低圧のブレーカが落ちたら、入れ直す前に、どの遮断器が、どの表示で落ちたかを書き留めます。漏電遮断器の漏電表示ボタンが出ていれば、漏電(機種によっては過電圧)で動いた手がかりになります。そのうえで電路を開路して(開閉器で切り離して)措置をとり、絶縁抵抗を測って、原因のある場所を絞ります。
保全をしていた工場では、ブレーカや継電器がトリップすると、何でトリップしたかを見て、それに応じて抵抗値の測定や絶縁測定をしていました。そこから切り分けていって、原因を確定させていく、という感じでした。

入れ直す前に、どの遮断器が、どの表示で落ちたかを書き留める
最初に見るのは、どの遮断器が落ちたかです。分岐の遮断器が落ちたのか、その上位の遮断器が落ちたのかで、疑う範囲が変わります。
三菱電機のFAQは、下位の漏電遮断器の二次側のモータで漏電が起き、上位の漏電遮断器が漏電トリップした例を挙げています。地絡保護協調がとれていない可能性がある、という説明です。落ちた遮断器の真下にだけ原因があるとは限りません。
漏電表示ボタンが出ていれば、漏電で動いた手がかりになる
漏電で動いたときに表示が出る漏電遮断器があります。三菱電機のFAQは、同社のWS-Vシリーズについて、テストボタンで漏電動作させると漏電表示ボタンが突出する、と書いています。
パナソニックのFAQは、住宅分電盤の主幹漏電ブレーカについて、機種ごとの表示を書いています。J型などは、漏電・過電圧のときに黄色の表示ボタンが突出します。短絡・過電流のときは、表示ボタンは突出しません。
J型などでは、表示ボタンは漏電だけでなく過電圧でも出ます。中性線欠相保護付の主幹漏電ブレーカについての別の回答も、黄色のボタンが出ているので原因は「過電圧」か「漏電」が考えられる、としています。表示の意味は、機種ごとに取扱説明書で確かめます。
警報スイッチ(AL)だけでは、過電流か漏電かは分からない
遮断器に付けた警報スイッチ(AL)の信号で落ちたことを知る盤もあります。三菱電機のFAQによれば、ALは過電流トリップでも漏電トリップでも動作します。漏電トリップのときだけ警報を出すなら、漏電警報スイッチ(EAL)を検討するよう書いています。
警報が来たら、遮断器の前面の表示まで見て書き留めます。
ハンドルの位置も、機種で違う
トリップしたときのハンドルの位置は、機種で違います。パナソニックのFAQによれば、「ON」と「OFF」の中間で止まる遮断器と、「OFF」に戻る遮断器があります。三菱電機の機器用遮断器CP30-BAは、トリップするとOFF位置になります。警報スイッチ付きのときは、ONとOFFの中間(トリップ位置)になります(三菱電機のFAQ)。書き留めるときは、ハンドルの位置も残します。
三菱電機のFAQ(WS-Vシリーズ)では、遮断器の前面にある赤いボタンを「トリップボタン」(PTT)と呼んでいます。遮断器を外から機械的にトリップさせるためのボタンで、落ちた原因を示す表示ではありません。
原因を取り除くまで、自分の判断で入れ直さない
NITE(製品評価技術基盤機構)の資料は、ブレーカーの復帰で起きた事故を挙げています。エアコンの事例では、原因を確認せずにブレーカーの再投入を3〜4回繰り返し、壁の穴から火の玉が落ちてきました。ヘアドライヤーの事例では、電源コードの芯線の短絡に気付かずに再投入し、寝具に着火しました。
同じ資料は、ブレーカーを復帰するのは原因を取り除いてから、と求めています。パナソニックのFAQは、ハンドルをONにするとトリップする原因として、短絡、漏電(漏電ブレーカのみ)、過電圧(中性線欠相保護付ブレーカのみ)、ブレーカ本体の異常を挙げ、電気工事店への点検依頼を勧めています。
どちらも家庭の製品と分電盤の事例です。工場の盤で、入れ直してよいかを決める人が職場で決まっていれば、その人の判断を待ちます。
測る前に、電路を開路して措置をとる
絶縁抵抗を測るには、盤の扉を開け、電線を外すことになります。これは停電作業で、労働安全衛生規則第339条が事業者に措置を求めています。
- 開路に用いた開閉器に、作業中、施錠するか、通電禁止の表示をするか、監視人を置く(第一号)
- 電力ケーブルや電力コンデンサーなどで残留電荷による危険のおそれがあるものは、確実に放電させる(第二号)
- 高圧・特別高圧だった電路は、検電器具で停電を確認し、短絡接地する(第三号)
- 作業中や作業を終えて通電しようとするときは、あらかじめ、作業する人に感電の危険が生ずるおそれのないことと、短絡接地器具を取りはずしたことを確かめる(第2項)
第三号は高圧・特別高圧の規定ですが、低圧で検電しなくてよいとは書かれていません。低圧での扱いは、作業手順書や作業の指揮者に確かめてください。条文の読み方は、記事「検電して電圧がなくても、まだ触らない」で扱いました。
漏電の表示があれば対地から、なければ線間から、絶縁抵抗で場所を絞る
