モータの銘板は、使う場面ごとに見る欄が決まっています。サーマルリレーを合わせるなら、使っている電圧・周波数の組の定格電流(スターデルタ始動でデルタの相の中に入れる場合は値が変わります)。屋外に置けるかなら、保護方式(IP)。交換品を選ぶなら、定格出力・極数・電圧・周波数と、取付寸法を表す枠番号です。
三相のモータには、「200/200/220V 50/60/60Hz」のように、電圧と周波数を並べて書いたものがあります。左から順に組にして、200V・50Hz、200V・60Hz、220V・60Hzの3つの定格で使えるという意味です。定格電流や効率も、この3つの組ごとに書かれています。

確かめたいことごとに、見る欄
| 確かめたいこと | 見る欄 | 読み方 |
|---|---|---|
| サーマルリレーの設定 | 定格電流 | 使っている電圧・周波数の組の値を見る(スターデルタ始動でデルタの相の中に入れる場合は値が変わる) |
| 運転が過負荷になっていないか | 定格電流 | 運転時の電流が定格電流を超えていれば、過負荷の可能性がある |
| 交換品を選ぶ | 定格出力、極数、電圧・周波数、枠番号 | 枠番号をそろえると据付の寸法を合わせやすい。寸法はメーカーの資料で確かめる |
| 屋外や水のかかる場所に置けるか | 保護方式(IP) | 1つ目が固形物、2つ目が水への保護。IP55はIP44より保護が高い |
| 温度の余裕 | 耐熱クラス、温度上昇 | 155(F)なら絶縁はF種。Bライズは温度上昇がB種並み |
| 長く止めずに回せるか | 使用(S1、S3など) | S1は連続運転 |
「200/200/220V 50/60/60Hz」は、左から順に組にして読む
三菱電機は、製品ページで、同社の3定格のモータの電圧と周波数を「200/200/220V 50/60/60Hz」と書いています。東芝産業機器システムのように「200V-50Hz、200/220V-60Hz」と周波数ごとにまとめて書く会社もあるので、並び方は銘板ごとに確かめます。
この3つの組は、経済産業省の告示(交流電動機の判断の基準)が「3定格」と呼ぶものと同じです。告示は、3定格を200V/50Hz、200V/60Hz、220V/60Hz(400V級では400V/50Hz、400V/60Hz、440V/60Hz)としています。日本電機工業会の解説は、日本では50Hzと60Hzの両方で使える3定格のモータが流通しているとしています。
定格電流や効率は、組ごとに書かれています。トップランナー制度では、3定格の200V・60Hzの効率の基準値は、実質的にIE3より低くなります(三菱電機)。サーマルリレーを合わせるときは、そのモータが実際に使われている電圧と周波数の組の値を見ます。スターデルタ始動でリレーをデルタの相の中に入れる場合は、合わせる値が変わります。サーマルリレーの合わせ方は、記事「サーマルリレーの設定値は定格電流に合わせる」にまとめました。
電源の電圧がどこまでずれてもよいかは、メーカーごとに書き方が違います。
- 三菱電機(同社の三相モータ):電圧変動±5%なら定格トルクで連続運転できる。±10%なら定格トルクで運転できるが、長時間運転は勧めない
- 富士電機(同社の三相モータ):定格値に対して電圧は-10〜+10%、周波数は-5〜+3%。ただし、変動した状態での長時間運転は避ける
定格出力・定格電流・回転速度
定格出力(kW)は、軸から取り出せる出力です。電源から取る電力ではありません。三菱電機は、出力、電圧、電流、力率、効率の関係を「√3 × V × I × 力率 × 効率 = 出力」としています(同社の三相モータ)。kWとkVAの違いは、記事「kVAとkWの違い」で扱いました。
定格電流は、定格の負荷がかかっているときの電流です。三菱電機は、運転時の電流が定格電流を超えている場合は過負荷の可能性がある、としています。
銘板の回転速度は、同期速度より少し低い値です。同期速度は「120 × 周波数 ÷ 極数」で、4極・50Hzなら1500min⁻¹(rpmと同じ)です。三菱電機の例では、全負荷の回転速度が1440min⁻¹で、すべりは4%です。回転速度から極数とすべりを読む手順は、記事「誘導電動機はなぜ回るのか」に書きました。
使用(S1・S3)は、運転のしかたの前提
日本電機工業会のトップランナーモータの解説は、2つの使用を次のように書いています。
- S1(連続使用):熱的な平衡に達する時間以上に、一定負荷で連続して運転する使用
