高圧で契約電力が500kW未満なら、毎月の契約電力は、その月と前の11か月の最大需要電力のうち、いちばん大きい値です。今回原文を確かめた東京電力エナジーパートナーの約款(ベーシックプラン)と、関西電力の「高圧電力AS」で、同じ決め方でした。
最大需要電力は、30分ごとの需要電力(デマンドとも呼ばれます)の、その月の最大値です。30分だけ大きく使った月があると、次に書く例外の場合を除き、12か月のあいだ、契約電力はその値を下回りません。ある月だけ設備を一斉に動かしたあと、1年のあいだ契約電力が下がらず、基本料金も下がりにくいのは、このためです。
新しく受電したときは、決め方が変わります。契約受電設備(契約上使用できる変圧器)を増やした・減らしたときも、条件によって変わります。東京電力エナジーパートナーの約款では、500kW以上と特別高圧は、使う設備などをもとに協議で決めます。
契約電力は「契約上使用できる最大電力」
東京電力エナジーパートナーの「電気需給約款[特別高圧・高圧]」(2026年4月1日実施)は、2(定義)で契約電力をこう定めています。
契約上使用できる最大電力(キロワット)をいいます。
基本料金は、この契約電力に1kWあたりの単価を掛け、それを力率で割引・割増しした額です。同じ約款の15(ベーシックプラン)の(4)イは、高圧の関東エリアで「契約電力1キロワットにつき2,530円00銭」としています。単価はエリアごとに違います。同じ(4)イには、まったく電気を使用しない場合(予備電力によって使用した場合を除く)の基本料金は半額とする、というただし書もあります。
基本料金は契約電力に比例するので、契約電力がどう決まるかは、毎月の基本料金にそのまま響きます。
500kW未満は、毎月の契約電力を最大需要電力で決める(確かめた2社)
その月と、前の11か月のうちいちばん大きい値
同じ約款の15(ベーシックプラン)(3)ロは、高圧で契約電力が500kW未満の場合について、こう書いています。
各月の契約電力は,次の場合を除き,その1月の最大需要電力と前11月の最大需要電力のうち,いずれか大きい値といたします。
その月を入れて12か月分の最大需要電力を並べ、いちばん大きい値が、その月の契約電力になります。毎月、計算をやり直すので、1年前の大きな値は、12か月たつと外れます。
関西電力の「高圧電力AS(主契約料金表)」(2025年4月1日実施)の7(契約電力)(1)にも、同じ文があります。中小企業基盤整備機構のJ-Net21の説明も同じです。高圧で500kW未満なら、その月と過去11か月の月次最大電力値のうち、最も大きい値が契約電力になります。

1回の30分が、1年続く
例で見ます。数字は説明のための例です。ふだんの月の最大需要電力が180kW以下(180kWちょうどの月もある)で、7月だけ230kWになったとします。
- 7月から翌年6月までの12か月は、どの月の計算にも7月の230kWが入るので、契約電力は230kWです
- 翌年7月の計算では、1年前の7月が12か月から外れます。その月と前の11か月の最大需要電力のいちばん大きい値が180kWなら、契約電力は180kWに戻ります
7月の230kWがなければ契約電力が180kWのままだったとすると、差は50kWです。東京電力エナジーパートナーのベーシックプラン(高圧・関東エリア)の単価2,530円で計算すると、1か月あたり126,500円です。力率割引・割増しをする前の金額で、これが12か月続くと1,518,000円です(計算は記事の最後にあります)。
基本料金が下がらないときは、ここを疑います。
新しく受電したときは決め方が変わり、契約受電設備(変圧器)を増やした・減らしたときは条件によって変わる
15(3)ロには、「次の場合を除き」とある例外が3つあります。どれも、条文の要点だけを書きます。契約受電設備は、受電電圧と同位の電圧を1次側とする変圧器と、その2次側の変圧器のことです(2(8))。
| 場合 | 契約電力の決め方(要点) |
|---|---|
| 新たに電気の供給を受ける場合 | 料金の適用が始まった日から12か月は、その月と、適用が始まった日から前の月までの最大需要電力のうち、大きい値 |
| 契約受電設備を増やした場合 | 増やした日を含む月を、増やす前と後に分ける。後の期間の最大需要電力が、前の期間の値(前の期間と前の11か月の最大需要電力のうち大きい値)を上回れば、後の期間の契約電力はその最大需要電力 |
| 契約受電設備を減らした場合など | 1年を通じて最大需要電力が減ることが明らかなときは、減らした日以降12か月は、設備の内容などをもとに協議で決めた値。ただし、実際の最大需要電力がその値を上回れば、上回った値 |
関西電力の高圧電力AS 7(1)イにも、1つ目と同じ決め方があります。対象には、低圧で受けていた契約者が新たに高圧で受ける場合も含まれます。