省令第58条は、低圧の電路の絶縁抵抗を、電線相互間(線間)と、電路と大地との間(対地間)の両方について定めています。どちらも測りますが、落ちたときの表示を手がかりに、疑いの強いほうから先に測ります。
- 漏電の表示が出ていた:電路と大地の間から測る
- 表示が出ていなかった(過電流・短絡で落ちた可能性):電線相互間から測る。地絡電流が大きいと過電流として落ちることもあるので、電路と大地の間も測る
線間を測るときは、負荷を外してからにします。モータがつながったままでは、端子の間が巻線で結ばれているので、線間の絶縁は測れません。値の読み方と、0.1MΩの基準の意味は、記事「0.1MΩ(0.1メガオーム)は10万Ω」で扱いました。

区間を分けて、低い所を探す
盤の側でまとめて測ると、出てくる値はケーブルとモータを合わせたものです。低いと分かっても、どちらが悪いかは決まりません。モータの側で電線を外して、ケーブルとモータを別々に測ります。インバータにつながっているモータは、測る前にインバータとの配線を外します。モータの測り方と判定値は、記事「低圧モーターの絶縁抵抗の測り方と基準値」で扱いました。
測り方の一例に、三菱電機のFAQがあります。対象は同社の三相モータ(SF-PR、SF-HR、SF-JR)です。600V以下の巻線は直流500Vで、巻線の端子とアース部の間を測り、1分値をとることを推奨しています。推奨値は100MΩ以上で、1MΩを下回る場合は使わないよう求めています。
漏電遮断器の極間を含めて測ると、低く出る機種がある
三菱電機のFAQ(WS-V・W&WSシリーズの回答)によれば、漏電遮断器は漏電検出部の制御電源を左右の極間につないでいます。そのため、極間の絶縁抵抗の測定値が低くなります。故障ではありません。メグ測定スイッチ(MG)付きなら、この影響を受けずに測れます。
線間で低い値が出たら、漏電遮断器の極間を含めて測っていないかを確かめます。
瞬間的な漏電は、その場の測定では捉えにくい
パナソニックのFAQは、漏電が瞬間的に起きた場合はクランプメータでの測定は難しいとして、分岐回路の負荷側に至る配線に異常がないかを確かめるよう求めています。雨天時など特定の状況で動作するなら漏電の可能性が高い、というのも同じFAQの説明です。
落ちた日の天気、時刻、そのとき動かしていた設備を、表示と一緒に書き留めておくと、次に落ちたときに比べられます。絶縁抵抗が健全でも、地絡がなかったとは言えません。湿気による一時的な低下や、アークをともなう地絡は、切れたあとに戻ることがある、などの理由からです。詳しくは、記事「配線用遮断器は、地絡を地絡として見ていない」で挙げました。
インバータのある回路では、地絡がなくても、高周波の漏れ電流で漏電遮断器が落ちる場合があります。候補の分け方は、記事「インバータで漏電遮断器が落ちる原因の候補」で扱いました。
表示と測定の組み合わせで、次に何をするかを決める
| 落ちたときの表示 | 測定の結果 | 疑う所 | 次にすること |
|---|---|---|---|
| 漏電表示ボタンが出ている | 対地の絶縁抵抗が低い区間がある | その区間の地絡 | 区間をさらに分け、原因を取り除いてから入れ直す |
| 漏電表示ボタンが出ている | どの区間も対地の絶縁抵抗は健全 | 瞬間的な漏電、天候で変わる漏電、インバータの漏れ電流、機種によっては過電圧 | 落ちた日の状況を書き留める。入れ直すかは担当者が判断する |
| 漏電表示ボタンが出ていない | 線間の絶縁抵抗が低い区間がある | その区間の短絡の疑い | 原因を取り除いてから入れ直す |
| 漏電表示ボタンが出ていない | 対地の絶縁抵抗が低い区間がある | その区間の地絡(過電流として落ちた可能性) | 原因を取り除いてから入れ直す |
| 漏電表示ボタンが出ていない | 線間・対地とも健全 | 過負荷(電気の使いすぎ)、遮断器本体の異常 | 負荷の状態を確かめる。分からなければメーカーや担当者に相談する |
| 上位の漏電遮断器が漏電で落ちた | 下位の漏電遮断器の二次側に地絡がある | 地絡保護協調がとれていない可能性(三菱電機のFAQ) | 落ちた遮断器と下位の遮断器の組み合わせを担当者に確かめる |
入れ直すときは、作業する人に感電の危険がないことを先に確かめます(安衛則第339条第2項)。「漏電表示ボタンが出ていない」の3行は、配線用遮断器が落ちた場合にも当てはまります。漏電表示ボタンのない漏電遮断器では、表示が出ていないことを、漏電でない根拠にはできません。この表は、上の資料の範囲でまとめたものです。表示の意味は機種で違うので、最後は手元の遮断器の取扱説明書で確かめてください。
まとめ
- 落ちたら、入れ直す前に、どの遮断器が、どの表示で落ちたかを書き留める
- 漏電表示ボタンのある機種なら、漏電で動いた手がかりになる。パナソニックの住宅分電盤用のJ型などでは過電圧でも出る
