表示灯の赤と緑は、運転と停止のどちらか|日本の公共設備の盤では赤が入・運転、機械の規格では赤は緊急

表示灯の赤と緑の意味 シーケンス制御

表示灯の赤と緑の意味は、盤によって逆になることがあります。日本の公共の設備の盤では、遮断器の「入」やポンプの「運転」を赤、「切」や「停止」を緑で表すよう定めた仕様書があります(千葉県企業局、神戸市)。一方、機械の電気装置の規格(IEC 60204-1、JIS B 9960-1)では、表示灯の赤は「緊急」、緑は「正常」の意味です。

どちらの決め方の盤かは、色だけでは分かりません。表示灯の横の銘板の文字と、図面の凡例で確かめます。

表示灯の色の決め方の比べ方。左は日本の公共の設備の仕様書の例で、赤が入・運転・開、緑が切・停止・閉。右は機械の電気装置の規格(IEC 60204-1)の例で、赤が緊急、黄が異常、緑が正常、青が強制、白が中立。同じ赤でも、左では「入っている」、右では「緊急」の意味になる。左の例でも、神戸市の仕様書は集合表示灯の故障表示を赤(標準)としている。

日本の公共の設備では、入・運転が赤

千葉県企業局の水道施設の工事仕様書は、状態表示について、入・運転・開は赤色点灯、切・停止・閉などは緑色点灯、その他は白色点灯としています。神戸市の下水道施設の設備工事の仕様書も、断路器・遮断器の状態表示灯を赤(入)・緑(切)、そのほかの機械の運転表示を赤(運転中)、バルブやゲートを赤(全開)・緑(全閉)としています。

赤が「入」なのは遮断器だけではありません。こうした仕様書では、ポンプやファンの「運転」も赤です。

公共の設備ではありませんが、私が保全をしていた工場の盤も、運転が赤、停止が緑でした。

入=赤の考え方の手がかりは、JIS の参考の附属書にある

入=赤・切=緑を定めた JIS や JEM の条文は、調べた範囲では見つかりませんでした。考え方の手がかりは、JIS C 0448:1997(表示装置(表示部)及び操作機器(操作部)のための色及び補助手段に関する規準)の附属書C にあります。

この附属書は、それまでの JIS C 0601 の内容を参考として載せたもので、規定の一部ではありません。附属書C は、表示灯の色を、消極的な内容の表示は緑、積極的な内容の表示は赤としています。別の表(操作の目的と表示の内容)は、開閉器の「切れ」や「止」を消極的な内容の表示に、「入り」や「動」を積極的な内容の表示に当てます。附属書Cの本文も、消極的な操作は消極的な表示に、積極的な操作は積極的な表示に対応させるとしています。色の表と合わせると、切・止が緑、入・動が赤になります。

機械の電気装置の規格では、赤は緊急

機械の電気装置の規格 IEC 60204-1 は、表示灯の色を、赤=緊急、黄=異常、青=強制、緑=正常、白=中立としています。この色は、2016年の版より前の版をもとにした欧州の採用版 EN 60204-1 で確かめました。JIS B 9960-1:2019 は、IEC 60204-1 の2016年の版と一致する規格です。

厚生労働省のサイトに載っている設備安全マニュアルの抜粋(企業の基準の例)は、IEC 60204-1(1997年の版)の色を出典に挙げます。そのうえで、赤のランプは、点けて警告し、すぐに是正できる設備のほかは、状態の表示に使わないとしています。この考え方の盤では、赤が点いていたら、まず異常を疑います。日本の公共の設備の盤では、状態表示灯の赤は「入」や「運転中」です。同じ赤を見て、逆の判断をすることになります。ただし神戸市の仕様書は、集合表示灯の故障表示も赤(標準)としていて、同じ盤の中でも赤の意味は1つではありません。

JIS C 0448 の色の意味

JIS C 0448:1997 は、IEC 60073 の1991年の版を翻訳した規格です。色の意味を、赤=危険・非常(緊急)、黄=注意・異常、緑=安全・正常、青=強制とし、白・灰・黒には特定の意味を持たせていません。IEC 60073 の現行の版は2002年の版です。JIS C 0448 がその後に改正されたかは、確かめられませんでした。

規格も、決め方をそろえることを求めている

JIS C 0448 は、色の決め方の原則を、システムの設計の初めに決め、同じプラントや工程の中のほかの装置と一致させるよう求めています。人や資産、環境の安全に関係しない範囲では、個別の規格で色について特別な決め方をしてよいとも書いています。