東京電力エナジーパートナーの1つ目には、ただし書があります。この約款で受電する前から、引き続き同じ送配電会社の設備を使っていた場合の扱いです。それより前の供給も、契約電力を決めるうえではこの約款による供給とみなします。その場合、契約電力の決定に必要な事項は、契約する側から申し出ることになっています。ここからはこの記事の読み方です。ほかの小売会社から東京電力エナジーパートナーに切り替えただけなら、12か月の数え方は切り替え前から続くと読めます。ほかの会社の約款に同じただし書があるかは、確かめていません。
最大需要電力は、30分ごとの需要電力のいちばん大きい値
30分の電力量を2倍する
同じ約款の2は、最大需要電力をこう決めています。
託送約款等に定める,30分ごとの需要電力の最大値であって,記録型計量器により計量される値をいいます。
計り方は、送配電会社の託送供給等約款(送配電会社が電気を届ける条件を決めた約款)に書かれています。ここでは、関東エリアの送配電会社である東京電力パワーグリッドの「託送供給等約款」(令和8年10月1日実施)を読みます。30(計量)(1)は、原則として供給地点ごとに取り付けた記録型計量器で「30分単位で計量いたします」としています。31(電力および電力量の算定)の(7)では、30分ごとに計った電力量を2倍した値が、その30分の電力です。同約款では、この値を「接続供給電力」と呼びます。
30分で100kWhを使えば、その30分の電力は200kWです。30分は1時間の半分なので、2倍すると1時間あたりの値、つまり平均の電力になります。
そのうえで、31(19)ロは、高圧と特別高圧の最大需要電力等を「30分ごとの需要電力の最大値」としています。1か月のすべての30分のうち、いちばん大きい値が、その月の最大需要電力です。31(7)の接続供給電力と31(19)ロの「需要電力」を、同じ30分の値として読みました。約款には、この2つを結ぶ定義は見当たりませんでした。
J-Net21の説明では、30分の枠は毎時0分〜30分と30分〜60分です。その30分間の使用量から、平均の電力(30分デマンド値)を出します。
瞬間の大きさではなく、30分の平均
30分の平均なので、モータの始動のように数秒だけ大きく流れる電流は、30分の値にはほとんど効きません。効くのは、大きな電力を使う状態が30分の枠のなかでどれだけ続いたかです(ここはこの記事の整理です)。
逆に、設備を一斉に立ち上げて30分の枠のほとんどを大きな電力で使えば、その30分の値が大きくなります。それが月の最大需要電力を押し上げます。基本料金に効くのが瞬間ではなく30分の平均であることは、記事「回転数を落としても、電気代が下がらない機械がある」でも扱いました。
500kW以上と特別高圧は、協議で決める(東京電力エナジーパートナーの約款)
同じ約款の15(3)イは、特別高圧の場合と、高圧で契約電力が500kW以上の場合について、次のように定めています。
契約電力は,使用する負荷設備および受電設備の内容,同一業種の負荷率,操業度等を基準として,お客さまと当社との協議によって定めます。
500kW未満のように、計った値から自動で決まるわけではありません。協議で決めた契約電力を超えて使ったときは、契約超過金がかかります。同じ約款の30は、契約超過電力に基本料金の単価を掛け、力率で割引・割増しをした金額の1.5倍としています。契約超過金と力率の関係は、記事「力率割引の85%基準を約款の原文で確かめる」に書きました。
関西電力の高圧電力ASは、500kW未満向けの料金表です。9(その他)(1)によると、契約電力が500kW以上になる場合は、協議によって、500kW以上向けの契約種別に変更します。ここでの協議は、契約種別を変えるための協議です。500kW以上の契約電力の決め方は、関西電力については今回確かめていません。
基本料金が下がらないときに確かめる順番
ここまでの条項をもとに、確かめる順番をまとめます(500kW未満の高圧の場合)。
- 過去12か月の、月ごとの最大需要電力を並べる。値は記録型計量器で計量されたもので、契約している電力会社に確かめる。J-Net21によると、高圧受電の電力量計には30分最大需要電力計が組み込まれている。この計器が、1か月の最大の30分デマンド値を記憶し、表示する
- いちばん大きい月を探す。その値が、いまの契約電力になっている(4の場合を除く)
- その月が12か月から外れる月を数える。それまでは、契約電力はその値から下がらない
- その間に、新しく受電した、契約受電設備を増やした・減らした、ということがあれば、例外の表の決め方になる
- 最大需要電力が500kW以上になったら、契約電力を協議で決める方式に移る。それまでのあいだは、ここまでの決め方のまま(東京電力エナジーパートナーの約款15(3)ハ)。関西電力の高圧電力ASでは、500kW以上向けの契約種別に変える(9(1))
大きな値を出さないためには、30分の枠のなかで負荷を止める(J-Net21)
