第二種電気工事士の技能試験は「欠陥のない作品が合格」― 判断基準を原文で読む

技能試験の練習作品を作る男性と、判断基準の要点をまとめたアイキャッチ画像 資格とキャリア

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第二種電気工事士の技能試験の合否は、作品に欠陥があるかないかで決まります。試験センターの資料の言葉では「欠陥のない作品が合格となります」。欠陥の判断基準は12の大項目に分かれていて、被覆のむき過ぎなどには、mmで線が引かれた項目もあります。心線の傷はmmではなく、「折れる程度」かどうかが線です。

令和8年度下期の第二種電気工事士の技能試験は、試験地によって12月12日(土)か13日(日)です(2026年10月5日に受験案内で確認)。何をしたら欠陥になるのか。試験では、どこまでなら許されるのか。この2つは、試験センターが公開している資料で確かめられます。

私が技能試験を受けたとき、いちばん不安だったのは、心線を傷つけないかでした。心線は、電線の中の銅の線です。どの程度の傷から欠陥になるのかも、資料に書いてあります。

合否は「欠陥があるかないか」で決まる

試験センターが書いていること

合否の決め方は、試験センターの「電気工事士技能試験の概要と注意すべきポイント」(令和8年3月)の3頁にあります。

合否は,作品の欠陥の有無の判定結果に基づき決定されます。

欠陥のない作品が合格となります

欠陥かどうかは、同じ資料の第Ⅱ部に載っている「欠陥の判断基準」で判定します。受験案内(令和8年度第二種電気工事士下期試験、11頁)にも、判断基準にもとづいて「作品の欠陥の有無を判定し、合否が決められます」と書かれています。

判断基準は第一種・第二種で共通

判断基準の資料は1つで、第一種と第二種で同じものを使います。PDFの題名が「電気工事士技能試験(第一種・第二種)欠陥の判断基準」です。試験センターの「技能試験に係る欠陥の判断基準等について」のページ(第二種)から開けます。

同じページには、個別の質問には応じないことも書かれています。

受験される皆様に対する公平性の確保という観点から、当該資料についての個別のご質問につきましては、一切応じられません。

試験センターに「これは欠陥ですか」と聞いても、答えは得られません。欠陥かどうかについて、試験センターが読むよう案内しているのは、判断基準と注意すべきポイントの2つです。試験センターも、この2つで「ご提供できる情報は全て網羅しています」と書いています。

試験の線と、仕事の線は別

判断基準には、mmの数値で線が引かれた項目がいくつかあります。この数値は、試験の合否を決めるための線です。現場で許される線ではありません。

注意すべきポイント3頁は、判断基準を「試験環境や代用品の使用からくる制約等を勘案して設定したもの」としたうえで、こう書いています。

実際の工事では限りなく 0mm に近い施工が求められている

試験では判断基準の線で合否が決まり、仕事ではそれより厳しい施工が求められる。この2つを分けて読んでください。

欠陥の判断基準は12の大項目 ― 3つに分けて読む

判断基準の大項目は12あります。番号と名前は原文のままです。

番号大項目(原文)分け方
1未完成のもの回路
2配置,寸法,接続方法等の相違配線図・施工条件
3誤接続,誤結線のもの回路
4電線の色別,配線器具の極性が施工条件に相違したもの配線図・施工条件
5電線の損傷作業
6リングスリーブ(E形)による圧着接続部分作業
7差込形コネクタによる差込接続部分作業
8器具への結線部分作業
9金属管工事部分作業
10合成樹脂製可とう電線管工事部分作業
11取付枠部分作業
12その他作業

右の列は、注意すべきポイント9頁の「技能試験で重視する3つの能力」を借りて、こちらで分けたものです。3つの能力は「回路を的確に構成する能力」「配線図や施工条件を理解し遵守する能力」「接続等の作業を的確に行う能力」。資料は第Ⅲ部の各能力の節で、話題ごとに「参照すべき欠陥の判断基準項目」を挙げています。たとえば10頁は「回路を的確に構成する」に1と3を、20頁は電線の取り扱いに5-1〜5-4を挙げています。1つの項目が複数の能力の節に出てくることもあるので、右の列は、それをこちらで1つに寄せた大まかな分け方です。

細目がとくに多いのは8(器具への結線部分)で、ねじ締め端子とねじなし端子に分かれ、8-1から8-10まで並びます。12には、支給品以外の材料を使ったもの、不要な工事をしたもの、器具を破損させたものなどが入っています。