- 盤の警報(AL)は、三菱電機のFAQでは過電流でも漏電でも動作する。前面の表示まで見る
- 赤いトリップボタンは、機械的にトリップさせるためのボタンで、原因の表示ではない(三菱電機のFAQ、WS-Vシリーズ)
- 原因を取り除くまで入れ直さない(NITEの資料)。自分の判断では入れ直さない。原因が見つからないときは、入れ直すかを担当者が判断する
- 測る前に電路を開路し、安衛則第339条の措置(施錠・表示・監視人、残留電荷の放電など)をとる。入れ直す前には、作業する人に感電の危険がないことを確かめる(第2項)
- 漏電の表示があれば対地から、なければ線間から絶縁抵抗を測る。どちらの場合も両方測り、区間を分けて低い所を探す。インバータにつながるモータは、インバータとの配線を外してから
- 漏電遮断器の極間を含めて測ると、値が低く出る機種がある(三菱電機のFAQ。MG付きなら影響を受けない)
- 瞬間的な漏電は、その場の測定では捉えにくい(パナソニックのFAQ)
参考にした資料
法令
- 労働安全衛生規則 第339条 / e-Gov 法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032)
- 電気設備に関する技術基準を定める省令 第58条 / e-Gov 法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/409M50000400052)
メーカーの公開資料(閲覧日:2026-10-25)
- 三菱電機 FA よくあるご質問 No.39990「上位漏電遮断器がトリップした原因と対策」(https://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/39990)
- 三菱電機 FA よくあるご質問 No.12745「漏電遮断器のテストボタン」(https://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/12745)
- 三菱電機 FA よくあるご質問 No.38970「漏電トリップ時の警報スイッチの動作について」(https://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/38970)
- 三菱電機 FA よくあるご質問 No.38534「CP30-BA トリップ時のハンドル位置について」(https://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/38534)
- 三菱電機 FA よくあるご質問 No.12729「トリップボタン」(https://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/12729)
- 三菱電機 FA よくあるご質問 No.38471「漏電遮断器などの絶縁抵抗測定について」(https://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/38471)
- 三菱電機 FA よくあるご質問 No.18482「絶縁抵抗の基準値について」(https://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/18482)
- パナソニック よくあるご質問「【住宅分電盤】主幹漏電ブレーカがトリップする原因を、教えてください。」(https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/78860)
- パナソニック よくあるご質問「ブレーカのハンドルが上へ上がらないのでどうすればよいか、教えてください。」(https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/78685)
- パナソニック よくあるご質問「ハンドルをONにすると動作(トリップ)する原因を、教えてください。」(https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/78670)
- パナソニック よくあるご質問「【漏電ブレーカ】主幹で使用している中性線欠相保護付漏電ブレーカの黄色ボタンが飛び出てトリップした」(https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/98584)
公的機関の資料
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「ブレーカーの復帰により発生(拡大)した事故について」(https://www.nite.go.jp/data/000005685.pdf)

コメント