絶縁用保護具の定期自主検査は6か月以内ごと|対象は交流300V超、試験電圧は規格の半分以上

絶縁用保護具の定期自主検査。6か月以内ごと、記録は3年保存。交流300V超が対象、試験電圧は規格の半分以上 感電と安全

絶縁用保護具の定期自主検査は、労働安全衛生規則第351条で、6か月以内ごとに1回と決まっています。対象は、高圧の作業に使う絶縁用保護具・防具、高圧・特別高圧の活線作業用装置・器具と、低圧のうち交流300Vを超える電路に使うものです。検査は耐電圧試験で行い、絶縁用保護具と絶縁用防具の試験電圧は、規格の電圧の半分以上です(昭和50年の通達)。結果は6項目を記録し、3年間保存します。

交流300V以下の電路にだけ使う低圧用の保護具は、第351条の定期自主検査の対象に入りません。それでも、電圧に応じた絶縁効力があるものを使うこと(第348条第2項)と、その日の使用前の点検(第352条)は求められています。

定期自主検査の対象かどうかの見分け方。使う電路の電圧が交流300V以下(直流750V以下)なら第351条の対象外で、使用前点検は必要。交流300Vを超える低圧と高圧に使う保護具・防具、高圧・特別高圧の活線作業用装置・器具は、6か月以内ごとに1回の定期自主検査の対象。

第351条が決めていること

労働安全衛生規則第351条の中身は、次の4つです。

項決めていること
第1項6月以内ごとに1回、定期に、絶縁性能について自主検査を行う。6月を超えて使わない保護具は、使わない期間は検査しなくてよい
第2項6月を超えて使わなかったものは、使い始める際に検査する
第3項検査で異常があれば、補修などの措置をしてからでなければ使わない
第4項検査年月日、検査方法、検査箇所、検査の結果、検査した人の氏名、補修などの内容を記録し、3年間保存する

条文が求めているのは「絶縁性能」の自主検査です。条文そのものには「耐電圧試験」という語はありません。耐電圧試験で行うことは、後の「試験電圧」の節で見る通達が決めています。

対象になるのは、交流300Vを超える電路に使うもの

第351条は、第348条第1項の絶縁用保護具等を対象にしています。第348条第1項は、次の5つを挙げています。

  • 高圧の活線作業・活線近接作業(第341条〜第343条)の絶縁用保護具
  • 同じく高圧の絶縁用防具
  • 高圧・特別高圧の活線作業用装置
  • 高圧・特別高圧の活線作業用器具
  • 低圧の活線作業・活線近接作業(第346条・第347条)の絶縁用保護具、活線作業用器具、絶縁用防具

第351条は、このうち最後の低圧のものを「交流で三百ボルトを超える低圧の充電電路に対して用いられるもの」に限っています。100Vや200Vの電路にだけ使う低圧用の手袋は、定期自主検査の義務の対象ではありません。

ただし、第348条第2項は、交流300V以下・直流750V以下の電路に使う保護具などにも、その電路の電圧に応じた絶縁効力があるものを使うよう求めています。昭和50年の通達(基発第415号)は、これらには絶縁効力の規格がないと説明したうえで、電圧に応じた絶縁効力がなければ使ってはならない、という意味だとしています。

保護具・防具の試験電圧は、型式検定の規格の半分以上

絶縁用保護具と絶縁用防具の性能は、「絶縁用保護具等の規格」(昭和47年労働省告示第144号)で決まっています(防具は規格第5条で準用)。規格は、常温で試験交流による耐電圧試験を行ったときに、表の電圧に1分間耐えることを求めています。

定期自主検査の耐電圧試験は、昭和50年の通達(基発第415号)が決めています。方法は規格のとおりで、絶縁用保護具と絶縁用防具の試験電圧は、表の右の列の電圧以上です。活線作業用装置・器具については、通達は電圧を示していません(規格では、使う電路の電圧の2倍に5分間耐える性能。器具のうち、不良がいし検出器など支持物の絶縁状態を点検するものは1分間)。

