高圧受電は何kWから|東京電力パワーグリッドの約款では、50kW以上2,000kW未満が高圧、2,000kW以上が特別高圧(どちらも原則)

高圧受電は何kWからを約款で読む。東京電力パワーグリッドの約款では、原則として50kW以上2,000kW未満が高圧、2,000kW以上が特別高圧 受変電と保全

東京電力パワーグリッドの託送供給等約款では、原則として50kW以上2,000kW未満が高圧(標準電圧6,000V)、2,000kW以上が特別高圧です。託送供給等約款は、送配電会社が電気を届ける条件を決めた約款です。ここでいうkWは、この約款が決める「接続送電サービス契約電力」です。500kW未満なら、その月と前の11か月の「最大需要電力等」(各月の電力の最大値)のうち、いちばん大きい値です。

ただし、500kW未満で新たに接続供給を始めるときや、受電設備を変えるときなどは、別の値で分けます。そのときに使うのは、主開閉器の定格電流などから決める「契約設備電力」です。50kW未満なら低圧(標準電圧100Vまたは200V)、50kW以上なら高圧(標準電圧6,000V)です(13(4))。

送配電会社とこの約款で契約を結ぶのは、電気を売る小売電気事業者などで、約款の中では「契約者」と呼ばれています。

「低圧」「高圧」「特別高圧」は、電圧の区分

低圧・高圧・特別高圧という言葉は、電気設備に関する技術基準を定める省令(電技省令)の第2条が決めている、電圧の区分です。

区分交流直流
低圧600V以下750V以下
高圧600Vを超え、7,000V以下750Vを超え、7,000V以下
特別高圧7,000Vを超えるもの7,000Vを超えるもの

標準電圧6,000Vは高圧に、100V・200Vは低圧に入ります。第2条が決めているのは電圧の区分で、何kWから高圧で受けるかは、第2条には出てきません。

何kWから高圧で受けるかは、託送供給等約款が決める

東京電力パワーグリッドの「託送供給等約款」(令和8年10月1日実施)では、19(接続送電サービス)が、サービスごとの適用範囲として原則を定めています。

適用範囲では、低圧(動力)・高圧・特別高圧の境は原則50kWと2,000kW

サービス適用範囲(接続送電サービス契約電力)供給電圧
動力標準接続送電サービス(低圧)原則として50kW未満標準電圧200V
高圧標準接続送電サービス原則として50kW以上、2,000kW未満標準電圧6,000V
特別高圧標準接続送電サービス原則として2,000kW以上標準電圧で、10,000kW未満は20,000V、10,000kW以上50,000kW未満は60,000V、50,000kW以上は140,000V

高圧標準接続送電サービスには、ただし書が付いています。特別の事情があり、契約者が希望するときは、50kW未満でも適用することがあります。

東京電力パワーグリッドの託送供給等約款による、接続送電サービス契約電力と供給電圧の区分を示す模式図。接続送電サービス契約電力が50kW未満は低圧の動力(標準電圧200V)、50kW以上2,000kW未満は高圧(標準電圧6,000V)、2,000kW以上は特別高圧(標準電圧20,000V以上)。いずれも原則で、接続送電サービス契約電力500kW未満の新規接続などでは契約設備電力50kWで低圧と高圧を分ける。

接続送電サービス契約電力は、500kW未満なら過去12か月の最大需要電力等で決まる

境に使う接続送電サービス契約電力の決め方は、同じ19の(2)にあります。

  • 500kW未満のとき:各月の値は、その月の最大需要電力等と、前の11か月の最大需要電力等のうち、いずれか大きい値(19(2)イ(イ))。新たに使い始めた場合は、料金適用開始の日からの期間で同じように決める。受電設備を増やした・減らした場合にも、別の決め方がある
  • 500kW以上のとき(高圧)と特別高圧:負荷設備と受電設備の内容、1年間を通じての最大の負荷、同一業種の負荷率、操業度などを基準に、契約者と送配電会社の協議で決める(19(2)ロ)
  • 500kW未満の決め方をしている供給地点で、最大需要電力等が500kW以上になったとき:協議の決め方ですみやかに決め直す(19(2)ハ)

最大需要電力等は、供給地点で送配電会社が契約者に供給する電気の、電力の最大値です(3(40))。高圧と特別高圧では、30分ごとの需要電力の最大値で、記録型計量器で計量した値です(31(19)ロ)。

500kW未満で新たに接続供給を始めるときなどは、「契約設備電力」の50kWで分ける

13(4)の本文では、供給電圧は19などの定めによります。ただし書が当てはまるのは、接続送電サービス契約電力が500kW未満の需要で、新たに接続供給を始めるときや、受電設備を変えるときなどに限られます。その場合の決め方は、次のとおりです。