2と4は、回路が電気的に正しくても欠陥になります。注意すべきポイント9頁にこうあります。

指定された配線図及び施工条件に従って施工されていない作品は,回路が電気的に正しく結線されていたとしても,欠陥であると判断します。

電線の色や器具の極性を施工条件と違えた作品は、回路として正しくても欠陥と判断されます。

心線の傷は、どこからが欠陥か

私が不安だった心線の傷は、判断基準の「5.電線の損傷」に入っています。原文はこうです。

5-1.ケーブル外装を損傷したもの

イ.ケーブルを折り曲げたときに絶縁被覆が露出するもの

ロ.外装縦われが 20mm 以上のもの

ハ.VVR,CVV の介在物が抜けたもの

5-2.絶縁被覆の損傷で,電線を折り曲げたときに心線が露出するもの

ただし,リングスリーブの下端から 10mm 以内の絶縁被覆の傷は欠陥としない

5-3.心線を折り曲げたときに心線が折れる程度の傷があるもの

5-4.より線を減線したもの

ケーブルの外側の覆いがシース(外装)、1本1本の電線を包むのが絶縁被覆、その中が心線です。5は外から順に、外装・絶縁被覆・心線の損傷を並べています。

心線の傷については、5-3の「折れる程度の傷」が線です。傷が付いたら即欠陥、とは書かれていません。注意すべきポイント19頁には、もう一歩踏み込んだ説明があります。

ただし,表面に傷がついている程度のものについては欠陥と致しません。

心線の傷が欠陥になる理由も、同じ頁にあります。

下図の(イ)のように心線に傷をつけると,接続のとき,その部分から折れてしまう場合があります。

心線に傷がなくても、絶縁被覆に傷があって心線が露出しているときは、ほこりなどが原因で発火する危険がある、とも書かれています(図の(ロ))。傷の様子は、19頁の図の(イ)(ロ)で確かめられます。

ケーブルの種類にも注意書きがあります。19頁が挙げるのは、エコケーブル(EM-EEF)やVVRケーブルなどです。材質の特性上、VVF用ストリッパでは外装をうまくはぎ取れないことがあり、「心線を傷つける原因となります」。令和8年度の第二種の候補問題には、EM-EEFと書かれた配線図があります。次の年度以降に受ける人は、その年度の候補問題で確かめてください。

mmや%で線が引かれた欠陥 ― 数値は試験の合否の線

判断基準のうち、数値で線が引かれた項目を1つの表にまとめました。ただし、8-7イ(巻き付けの不足)は数値を正確に読み取れなかったので、表に入れていません。表の右の列は「これに当たると欠陥」という線です。試験の合否の線で、仕事で許される範囲を示したものではありません(5-2の「10mm以内」だけは、欠陥としない側の線です)。

番号どこの話か欠陥になる線(原文の要点)
2-2寸法配線図に示された寸法の50%以下(器具は中心からの寸法)
5-1ロケーブル外装外装縦われが20mm以上
5-2絶縁被覆の傷折り曲げて心線が露出(スリーブ下端から10mm以内の傷は除く)
6-2ロリングスリーブ上端から心線が5mm以上露出
6-2ハリングスリーブ絶縁被覆のむき過ぎで、下端から心線が10mm以上露出
6-2ニリングスリーブ外装のはぎ取り不足で、絶縁被覆が20mm以下
8-3イ端子台(高圧側)端子台の端から心線が20mm以上露出
8-3ロ端子台(低圧側)端子台の端から心線が5mm以上露出
8-3ハ配線用遮断器・押しボタンスイッチ等器具の端からの心線の露出が5mm以上
8-3ニランプレセプタクル・露出形コンセントねじの端から5mm以上、心線が出ている
8-7ハ巻き付けによる結線心線がねじの端から5mm以上はみ出した
8-9ねじなし端子差込口から心線が2mm以上露出(引掛シーリングローゼットは1mm以上)
8-10引掛シーリングローゼット台座の下端から絶縁被覆が5mm以上露出

受験案内11頁にも、判断基準の数値について「実際の工事では、この判断基準と異なり、限りなく0mmに近い施工が求められる」とあります。表の数値は試験の合否のためのもので、施工の目安にはなりません。

