PLCのリレー出力は、交流にも直流にも使える代わりに、接点が開閉の回数で減ります。トランジスタ出力は直流専用で、開閉が速く、接点がないぶん摩耗しません。どちらを使うかは、つなぐ負荷の電源が交流か直流か、流す電流、開閉の回数で決まります。交流の負荷を半導体で開閉したいときは、トライアック出力があります。
トランジスタ出力には、シンク(NPN形)とソース(PNP形)があり、負荷をつなぐ側とコモンの極性が逆です。半導体の出力には、OFFでも少し電流が流れる「もれ電流」があり、小さな負荷が切れないことがあります。

3つの出力の違い
オムロンのCJシリーズの出力ユニットは、同じシリーズにリレー・トライアック・トランジスタの3つがあり、比べやすい例です。仕様は次のとおりです。
| 項目 | リレー(CJ1W-OC201) | トライアック(CJ1W-OA201) | トランジスタ(CJ1W-OD211) |
|---|---|---|---|
| 使える電源 | 交流250V・直流24V | 交流250V | 直流(シンク) |
| 最大の開閉電流 | 2A | 0.6A | 0.5A/点 |
| OFF時のもれ電流 | — | 1.5mA(200V) | 0.1mA |
| 応答時間(ON) | 15ms | 1ms | 0.1ms |
三菱電機のFX5Uも、リレー出力は直流30V・交流240V以下で1点2A、トランジスタ出力は直流5〜30Vで1点0.5A、開路もれ電流は0.1mA以下としています。
数値は機種で違います。パナソニックのFP0Rのトランジスタ出力は1点0.2Aで、もれ電流は1μA以下です。つなぐ前に、その機種の仕様表で確かめます。
リレーの寿命は、負荷と開閉の頻度で決まる
キーエンスのKV-N16ER(リレー出力)は、電気的寿命を10万回以上(毎分20回)、機械的寿命を2,000万回以上としています。電気的寿命は、機械的寿命の200分の1です(私の計算)。IDECのFC4Aは、電気的寿命10万回以上の条件を「定格負荷で毎時1,800回」としています。
三菱電機のFXファミリーのカタログ(2009年版。FX1S・FX1N・FX3G・FX3U)は、リレー出力の接点寿命を、20VAで300万回、35VAで100万回、80VAで20万回としています(FX3G・FX3Uは保証値ではないと注記)。この表では、負荷が4倍になると、寿命は15分の1になります(私の計算)。オムロンのCJ1W-OC201は、直流24Vの抵抗負荷で15万回、交流240Vの誘導負荷(cosφ=0.4)で10万回としていて、寿命はつなぐ負荷で変わると注記しています。
1秒に1回開閉すると、10万回は約28時間で数え終わります(私の計算)。寿命10万回の接点を5秒おきに開閉すると、24時間運転なら約6日で寿命の回数に達します(私の計算)。負荷が軽ければ回数は延びますが、数秒おきの開閉はリレー出力には重い使い方です。トランジスタ出力やトライアック出力には接点がないので、接点の摩耗はありません。オムロンは、無接点のSSRについて、高速・高頻度の開閉ができるとしています。リレーの寿命の考え方は、記事「リレーの寿命は年数ではなく開閉回数」で扱いました。
トランジスタ出力のシンクとソース
オムロンのFAQは、シンク出力では電流が+の電源→負荷→PLC→-の順に流れ、NPN形のトランジスタと同じとしています。ソース出力は+の電源→PLC→負荷→-で、PNP形と同じです。
| 出力の形 | 負荷をつなぐ側 | コモンの極性 | 型名の例 |
|---|---|---|---|
| シンク(NPN形) | 負荷の片側を+の電源へ | - | 三菱 FX5UJ の /DS、キーエンス KV-N16ET |
| ソース(PNP形) | 負荷の片側を-の電源へ | + | 三菱 FX5UJ の /DSS、キーエンス KV-N16ETP |
IDECのFC4Aは、シンク出力の機種のコモンを COM(-)、ソース出力の機種を COM(+) としています。コモンの端子の極性で、シンクかソースかを見分けられます。
三菱電機のFX5UJのトランジスタ出力は、1点0.5Aのほかに、コモンごとの合計にも上限(3点で0.6A、4点で0.8A)があります。1点ずつの定格だけを見て、同じコモンに大きな負荷を集めないようにします。
入力のシンク・ソースは、呼び方がメーカーで逆に見える
出力のシンク・ソースは、調べた資料(オムロン、三菱電機、キーエンス、IDEC、AutomationDirect)では同じ意味です。入力は違います。三菱電機は、X端子を0Vにつなぐと入る入力を「シンク入力」と呼び、NPN形のセンサをつなぎます。米国のAutomationDirectの定義では、電流を受けて0Vへ流す入力が「シンク」で、PNP形のセンサをつなぐ側になります(2つの資料を比べた私の整理)。入力の切り分けは、記事「センサの入力が来ないときの切り分け」で扱いました。