契約設備電力供給電圧
50kW未満標準電圧100Vまたは200V
50kW以上標準電圧6,000V

13(5)は、標準電圧より上位または下位の電圧で供給することがある場合を定めています。需要者(契約者が電気を供給する相手)に特別の事情がある場合と、送配電会社の設備の都合でやむをえない場合です。

契約設備電力の算定は、同じ約款の別表1にあります。

契約設備電力は,原則として,電流を制限する計量器により制限される電流,電流制限器または主開閉器の定格電流にもとづき次により算定いたします。この場合,1キロボルトアンペアを1キロワットとみなします。

主開閉器による場合は、別表3(契約電力および契約容量の算定方法)に準じて算定します。(1)の方法によりがたい場合は、負荷設備の容量などを基準に定めます(別表1(2))。契約設備電力は、主開閉器などの設備から決まる値で、使った電力の量から決まる値ではありません。

電灯と動力をあわせて契約するときは、合計で判断する

同じ(4)は、1つの需要場所で電灯と動力をあわせて契約する場合を、次のように定めています。

契約設備電力の合計が50キロワット未満となるときの供給電圧は原則として標準電圧100ボルトまたは200ボルトとし,契約設備電力の合計が50キロワット以上となるときの供給電圧は原則として標準電圧6,000ボルトといたします。

合計が50kW以上でも、100Vまたは200Vになることがあります。条件は、契約者が希望し、電気の使い方や送配電会社の設備の状況から、送配電会社が技術上または経済上、低圧での供給が適当と認めたときです。この場合、送配電会社が需要者の土地や建物に、変圧器などの設備を置くことがあります。

3つの「契約電力」は、名前が似ていても、決める約款と使う場面が別

ここまでに出てきた2つの値と、小売の約款の「契約電力」は、名前が似ていても、決める約款と使う場面が別です。ただし、500kW未満の高圧では、接続送電サービス契約電力と小売の契約電力は同じ形で決まります。どちらも「その月と前の11か月の最大値のうち大きい値」です。2つが同じ数値になるかは、今回の資料では確かめていません。

呼び方どの約款何から決まるかどこで使うか
接続送電サービス契約電力東京電力パワーグリッドの託送供給等約款500kW未満:その月と前の11か月の最大需要電力等のうち大きい値。500kW以上と特別高圧:協議(19(2))低圧(動力)・高圧・特別高圧の適用範囲の境(19)
契約設備電力東京電力パワーグリッドの託送供給等約款主開閉器の定格電流などから算定(別表1)500kW未満で新たに接続供給を始めるときなどの、低圧と高圧の境(13(4))
契約電力東京電力エナジーパートナーの約款、関西電力の高圧電力AS高圧で500kW未満なら、新たに供給を受ける場合などの例外を除き、その月と前の11か月の最大需要電力のうち大きい値基本料金の計算など

小売の約款にも50kWの線があります。東京電力エナジーパートナーの電気需給約款[特別高圧・高圧]は、ベーシックプランの適用範囲を「契約電力が50キロワット以上」で協議が調ったものとしています(15(1))。小売の契約電力の決め方は、記事「高圧の契約電力の決め方を約款で読む」に書きました。

高圧で受電すると、事業用電気工作物になる

電気事業法の第38条第1項は「一般用電気工作物」を定めています。その一つは、構内に設置する電気工作物のうち、電気を使用するためのもので、低圧受電電線路以外の電線路によって構外の電気工作物と電気的に接続されていないものです。同項のただし書に当たるものは除かれます。同じ条の第2項は、一般用電気工作物以外の電気工作物を「事業用電気工作物」としています。

高圧で受電する需要設備は、高圧の電気を受ける電線路で構外とつながっています。この電線路は低圧受電電線路ではないので、この定義では一般用電気工作物に当たりません。高圧で受電する需要設備の設置者は、事業用電気工作物の設置者になります。電気事業法の第42条により保安規程を定めて届け出ること、第43条により主任技術者を選任することが求められます。保安管理業務を外部に委託し、承認を受けて、主任技術者を選任しないことができる場合があります(外部委託承認)。外部委託承認と、保安規程が決める点検の頻度については、記事「「年次点検は年1回」は誰が決めたのか」に書きました。

