kVAとkWの違い|変圧器はkVA、モータはkWで表す理由と銘板の読み方

kVAとkWの違い。変圧器の銘板はkVA(電圧×電流)、モータの銘板はkW(軸の出力) 電力と力率

kVAは電圧と電流を掛けただけの「皮相電力」、kWはそのうち実際に仕事や熱になる「有効電力」です。2つの比が力率で、kW=kVA×力率になります。変圧器の定格容量は、温度上昇の限度で決まる皮相電力(kVA)です。モータの定格出力のkWは、電源から取る電力ではなく、軸から取り出せる機械の出力です。

そのため、同じ「kW」や「kVA」という単位でも、銘板ごとに何を表しているかが違います。変圧器や発電機にモータをつなげるかを考えるときは、モータの出力kWを、効率と力率で割って電源側のkVAに直してから比べます。

有効電力・無効電力・皮相電力の関係。横に有効電力P(kW)、縦に無効電力Q(kvar)、斜めの辺が皮相電力S(kVA)の直角三角形。例として400kW・300kvar・500kVA、力率=P÷S=0.8。

kVAは電圧×電流、kWはそのうち仕事になる分

日本電気技術者協会の解説は、電圧と電流の積 S=VI を皮相電力〔VA〕、P=VI cosθ を有効電力〔W〕としています。Q=VI sinθ は無効電力〔var〕です。cosθ が力率です。同じ協会の別の解説は、力率を「有効電力/皮相電力」とも定義しています。

呼び方記号単位中身
皮相電力SVA、kVA電圧×電流。電線や巻線に流れる電流の大きさを決める
有効電力PW、kW仕事や熱になる電力。S×力率
無効電力Qvar、kvar電源と負荷のあいだを行き来するだけの電力

P=S cosθ、Q=S sinθ なので、3つは直角三角形の3辺の関係になります(S² = P² + Q²)。力率0.8なら、500kVAのうち仕事になるのは400kWで、無効電力は300kvarです(500² = 400² + 300²)。

電流を決めているのはkVAのほうです。同じ400kWを使う負荷でも、皮相電力は力率が1なら400kVA、0.8なら500kVAで、電流もそれに比例して大きくなります。日本電気技術者協会の解説は、同じ電力なら力率が1のときに電流が最小になる、としています。変圧器の負荷損や配線の損失は電流の2乗に比例する、とも書いています。力率を上げると、どこまでの電流が減るのかは、記事「進相コンデンサを入れても、モータの電流は減らない」で扱いました。

高圧の電気料金でも、力率は使われます。中部電力ミライズの高圧(契約電力500kW未満)では、基本料金を決める契約電力はkWです。力率が85%を上回る1%ごとに基本料金を1%割引き、下回る1%ごとに1%割増しします。各社の条項は、記事「力率割引の85%基準を約款の原文で確かめる」にまとめました。

変圧器の容量は、温度上昇の限度で決まる皮相電力(kVA)

日本電気技術者協会の解説とダイヘンのQ&Aは、変圧器の定格容量を次のように定めています。定格二次電圧・定格周波数・定格力率において、決められた温度上昇の限度を超えずに二次端子から取り出せる皮相電力です。単位はkVAかMVAです。定格力率は、特に指定がなければ100%です(日本電気技術者協会)。

ダイヘンのQ&Aによると、変圧器の損失は2つに分かれます。

  • 無負荷損:定格周波数の定格電圧を加え、ほかの巻線を開いたときの損失
  • 負荷損:負荷電流を流すことで出る損失

ダイヘンの説明は、どちらも電圧や電流で定義していて、負荷の力率には触れていません。ここから言えるのは、同じ電圧で同じ電流が流れていれば、負荷の力率が1でも0.8でも、変圧器の損失は変わらない、ということです。変圧器にとって大事なのは、何kW使われたかではなく、どれだけの電流を流したかです。容量を電圧×電流のkVAで表すのは、この点で理にかなっています。