使う電路規格の試験電圧(1分間)定期自主検査の試験電圧
交流300Vを超え600V以下交流3,000V交流1,500V以上
交流600Vを超え3,500V以下、または直流750Vを超え3,500V以下交流12,000V交流6,000V以上
3,500Vを超える(規格は7,000V以下まで)交流20,000V交流10,000V以上

定期自主検査の電圧の下限は、規格の電圧のちょうど半分です。型式検定では規格の電圧で試験し、使い始めてからは、その半分以上の電圧で確かめていく、という関係です。通達の表には試験時間が書いてありません。規格の「1分間」は性能を定めた項にあり、通達が引く「方法」の項は電極の作り方です。ヨツギの手袋の点検方法と中国電気保安協会の説明は、規格と同じ1分間としています。

6.6kVの高圧受電設備で使う保護具は、表の3段目にあたり、定期自主検査は交流10,000V以上です。規格の表は7,000V以下の電路までです。それを超える特別高圧の活線作業・活線近接作業について、労働安全衛生規則は絶縁用保護具を挙げていません。代わりに、活線作業用器具・活線作業用装置の使用や接近限界距離で守るよう定めています(第344条・第345条)。

試験は外部に頼むこともできる

耐電圧試験には、耐電圧試験器や試験用の水槽・電極が要ります。渡部工業は、これらを用意できる事業者は少ないとしています。定期自主検査の代行は、日本電気計器検定所(JEMIC)、中国電気保安協会、保護具メーカーなどに頼めます。JEMICは、合格した品に検査年月を書いた「検査合格証」のラベルを貼るとしています。

代行に出しても、第351条の記録と3年間の保存は、事業者の義務として残ります。

使用前の点検は、低圧用も含めて毎日

労働安全衛生規則第352条は、絶縁用保護具・防具・活線作業用器具などを使うときは、その日の使用を始める前に、次の点を点検するよう求めています。

「ひび、割れ、破れその他の損傷の有無及び乾燥状態」

第352条の対象には、低圧の活線作業・活線近接作業(第346条・第347条)の保護具も入っています。定期自主検査の対象外の低圧用の手袋も、使用前の点検は必要です。

メーカーは、手袋の点検の方法を具体的に示しています。

  • ヨツギ:内外面を目で見て、ひび・割れ・破れ・乾燥状態を点検する。手袋に空気の内圧を加えて、ピンホールなどの損傷がないか調べる
  • 渡部工業:袖口をふさいで空気をため、耳元に近づけて空気が漏れる音がしないか確かめる。指先、手のひら、指のまたは特に念入りに見る

ヨツギは、高圧用の点検方法で、ゴム手袋の外側に保護手袋(革など)を着けるよう書いています。濡れた保護具は、渡部工業が十分に乾燥させてから使うよう書いています。

保護具・防具・防護具は、付ける相手が違う

労働安全衛生規則には、これらの言葉を定義した条文は見当たりません。日本電気技術者協会、日本電気計器検定所、中国電気保安協会の説明をまとめると、次のようになります。

呼び方付ける相手例
絶縁用保護具作業者の身体電気用ゴム手袋、電気用長靴、電気用安全帽、絶縁衣
絶縁用防具充電電路やその近く絶縁防護管、碍子カバー、ゴムシート
絶縁用防護具建築工事の近くの充電電路建築用防護管、建築用防護ゴムシート
活線作業用器具作業者が手に持つ道具操作用フック棒など

断路器操作用フック棒の分類は、資料によって違います。日本電気計器検定所は絶縁用防具の例に、中国電気保安協会は活線作業用器具の例に挙げています。手元のフック棒をどちらで管理しているかは、職場の決まりで確かめます。器具として扱う場合、通達の表の電圧は当てはまりません。

絶縁用保護具・防具・防護具・活線作業用器具の違い。保護具は作業者が身に着ける(手袋・長靴・安全帽)、防具は充電電路に取り付ける(防護管・碍子カバー)、防護具は建築工事の近くの電路に取り付ける、活線作業用器具は手に持って使う(操作棒)。