自分の設備で確かめる順番

本文の条項をもとに、確かめる順番をまとめます。

  1. 供給地域の送配電会社を確かめる。東京電力パワーグリッド以外の地域では、その会社の託送供給等約款を見る(ほかの地域の約款は、今回は開いていません)
  2. 新たに接続供給を始める場合や受電設備を変える場合などで、接続送電サービス契約電力が500kW未満か。そうなら、13(4)のただし書が当てはまる
  3. ただし書が当てはまるなら、契約設備電力(主開閉器の定格電流などから算定)を50kWと比べる。電灯と動力をあわせて契約するなら合計で比べる。合計が50kW以上でも、契約者が希望し、送配電会社が技術上または経済上適当と認めれば、低圧になることがある(13(4))
  4. 当てはまらないなら、接続送電サービス契約電力を、19の境(50kW・2,000kW)と比べる。この値は、契約者(小売電気事業者など)と送配電会社の契約の値。数値は、契約している小売電気事業者などを通して確かめることになる(ここはこの記事の読み方です)
  5. 高圧で受電することになれば、事業用電気工作物として、保安規程の届出と主任技術者の選任が要る(外部委託承認を受けて選任しない場合を除く)

まとめ

以下は、東京電力パワーグリッドの託送供給等約款の場合です。

  • 低圧・高圧・特別高圧は、電技省令第2条の電圧の区分(交流は600V以下が低圧、600Vを超え7,000V以下が高圧、7,000Vを超えると特別高圧)
  • 適用範囲の境は、接続送電サービス契約電力で、低圧の動力は原則50kW未満、高圧は原則50kW以上2,000kW未満、特別高圧は原則2,000kW以上(19)
  • 接続送電サービス契約電力は、500kW未満なら、その月と前の11か月の最大需要電力等のうち大きい値。500kW以上と特別高圧は協議で決める(19(2))
  • 500kW未満で新たに接続供給を始めるときや受電設備を変えるときなどは、契約設備電力が50kW未満なら標準電圧100Vまたは200V、50kW以上なら標準電圧6,000V(13(4))。契約設備電力は、主開閉器の定格電流などから算定する値(別表1)
  • 電灯と動力をあわせて契約するときは、契約設備電力の合計で判断する。50kW以上でも、契約者が希望し、送配電会社が技術上または経済上適当と認めれば、低圧にすることがある(13(4))
  • 高圧で受電する需要設備は、電気事業法第38条の定義では事業用電気工作物になり、設置する者に保安規程の届出(第42条)と主任技術者の選任(第43条)が求められる。外部委託承認を受けて、主任技術者を選任しない場合もある

参考にした資料

閲覧日は、とくに書いたもの以外は2026年10月14日です。

  • 託送供給等約款 令和8年10月1日実施(東京電力パワーグリッド、PDF)── 3(定義)(1)(5)(40)、13(電気方式,電圧および周波数)(4)(5)、19(接続送電サービス)の(2)接続送電サービス契約電力等と、動力標準・高圧標準・特別高圧標準の適用範囲と供給電圧、31(19)ロ(最大需要電力等の計り方。2026年10月12日に原文で確認)、別表1(契約設備電力の算定)(https://www.tepco.co.jp/pg/consignment/notification/pdf/takusou_yakkan20260722.pdf )
  • 電気需給約款[特別高圧・高圧]2026年4月1日実施(東京電力エナジーパートナー、PDF)── 15(1)、15(3)ロ(2026年10月12日に原文で確認。https://www.tepco.co.jp/ep/company2/agreement/pdf/20260401jukyu000-j.pdf )
  • 高圧電力AS(主契約料金表)2025年4月1日実施(関西電力、PDF)── 7(契約電力)(1)(2026年10月12日に原文で確認。https://biz.kepco.jp/pdf/elec/menu/500kw_less/202504/kouatsu_denryoku_as.pdf )
  • 電気設備に関する技術基準を定める省令(e-Gov 法令検索)── 第2条(https://laws.e-gov.go.jp/law/409M50000400052 )
  • 電気事業法(e-Gov 法令検索)── 第38条第1項・第2項、第42条第1項、第43条第1項(https://laws.e-gov.go.jp/law/339AC0000000170 )

このサイトの記事

  • 「高圧の契約電力の決め方を約款で読む|500kW未満は、過去1年でいちばん大きいデマンドで決まる」(https://www.kousotsu-denkiman.com/keiyaku-denryoku-kimekata/)
  • 「「年次点検は年1回」は誰が決めたのか ― 外部委託の内規と、保安規程が決める頻度」(https://www.kousotsu-denkiman.com/nenji-tenken-hindo/)
この記事を書いた人
高卒電気マン

高卒から電気の道へ。プラントの電気保全を8年あまり、受配電設備の設計を経て、現在はクレーンの電気制御設計に従事。2026年に電験三種合格。壊れる側と作る側の両方を見てきた視点で、日々の学びを記録しています。

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