日本電気技術者協会の例題には、定格容量500kVAの変圧器に、400kW(遅れ力率0.8)の負荷がつながっている場面があります。400kWは500kVAより小さく見えますが、400 ÷ 0.8 = 500kVA なので、この負荷だけで変圧器の容量いっぱいです。kWの数字だけを容量と比べると、余裕があると読み違えます。

モータのkWは、軸から取り出せる出力

三菱電機の用語解説は、モータの出力を、モータが発生する機械的エネルギー(トルク×回転速度)とし、定格出力の単位をWまたはkWとしています。富士電機の用語集も、効率を「入力電力に対する軸出力の比率」とし、出力を軸動力と言いかえています。

銘板の「11kW」は軸の出力で、電源から取る電力ではありません。電源から見ると、この出力に、モータの中の損失が加わります。さらに電流で見るなら、力率の分だけ大きくなります。

三菱電機のFAQは、同社の三相モータ(SF-PR・SF-HR・SF-JR)について「√3 × V × I × 力率 × 効率 = 出力」としています。言いかえると、電源側の皮相電力は次のとおりです。

電源側の皮相電力(kVA)= √3 × V × I = 出力(kW)÷(効率 × 力率)

仮に、11kWのモータの効率を0.90、力率を0.80とすると、次のようになります。

見る量計算値
軸の出力銘板の定格出力11kW
電源から取る有効電力11 ÷ 0.90約12.2kW
電源から見た皮相電力11 ÷(0.90 × 0.80)約15.3kVA
200Vのときの電流11,000W ÷(0.90 × 0.80)÷(√3 × 200V)約44.1A

効率と力率は仮の値です。実際の値は、そのモータのカタログや試験成績書で確かめます。

インバータで動かす場合は、インバータの効率と力率も加わります。三菱電機のFAQは、電源設備容量(kVA)を「モータ出力 ÷(モータ効率 × インバータ効率 × インバータ力率)」で求めるとしています。55kWのモータでカタログに99kVAとある理由を、この式で説明しています。インバータ力率は、マージンを見て0.6〜0.7程度としています(同社のインバータの場合)。

発電機とUPSは、kVAに加えて力率やWも見る

次の例では、発電機やUPSも、kVAで容量を表したうえで力率を示しています。

  • 発電機:デンヨーの一般停電用予備発電装置 DCA-100USI3T は、周波数50/60Hz、出力80/100kVA、力率0.8(遅れ)と表示しています。kWの表示はありません。100kVAに力率0.8を掛けると80kWですが、有効電力の上限をどう見るかは、メーカーの仕様書で確かめます
  • UPS:三菱電機の MELUPS 2031C は、容量をkVAで表し、出力力率を0.9としています。オムロンの説明は、UPSの出力容量は「VA」と「W」の2つの値で決まっていて、どちらか一方でも超えると過負荷になる、としています

UPSでは、VAに収まっていても、Wで超えることがあります。出力力率が1未満のUPSに力率1に近い負荷をつなぐと、VAの余裕より先に、Wの上限に届きます。オムロンの選定方法は、負荷の力率が分からないときは、VAの合計を力率0.6、Wの合計を力率1.0で見積もるよう書いています(同社のUPSの場合)。

銘板の単位で読むことの違い。変圧器はkVA(電圧×電流の上限。温度上昇の限度で決まる)。モータはkW(軸の出力。電源側は効率と力率で割って大きくなる)。発電機・UPSはkVAに加えて力率、またはVAとWを見る(例のUPSは、VAとWの両方の上限を超えない)。

つなげるかを確かめる順番

変圧器・発電機・UPSに負荷をつなげるかを考えるときは、次の順番で単位をそろえます。

  1. 負荷ごとに、電源から取る有効電力(kW)を出す。モータなら、定格出力を効率で割る。照明や電熱器なら、消費電力の表示をそのまま使う
  2. 力率で割って、皮相電力(kVA)に直す。力率はカタログや仕様書で確かめる。インバータで動かすモータは、インバータのメーカーが示す電源設備容量の求め方に従う
  3. 合計を、電源の定格と比べる。変圧器はkVAで比べる。発電機は、kVAと、メーカーが示す有効電力の上限の両方で比べる。UPSはVAとWの両方で比べる
  4. 始動時の電流は別に確かめる。ここまでは定格で運転しているときの値です。モータを直接始動すると、始動電流は定格電流の5〜8倍になります(日本電気技術者協会)
  5. 最後は、電源と負荷の仕様書で確かめる。変圧器・発電機・UPSのメーカー、または電気主任技術者に、計算した値と始動の方法を示して確認します