IEC 60204-1 も、供給者と使用者が合意すれば、表示灯の色を別に決めてよいとしています。

どちらの決め方が正しいかではなく、1つの現場の中でそろっているかが大事です。古い受変電設備の盤と、新しく入れた機械の制御盤が並んでいる現場では、色の意味が混ざります。

押しボタンの色は、表示灯とは別に決まっている

JIS C 0448 は、押しボタンなどの操作機器の色を、次のようにしています。

操作機器色
非常停止赤
停止・オフ白・灰・黒が好ましい。最も適切なのは黒。赤でもよい。緑は使わない
始動・オン白・灰・黒が好ましい。最も適切なのは白。緑でもよい。赤は使わない

IEC 60204-1 は、非常停止の操作部のすぐ周りに背景があるなら、その背景を黄にするとしています。

規格では、停止ボタンに一番合うのは黒で、赤は「使ってもよい」色です。神戸市の仕様書は、現場の操作盤のボタンを、停止用は赤、そのほかは黒としています。同じ仕様書では、表示灯の赤は運転中です。同じ盤で、表示灯の赤は「運転中」、ボタンの赤は「止める」と、意味が逆になります。

消えているのか、球が切れているのか

表示灯が消えているとき、「切」なのか、ランプが点かないだけなのかは、見ただけでは分かりません。

千葉県企業局と神戸市の仕様書は、ランプテストの回路を設け、ボタンを押すと盤面の表示灯がすべて点くようにすることを求めます。IEC 60204-1 も、警告灯の回路には、点くかどうかを確かめる手段を設けるよう求めています。千葉県企業局・神戸市・大津市の仕様書は、表示灯の光源を原則として LED にするよう定めています。

ランプテストで点かない表示灯は、ランプや回路を確かめます。表示灯の裏の端子を触るのは、充電部に近づく作業になります。職場の作業手順と保護具の決まりに従います。

盤の表示灯を読む順番

  1. 表示灯の横の銘板を読む。「入」「切」「運転」「故障」などの文字がある
  2. 図面の凡例を見る。表示灯の文字記号(SL)と色の補助記号(RD、GN など)が、どの状態に付いているか(記事「シーケンス図の読み方」)
  3. ランプテストを押す。消えていた表示灯が点くか
  4. 同じ現場のほかの盤とくらべる。古い盤と新しい機械の盤で、色の意味が違わないか

まとめ

  • 日本の公共の設備の盤では、入・運転・開を赤、切・停止・閉を緑とする仕様書がある(千葉県企業局、神戸市)。故障を赤で表す盤もある
  • その考え方の手がかりは、JIS C 0448 の附属書C(参考)の「消極的な内容は緑、積極的な内容は赤」
  • 機械の電気装置の規格 IEC 60204-1 では、表示灯の赤は緊急、緑は正常
  • 規格は、同じ現場の中で色の決め方をそろえることを求めている
  • 押しボタンは、非常停止が赤。停止ボタンは黒が最も適切で、赤でもよい。始動に赤は使わない
  • 消えているのか球切れかは、ランプテストで確かめる
  • 色だけで判断せず、銘板の文字と図面の凡例で確かめる

参考にした資料

  • JIS C 0448:1997「表示装置(表示部)及び操作機器(操作部)のための色及び補助手段に関する規準」(本文と附属書C)
  • JIS B 9960-1:2019「機械類の安全性-機械の電気装置-第1部:一般要求事項」
  • IEC 60204-1(欧州の採用版 EN 60204-1 の箇条10)、IEC 60073:2002(IEC ウェブストア https://webstore.iec.ch/en/publication/587)
  • 千葉県企業局「工事仕様書 第Ⅳ編(電気・通信・機械)」(https://www.pref.chiba.lg.jp/suidou/keikaku/tetsuzuki/documents/04-2024.pdf)
  • 神戸市「設備工事 仕様書 第4章 電気設備」(https://www.city.kobe.lg.jp/documents/8603/20260615setsubikouji4.pdf)
  • 大津市「盤類製作基準」(https://www.city.otsu.lg.jp/material/files/group/31/e-banruiseisakukijyun.pdf)
  • 厚生労働省掲載「設備安全マニュアル ⅢB-2 操作盤と警報表示」(https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001410515.pdf)
この記事を書いた人
高卒電気マン

高卒から電気の道へ。プラントの電気保全を8年あまり、受配電設備の設計を経て、現在はクレーンの電気制御設計に従事。2026年に電験三種合格。壊れる側と作る側の両方を見てきた視点で、日々の学びを記録しています。

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