電磁弁やリレーのコイルには、サージ対策を入れる
三菱電機のFAQは、リレー出力の接点を守るために、直流の負荷にはダイオードを、交流の負荷にはCR(サージキラー)をつなぐよう勧めています。オムロンのリレーの注意事項によると、ダイオードは直流だけに使え、入れると負荷の復帰が遅れます。バリスタは交流・直流の両方に使えます。IDECのカタログは、コンデンサだけを接点に並列に入れると、接点が溶着しやすくなるとしています。
ダイオードを入れると、電磁弁の戻りが遅くなることがあります。戻りの速さが大事な負荷は、方式を選びます。
トランジスタ出力でも、直流の誘導負荷には、負荷と並列にダイオード(フリーホイールダイオード)を入れるよう、オムロンのナレッジベースは書いています。出力の側に入っている保護は、FP0Rのトランジスタ出力がツェナーダイオード、IDECのFC4Aが39Vのクランプ回路です。一方、FP0Rのリレー出力のサージ吸収は「なし」です。
短絡保護は、機種によってある・ない
オムロンのCJシリーズでは、シンク出力のCJ1W-OD211にはヒューズがなく、短絡保護の記載もありません。ソース出力のCJ1W-OD212には負荷短絡の保護があります。キーエンスのKV-N16ETは過電流保護があり、働くと同じコモンの出力がOFFになり、自動で復帰を繰り返します。
IDECのFC4Aのマニュアルは出力回路にIEC 60127に適合したヒューズを、オムロンのCP1Eのマニュアルは外部配線の短絡に備えて外部にブレーカを、それぞれ入れるよう求めています。三菱電機は、出力の素子が壊れると、出力がONのまま、またはOFFのままになることがあると注意しています。
オムロンのSSRの資料は、SSRは壊れるとONのままになることが多い、としています。止めるための回路を、PLCの出力だけに任せません。非常停止やインタロックをPLCの外部で組む理由は、記事「ラダー図の読み方」で扱いました。
もれ電流で、小さな負荷が切れないことがある
オムロンのSSRの注意事項は、OFFのときのもれ電流で、小さな負荷が復帰しないことがあるとして、負荷と並列にブリーダ抵抗を入れる方法を示しています。パナソニックのSSRの注意事項も、同じ対策を挙げています。
オムロンのCJ1W-OA201(トライアック出力)は、200Vで1.5mAのもれ電流があり、最小の開閉電流は50mAです。オムロンのFAQ(SSRの最小負荷電流)は、トライアックやサイリスタの出力素子がONを保つには保持電流が要り、負荷電流が小さいとONを保てないことがあるとしています。PLCのトライアック出力でも、負荷が小さすぎるとONを保てず、もれ電流で負荷が切れないこともあります。表示灯や小さなリレーをつなぐときは、もれ電流と最小負荷を仕様表で確かめます。
出力を選ぶ・確かめる順番
- 負荷の電源を確かめる。交流ならリレーかトライアック、直流ならリレーかトランジスタ
- 電流を確かめる。1点の定格と、コモンごとの合計
- 開閉の頻度を見る。頻繁に開閉するならリレーの寿命を計算する
- トランジスタ出力なら、シンクかソースか。負荷をつなぐ側とコモンの極性
- 誘導負荷にはサージ対策。直流はダイオード、交流はCRかバリスタ。戻りの速さも見る
- 小さな負荷は、もれ電流と最小負荷を見る
- 短絡保護の有無を仕様表で確かめ、外部のヒューズやブレーカを入れる
まとめ
- リレー出力は交流・直流に使えるが、応答はトランジスタより遅く(例:10〜15ms)、接点の寿命が開閉の回数で決まる
- トランジスタ出力は直流だけで、応答が速く、接点の摩耗がない。トライアック出力は交流だけ
- リレーの寿命は、負荷が大きいほど短い。寿命10万回の接点を数秒おきに開閉すると、24時間運転なら数日で寿命の回数に達する
- トランジスタ出力のシンクはコモンが-、ソースはコモンが+。コモンごとの合計電流にも上限がある
- 電磁弁などの誘導負荷には、直流はダイオード、交流はCRかバリスタ
- 短絡保護は機種によってある・ない。外部にヒューズやブレーカを入れる
- 半導体の出力にはもれ電流があり、小さな負荷が切れないことがある
参考にした資料