「よくある欠陥」の5つは、作品全体の2つと手元の作業の3つ

注意すべきポイント45頁には「技能試験でよくある欠陥事例」があります。挙げられているのは5つです。

番号内容資料が書いている対策の要点
1未完成のもの時間内に完成できるよう、繰り返し練習する
3誤接続,誤結線のもの複線図を正しく描く練習と、接続・結線の練習
6-1リングスリーブ用圧着工具の使用方法が適切でないもの21頁の説明(リングスリーブの選択など)を確かめる。刻印を間違えたら、新しいリングスリーブでやり直す
8-10引掛シーリングローゼットへの結線で,絶縁被覆が台座の下端から5mm以上露出したもの20頁の説明を確かめ、仕上がりを考えてシースと絶縁被覆をはぎ取る練習をする
8-7ランプレセプタクル又は露出形コンセント等の巻き付けによる結線部分の処理が適切でないもの30頁の説明(巻付け方法、カバー)を確かめ、絶縁被覆が長すぎてカバーが締まらないことのないよう、繰り返し練習する

複線図は、配線図を実際の電線1本1本のつなぎ方に描き直した図です。3の対策として、資料は「複線図を正しく描く練習」を挙げています。

5つのうち、1と3は作品全体の話で、6-1・8-10・8-7は手元の作業の話です。時間内に回路を正しく組むことと、1か所ずつの仕上がり。どちらが欠けても欠陥になります。

令和8年度下期の技能試験の日程と、当日の決まり

技能試験の日は、申し込みで選んだ試験地によって決まります。下期の受験案内の5頁と51頁の表から、技能試験に関わる日付と時刻を抜き出しました(2026年10月5日に確認)。

項目日時
技能試験受験票の発送日11月27日(金)
技能試験日12月12日(土)または12月13日(日)
着席時刻10:50
入室禁止時刻10:55
試験開始時刻11:30
試験終了時刻12:10
技能試験結果発表日令和9年1月15日(金)12:00、試験センターのホームページ
試験結果通知書の発送日令和9年1月25日(月)

試験時間は40分です。注意すべきポイント3頁に「第二種電気工事士技能試験 [試験時間 40 分]」とあり、同じ頁に「試験時間は変更になる場合があります」とも書かれています。令和8年度の候補問題の公表文(令和8年1月16日)では、問題はNo.1〜No.13の13問の配線図から出されます。試験時間は「すべての問題について40分の予定」です。

自分の試験日は、受験案内6頁の下期試験地一覧表で確かめてください。日付は回ごとに違うので、最新の日程は、試験センターの「第二種電気工事士試験」のページにあります。

当日の決まりを、注意すべきポイントから拾うと次のとおりです。電動工具を使うことと、立ち続けることは失格になると書かれています。欠陥の判定とは別の扱いです。

  • 電動工具は使えません。充電式の電動機能付きの工具も、電動機能をOFFにしても使えません。使っていると不正行為で失格になります
  • 改造した工具・自作の工具は使えません。改造の大小は問われません
  • テスタなどの計測器は使えません
  • 作業は椅子に座って行います。立ち続けると失格です。力を入れるときなど、一時的に立つのは問題ないとされています

カッターナイフでのけがで退出する人が増えているとして、資料はカッターナイフの使用の自粛も求めています。

私が技能試験を受けたとき

ここからは、私が技能試験を受けたときの話です。

練習は、その年に公表された候補問題の、およそ8割の数を1周しました。全部は組んでいません。保全の仕事をしていたので、それくらいで行けたのではないか、と私は思っています。保全の仕事という条件が付いた数字なので、練習の量を私の数字に合わせる理由はありません。

練習量の数字を目安にしないのは、電験三種の過去問について書いた記事でも同じです。「電験三種の過去問は、いつから始めるか」では、私が使った期間を、目安ではなく1件の実例として書きました。

複線図は、面倒だったので書かずに臨みました。このやり方は勧めません。「よくある欠陥」の節の表のとおり、試験センターは「誤接続,誤結線」をよくある欠陥に挙げ、その対策として複線図を正しく描く練習を挙げています。判断基準の3は「誤接続,誤結線のもの」で、箇所の数の条件は付いていません。試験センターが挙げる対策を、私のやり方に合わせて外す理由はありません。

工具は、ホーザンの電気工事士技能試験用の工具セット「DK-28」を使いました。取扱説明書によると、セットには電工ナイフ、布尺、プラスとマイナスのドライバー、VVFストリッパ(P-958)、リングスリーブ用の圧着工具(P-738)、ウォーターポンププライヤー、ペンチなどが入っています。