手元の保護具で確かめる順番

  1. 表示を見る。規格は、製造者名・製造年月・使用の対象となる電路の電圧を、見やすい箇所に表示するよう求めています。何Vの電路に使うものかを確かめます
  2. 定期自主検査の対象かを決める。交流300Vを超える電路に使うものは対象です。高圧用の手袋や長靴は、すべて対象です
  3. 前回の検査からの期間を見る。検査合格のラベルや記録で、6か月以内かを確かめます。渡部工業は、厚生労働省の見解として、使い始めた日から数えるとしています。6か月を超えて使っていなかったものは、使い始める前に検査します
  4. 記録を確かめる。検査年月日・方法・箇所・結果・検査した人・補修の内容が、3年分そろっているかを見ます
  5. その日に使う前に点検する。ひび・割れ・破れと乾燥状態を見て、手袋は空気を入れて漏れを確かめます。異常があれば使わずに、補修か交換をします

検査の頻度や保護具の管理は、職場の保安規程や安全担当者の決まりもあわせて確かめます。

まとめ

  • 絶縁用保護具の定期自主検査は、労働安全衛生規則第351条で6か月以内ごとに1回。結果は6項目を記録し、3年間保存する
  • 対象は、高圧の保護具・防具、高圧・特別高圧の活線作業用装置・器具と、低圧のうち交流300Vを超える電路に使うもの
  • 交流300V以下の電路にだけ使う低圧用は定期自主検査の対象外。それでも、電圧に応じた絶縁効力があるものを使い、使用前の点検はする
  • 保護具と防具の定期自主検査の耐電圧試験の電圧は、規格の半分以上(1,500V/6,000V/10,000V以上)。昭和50年の通達(基発第415号)による
  • 6か月を超えて使わなかったものは、使い始めるときに検査する。異常があれば、補修などをしてからでなければ使わない
  • 検査はJEMIC、中国電気保安協会、メーカーなどに頼むこともできる。記録と保存は事業者の義務
  • その日の使用前に、ひび・割れ・破れ・乾燥状態を点検する。手袋は空気を入れてピンホールを確かめる

参考にした資料

  • 労働安全衛生規則 第341条〜第348条、第351条、第352条(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032 )
  • 絶縁用保護具等の規格(昭和47年労働省告示第144号)(厚生労働省 法令等データベース https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74050000&dataType=0&pageNo=1 )
  • 労働安全衛生規則等の一部を改正する省令の施行について(昭和50年7月21日 基発第415号)(厚生労働省 法令等データベース https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb2065&dataType=1&pageNo=1 )
  • ヨツギ「電気用ゴム手袋の取扱及び点検の方法」(高圧用・低圧用)、「よくある質問」(https://www.yotsugi.co.jp/faq/ )
  • 渡部工業「知っておきたい関連法規」(https://watabe-kogyo.co.jp/technology3/ )、「使用者様の法的義務 ~定期自主検査~」(https://watabe-kogyo.co.jp/technology4/ )、「安全にお使いいただくために」(https://watabe-kogyo.co.jp/technology2/ )
  • 日本電気計器検定所「絶縁用保護具・防具類の定期自主検査について」(https://www.jemic.go.jp/kousei/technicalcolumn-2025.05.html )、リーフレット「絶縁用保護具・防具の定期点検をおすすめします」
  • 中国電気保安協会「安全用具等の点検」(https://www.ces.or.jp/security/offer/inspection.html )
  • 日本電気技術者協会「電気安全作業のための保護具」(https://jeea.or.jp/course/contents/10201/ )
この記事を書いた人
高卒電気マン

高卒から電気の道へ。プラントの電気保全を8年あまり、受配電設備の設計を経て、現在はクレーンの電気制御設計に従事。2026年に電験三種合格。壊れる側と作る側の両方を見てきた視点で、日々の学びを記録しています。

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