これから大きな値を出さない方法も、J-Net21にあります。30分デマンド値が契約電力などの設定値を超えそうになるのを予知し、最大で30分のあいだ負荷を制限する。これができれば契約電力を低く抑えられる、という説明です。J-Net21が例に挙げた工場では、デマンド監視装置を置き、契約電力を超えそうになると管理者の指示で生産設備を短時間止めていました。最大電力を記録した日は管理者が不在で、超過してしまったようです。500kW未満の決め方なら、その値がその月からの契約電力になります。J-Net21はそのうえで、止める設備の優先順位をマニュアル化し、現場で対応できるようにした場合の削減額を試算しています。
まとめ
- 契約電力は「契約上使用できる最大電力」。基本料金は、契約電力に1kWあたりの単価を掛け、力率で割引・割増しした額(単価は、東京電力エナジーパートナーのベーシックプランの高圧・関東エリアで1kWあたり2,530円)
- 高圧で500kW未満なら、毎月の契約電力は、その月と前の11か月の最大需要電力のうちいちばん大きい値(東京電力エナジーパートナーのベーシックプラン15(3)ロ、関西電力 高圧電力AS 7(1))
- 最大需要電力は、30分ごとの需要電力(デマンド)の、その月のいちばん大きい値。託送供給等約款31(7)は、30分ごとの電力量を2倍した値をその30分の電力としている(東京電力パワーグリッド)
- 1回大きな最大需要電力が出ると、例外の場合を除き、12か月のあいだ、契約電力はその値を下回らない
- 大きな値を出さないためには、30分の枠のなかで負荷を止める(J-Net21)
- 新しく受電したときは決め方が変わる。契約受電設備(変圧器)を増やした・減らしたときは、条件によって変わる(例外の表)
- 基本料金が下がらないときは、過去12か月の最大需要電力に、大きく出た月がないかを見る
- 東京電力エナジーパートナーの約款では、500kW以上と特別高圧は、使う設備の内容などをもとに協議で決める。超えて使えば契約超過金がかかる
- 契約電力の決め方を確かめたのは、東京電力エナジーパートナーの約款と関西電力の料金表だけ。自分の契約の決め方は、契約している会社の約款・料金表で確かめる
計算の前提と途中式
- 30分の電力の例:100kWh × 2 = 200kW。30分(0.5時間)の電力量を時間で割ると、100kWh ÷ 0.5h = 200kW で、2倍と同じです
- 基本料金の差の例:(230kW − 180kW)× 2,530円 = 50kW × 2,530円 = 126,500円(1か月あたり)。東京電力エナジーパートナーのベーシックプラン(高圧・関東エリア)の単価で、力率割引・割増しをする前の金額です。180kWと230kWは説明のための例です
- 12か月分の例:126,500円 × 12 = 1,518,000円。力率割引・割増しをする前で、単価が12か月変わらないとした場合です
参考にした資料
閲覧日は、とくに書いたもの以外は2026年10月12日です。
- 電気需給約款[特別高圧・高圧]2026年4月1日実施(東京電力エナジーパートナー、PDF)── 2(定義)(8)(9)(11)、15(ベーシックプラン)(3)(4)、30(契約超過金)(2(8)と15(3)は2026年10月14日にも確認)(https://www.tepco.co.jp/ep/company2/agreement/pdf/20260401jukyu000-j.pdf 、一覧 https://www.tepco.co.jp/ep/company2/agreement05.html )
- 高圧電力AS(主契約料金表)2025年4月1日実施(関西電力、PDF)── 7(契約電力)(1)、9(その他)(1)(https://biz.kepco.jp/pdf/elec/menu/500kw_less/202504/kouatsu_denryoku_as.pdf )
- 託送供給等約款 令和8年10月1日実施(東京電力パワーグリッド、PDF)── 30(計量)(1)、31(電力および電力量の算定)(7)(8)(19)(31(19)は2026年10月14日にも確認)(https://www.tepco.co.jp/pg/consignment/notification/pdf/takusou_yakkan20260722.pdf )
- J-Net21(中小企業基盤整備機構)「契約電力と30分デマンド値の関係について教えてください。」(https://j-net21.smrj.go.jp/solution/qa/energyeff/Q1233.html 、閲覧日 2026年10月14日)
このサイトの記事
- 「力率割引の85%基準を約款の原文で確かめる|6社の高圧の条項と、進相コンデンサの入れすぎ」(https://www.kousotsu-denkiman.com/rikiritsu-waribiki-yakkan/)
- 「回転数を落としても、電気代が下がらない機械がある ― インバータの省エネは、相手で決まる」(https://www.kousotsu-denkiman.com/speed-and-power/)


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