心線を傷つけないか。これが、私のいちばんの不安でした。原文を読むと、この不安の中身は整理できます。判断基準の5-3は「折れる程度の傷」を欠陥とし、注意すべきポイント19頁は表面の傷を欠陥としない、と書いています。心線の傷は、付いたかどうかより、折れる程度かどうかで判断されます。

不安な作業ごとに、判断基準と注意すべきポイントの頁を開く

不安な作業があるときに開く場所を、対応させておきます。

不安な作業判断基準注意すべきポイント
回路が正しく組めるか、時間内に終わるか1、310頁、45頁
配線図・施工条件どおりに組めているか2、49頁、10〜18頁
電線のむき方、心線の傷519〜20頁
リングスリーブの圧着621頁〜
差込形コネクタ725頁〜
器具への結線827頁〜
金属管・可とう電線管9、1035頁〜
取付枠1138頁
支給品以外の材料、不要な工事、器具の破損1239頁〜

まとめ

  • 合否は作品の欠陥の有無で決まる。試験センターの言葉では「欠陥のない作品が合格」
  • 欠陥の判断基準は第一種・第二種で共通の1つの資料で、大項目は12。個別の質問には、試験センターは応じない
  • 配線図や施工条件と違う作品は、回路が電気的に正しくても欠陥(2・4など。注意すべきポイント9頁)
  • 判断基準のmmや%の数値は試験の合否の線で、仕事の許容とは別。実際の工事では限りなく0mmに近い施工が求められる
  • 心線の傷は5-3の「折れる程度の傷」が線。表面の傷は欠陥としないと、注意すべきポイント19頁にある
  • 試験センターが「よくある欠陥」に挙げたのは、未完成、誤接続・誤結線、圧着工具の使い方、引掛シーリングローゼットでの被覆の出過ぎ、巻き付けの処理の5つ(注意すべきポイント45頁)
  • 当日は電動工具・改造した工具・自作の工具・計測器は使えない。電動工具を使うことと、立ち続けることは失格(注意すべきポイント)
  • 令和8年度下期の第二種は、試験地によって12月12日か13日。時刻は11:30〜12:10(着席10:50)。結果発表は令和9年1月15日12:00(2026年10月5日に受験案内で確認)

私が使った工具セットは、楽天市場では次のリンクから探せます。

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参考にした資料

閲覧日は、とくに書いていないものは2026年10月5日です。

  • 一般財団法人 電気技術者試験センター「技能試験に係る欠陥の判断基準等について」(第二種のページ) https://www.shiken.or.jp/construction/second/defect/ ― 判断基準が第一種・第二種共通であること、2つの資料で提供できる情報を網羅しているとすること、個別の質問に応じないこと
  • 同「電気工事士技能試験(第一種・第二種)欠陥の判断基準」(PDF) https://www.shiken.or.jp/construction/upload/handankizyun2017.pdf ― 全4頁。大項目1〜12と細目
  • 同「電気工事士技能試験の概要と注意すべきポイント」(令和8年3月、PDF) https://www.shiken.or.jp/construction/upload/point2026_2.pdf ― 表紙の次の頁、目次、1〜4頁、9〜20頁(10〜18頁は各節の「参照すべき欠陥の判断基準項目」)、45〜46頁
  • 同「令和8年度第二種電気工事士技能試験候補問題の公表について」(令和8年1月16日、PDF) https://www.shiken.or.jp/construction/upload/K_R08K.pdf ― 1頁の公表文(候補問題の数、出題方法、試験時間)。配線図はEM-EEFの表記の有無のみ
  • 同「令和8年度第二種電気工事士下期試験受験案内」(PDF) https://www.shiken.or.jp/construction/upload/r8kmousikomiannai2.pdf ― 5頁(技能試験の時刻)、11頁(候補問題と判断基準)、51頁(試験に関する日程)
  • 同「第二種電気工事士試験」 https://www.shiken.or.jp/construction/second/ ― 令和8年度下期の試験日(2026年10月11日にも確認)
  • ホーザン「DK-28 電気工事士技能試験 工具セット」取扱説明書(PDF) https://www.hozan.co.jp/download/manual/DK-28.pdf ― セットの内容(2026年10月11日閲覧)
この記事を書いた人
高卒電気マン

高卒から電気の道へ。プラントの電気保全を8年あまり、受配電設備の設計を経て、現在はクレーンの電気制御設計に従事。2026年に電験三種合格。壊れる側と作る側の両方を見てきた視点で、日々の学びを記録しています。

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