語集は、自己保持を、自身の接点でコイルを通電させておく回路で、OFFの操作や停電などで解除されるとしています。ただし、PLCでは、ラッチリレー(停電してもOFFしないリレー。三菱電機の用語集)で組むと、停電で切れません。自己保持の組み方は、記事「自己保持回路とは」で扱いました。
オムロンのFAQは、オンの状態を保つキープ(KEEP)命令について、停電のあとも状態を保つかどうかは、命令ではなく、使うデバイス(保持リレー H など)で決まるとしています。停電から戻ったときに動き出すかどうかは、使っているデバイスまで見て判断します。
ラダー図を読む順番
決まった順番はありませんが、次の順で読むと追いやすくなります。
- デバイスの一覧を見る。入力・出力・内部のリレーが、どの記号と番号か
- 入出力の配線図を見る。外部の機器がa接点でつながっているか、b接点か
- 見たい出力のコイルを探す。同じコイルがほかの行にないかも確かめる
- そのコイルの行の接点を、左から追う。接点の記号から入力や内部のリレーをたどる
- PLCのモニタで、実際のON・OFFを見る。PLCの入力表示灯が点いているのにプログラムの接点が動かないときは、入力の番号の割付けとプログラムを確かめる。センサの表示灯は点くのにPLCの入力表示灯が点かないときは、入力の配線と方式を確かめる(記事「センサの入力が来ないときの切り分け」)
まとめ
- ラダー図は、リレー回路を記号にしたPLCのプログラム。IEC 61131-3 が定める言語の1つ(LD)
- PLCは、入力の取り込み→上の行から順に実行→出力の書き出し、の1周を繰り返す。一括で取り込む方式では、途中で入力が変わっても、その1周では取り込んだ値で計算する
- プログラムの接点は何回でも使える
- 入力・出力・内部のリレーの記号はメーカーで違う。まずデバイスの一覧を見る
- 外部でb接点につないだ機器は、プログラムではa接点で受けることがある。外部の配線は入出力の配線図で確かめる
- 同じ出力のコイルが2か所にあると、後の行の結果が出力になる
- 非常停止やインタロックは、PLCの外部の回路で組む
参考にした資料
- オムロン FA用語辞典「ラダー言語」(https://www.fa.omron.co.jp/guide/glossary/meaning/3896.html)、「プログラマブルコントローラ 用語解説」(https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/26/129/)、FAQ「I/Oメモリエリアとデータ形式」(https://faq.fa.omron.co.jp/tech/s/article/faq000104589)、FAQ「保持リレーとキープ命令の区別」(https://faq.fa.omron.co.jp/tech/s/article/faq02755)
- 三菱電機 FA用語集「ラダー図」(https://fa-dic.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/15409)、「ステップ」(https://fa-dic.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/15221)、「スキャンタイム」(https://fa-dic.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/15668)、「I/Oリフレッシュ」(https://fa-dic.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/15524)、「自己保持」(https://fa-dic.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/18964)、「ラッチリレー」(https://fa-dic.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/15412)
- 三菱電機「リレーシーケンスで学ぶ はじめてのシーケンサ 入門編」(https://fa-dic.mitsubishielectric.co.jp/fa/service-support/global/satellite/pdf/jy997d41501e.pdf)
- 三菱電機「MELSEC-QシリーズからMELSEC iQ-Rシリーズへの移行ガイド」設計上の注意事項(https://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/document/catalog/plcq/l08489/l08489j.pdf)
- 三菱電機 FAQ No.22932(英語)(https://fa-faq.mitsubishielectric.com/faq/show/22932)
- キーエンス「PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)とは?」(https://www.keyence.co.jp/ss/products/controls/network/column/functions.jsp)、「KV-8000シリーズ 仕様」(https://www.keyence.co.jp/products/controls/plc-building/kv-8000/specs/)
- アドウィン「PLCトレーニングシステム テキスト」STEP03(https://adwin.com/image/ebook/ms3_03.pdf)、STEP09(https://adwin.com/image/ebook/ms3_09.pdf)、STEP10(https://adwin.com/image/ebook/ms3_10.pdf)

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