- オムロン「CJシリーズ 出力ユニット 仕様」(https://www.ia.omron.com/products/family/2055/specification.html)、FAQ00439(https://www.ia.omron.com/support/faq/answer/26/faq00439/index.html)、「リレー 共通の注意事項」(https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/generalrelay_cn_j_6_1.pdf)、「ソリッドステート・リレー 共通の注意事項」(https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/ssr_cn_j_2_7.pdf)、「Technical Explanation for Solid-state Relays」(https://www.ia.omron.com/data_pdf/guide/18/ssr_tg_e_9_2.pdf)、Help Center「How to Protect Transistor Outputs from Inductive Loads」(https://omron.helpjuice.com/input-and-output-io/how-to-protect-transistor-outputs-from-inductive-loads)、FAQ02109「SSRの最小負荷電流」(https://www.ia.omron.com/support/faq/answer/18/faq02109/index.html)、CP1E ハードウェアマニュアル W479(https://files.omron.eu/downloads/latest/manual/en/w479_cp1e_cpu_unit_hardware_users_manual_en.pdf)
- 三菱電機「MELSEC iQ-F FX5U CPUユニット ハードウェアマニュアル」(https://dl.mitsubishielectric.com/dl/fa/document/manual/plcf/jy997d53401/jy997d53401jh.pdf)、FX5UJ リーフレット(https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/document/nproduct/plcf/l08876/l08876-a.pdf)、FXファミリー カタログ(https://datasheets.ibselectronics.com/UL-Mitsubishi-datasheet-10901658.pdf)、FAQ 24999(https://fa-faq.mitsubishielectric.com/faq/show/24999)、FAQ 22254(https://fa-faq.mitsubishielectric.com/faq/show/22254)
- キーエンス「KV-N16ER」(https://www.keyence.com/products/controls/plc-terminal-block-type/kv_nano/models/kv-n16er/)、「KV-N16ET」(https://www.keyence.com/products/controls/plc-package/kv_nano/models/kv-n16et/)、「KV-N16ETP」(https://www.keyence.com/products/controls/plc-building-block-type/kv-x/models/kv-n16etp/)
- パナソニック「AFP0RC10RS」(https://industry.panasonic.com/global/en/products/fasys/plc/plc/number/afp0rc10rs)、「AFP0RC16T」(https://industry.panasonic.com/global/en/products/fasys/plc/plc/number/afp0rc16t)、「Cautions for Use of Solid State Relays」(https://industry.panasonic.com/global/en/products/control/relay/solid-state/cautions_use)
- IDEC「FC4A Series User’s Manual」(https://mouser.com/datasheet/2/650/MICROSmartManual-1844544.pdf)、リレーカタログ(https://resources.ipd.com.au/Flipbook/IDEC-relay-catalogue/files/basic-html/page52.html)
- AutomationDirect「Sinking and Sourcing Concepts」(https://cdn.automationdirect.com/static/specs/sinksource.pdf)

コメント