力率の違う負荷のkVAをそのまま足すと、実際の合計より大きめに出ます。三角形の斜めの辺を足し合わせることになるからで、見積もりとしては安全側です。

まとめ

  • kVAは電圧×電流の皮相電力、kWはそのうち仕事や熱になる有効電力。kW=kVA×力率
  • 電流を決めているのはkVA。同じkWでも、力率が低いほど電流が大きい
  • 変圧器の定格容量は、定格の電圧・周波数・力率で、温度上昇の限度を超えずに取り出せる皮相電力(kVA)。同じ電圧・同じ電流なら、負荷の力率が違っても損失は同じ。同じkWなら、力率が低いほど電流が増えて損失も増える
  • 500kVAの変圧器に、力率0.8の400kWをつなぐと、それだけで容量いっぱい
  • モータの定格出力(kW)は軸の出力。電源側の皮相電力は、出力を効率と力率で割った値で、出力より大きい
  • この記事で見た発電機・UPSの例では、kVAと力率(またはVAとW)の両方を見て、上限を超えないように選ぶ
  • 負荷をつなげるかは、kWを集めて力率でkVAに直し、電源の定格と比べる。始動時の電流は別に確かめ、最後はメーカーか電気主任技術者に確認する

参考にした資料

  • 日本電気技術者協会「変圧器の力率改善と効果損失軽減」(https://www.jeea.or.jp/course/contents/12143/)
  • 日本電気技術者協会「力率改善と経済効果」(https://www.jeea.or.jp/course/contents/01201/)
  • 日本電気技術者協会「変圧器の銘板に学ぶ」(https://jeea.or.jp/course/contents/07110/)
  • 日本電気技術者協会「誘導電動機の各種始動法の特徴」(https://jeea.or.jp/course/contents/07102/)
  • ダイヘン 電力機器Q&A「Q5. 変圧器の定格容量とはどういう意味ですか?」(https://www.daihen.co.jp/products/electric/faq/basic/q05.html)、「Q12. 変圧器の無負荷損および負荷損」(https://www.daihen.co.jp/products/electric/faq/basic/q12.html)
  • 三菱電機 FA技術用語「出力(W:仕事率)」(https://fa-dic.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/18914)、「定格出力(kW)」(https://fa-dic.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/18890)
  • 三菱電機 FAQ「力率の計算式について」(https://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/18500)、「電源設備容量の考え方」(https://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/11096)
  • 富士電機「モータ・応用製品 豆知識 用語集」か行(https://www.fujielectric.co.jp/products/drive_ctrl_equipment/motor/product_series/knowledge_glossary_ka.html)、た行(https://www.fujielectric.co.jp/products/drive_ctrl_equipment/motor/product_series/knowledge_glossary_ta.html)
  • デンヨー「DCA-100USI3T」(https://www.denyo.co.jp/products/dca-100usi3t/)
  • 三菱電機「MELUPS 2031C」(https://www.mitsubishielectric.co.jp/service/melups/products/2031c/index.html)
  • オムロン ソーシアルソリューションズ「仕様項目の説明」(https://socialsolution.omron.com/jp/ja/products_service/ups/product/legend.html)、「UPS選定方法」(https://socialsolution.omron.com/jp/ja/products_service/ups/choose/sentei.html)
  • 中部電力ミライズ「電気料金の計算方法|法人のお客さま」(https://miraiz.chuden.co.jp/business/electric/contract/obs/hi_price/calculation/)
この記事を書いた人
高卒電気マン

高卒から電気の道へ。プラントの電気保全を8年あまり、受配電設備の設計を経て、現在はクレーンの電気制御設計に従事。2026年に電験三種合格。壊れる側と作る側の両方を見てきた視点で、日々の学びを記録しています。

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