- S3(反復使用):熱的平衡に達する時間より短い、一定負荷の運転期間と停止期間を1周期として、これを繰り返す使用
S1でないモータは、定格の負荷のまま止めずに連続で回す前提ではありません。連続で回したいときは、メーカーに確かめます。
古い銘板では、S1が「CONT」と書かれていることがあります。三菱電機は、規格の改正で「CONT」から「S1」に表記が変わったとしています。逆に、同社のギヤードモータのUL/cUL規格品では、2020年に「S1」から「CONT」へ表記を変えた例もあります。
保護方式(IP)と冷却方式(IC)
IPの後ろの2つの数字は、1つ目が固形物、2つ目が水に対する保護の等級です。三菱電機のFAQは、全閉形が1つ目の「4」、防まつ形が2つ目の「4」で、全閉防まつ形は「IP44」としています。
東芝産業機器システムは、同社の屋外形モータで、従来のIP44より固形異物と水の浸入に対する保護が高いIP55を標準にしたとしています。三菱電機は、IP55の防塵・防水形モータ SF-PRP形を「多量の水がかかるような場所でも」使えるとしています。屋外や水のかかる場所では、IPの数字を確かめます。
冷却方式は「IC」の後ろの記号で表します。三菱電機は、同社の全閉外扇形のモータを「IC411」とし、これは空気を表すAを省いた簡易な書き方だとしています。富士電機は、高圧機の仕様で「IP44/IC411」を「全閉防まつ外被表面冷却自力形」と書いています。
耐熱クラスと温度上昇
耐熱クラスは、巻線の絶縁がどの温度まで耐えるかの区分です。メーカーの資料には、155(F)、130(B)、120(E)のように、数字と記号が並べて書かれています。古い銘板では、同じ意味で「絶縁階級 E種」のように書かれています。
「F種Bライズ」は、絶縁はF種の材料で、温度上昇はB種並みに抑えた、という意味です。富士電機は、F種の材料は温度上昇105Kまで使え、B種の温度上昇は80K以下だとしています。東芝産業機器システムも、温度上昇を80K(Bライズ)に抑えたとしています。
Kは温度の差を表す単位で、1Kは1℃の温度上昇と同じです。富士電機は、基準温度40℃で温度上昇60Kなら、実際の温度は100℃になる、という例を挙げています。
効率と効率クラス(IE3)
2015年度から、三相誘導電動機にはトップランナー制度の基準があります。日本電機工業会によると、目標基準値はIE3の効率値と整合をとっています。経済産業省の告示は、対象のモータ本体の見やすい箇所に、次の事項を容易に消えない方法で表示するよう求めています。
- 品名、定格出力、極数、定格電圧、定格周波数(または基底周波数)、使用の種類
- エネルギー消費効率(パーセントで小数点以下1桁まで)、効率クラス(定格電圧・周波数ごと)
- 製造事業者等の名前
日本電機工業会は、トップランナーモータは標準のモータに比べて回転速度が速くなり、始動電流が大きくなる傾向がある、としています。始動電流が高くなると、ブレーカなどの変更が必要になる場合がある、とも書いています。古いモータをトップランナーモータに替えるときは、回転速度と始動電流が変わることがあります。
枠番号は、取付寸法を表す
三菱電機は、「80M」のような枠番号について、80は足の底面から出力軸の中心までの高さ、後ろの文字は胴の長さを表すとしています。富士電機と東芝産業機器システムは、同社のトップランナーモータが従来の標準効率モータと枠番号(取付寸法)が同じだとしています。交換品を選ぶときは、枠番号をそろえると、据付の寸法を合わせやすくなります。
古い銘板の読み替え
三菱電機のFAQは、規格の改正に伴う表示の変更を、次のように挙げています。
| 古い表示 | 今の表示 |
|---|---|
| CONT | S1 |
| 絶縁階級 E種 | 耐熱クラス E |
| JC | IC |
| JP | IP |
| 端子記号 U、V、W、X、Y、Z | U1、V1、W1、U2、V2、W2 |
銘板を見るときの順番
- できればモータを止めた状態で見る。銘板は外被に付いています。運転中に見るときは、回転部や端子箱に触れないようにします
- 定格出力と極数を見る。何kWの、何極のモータかを確かめます
- 電圧と周波数の組を決める。そのモータが実際に使われている電圧・周波数の組を、銘板の並びの中から選びます
- その組の定格電流を見る。サーマルリレーの設定や、運転電流との比べ方に使います。スターデルタ始動でデルタの相の中に入れるリレーは、合わせる値が変わります
- 使う場所と使い方に合っているかを見る。使用(S1など)、保護方式(IP)、耐熱クラスを確かめます
銘板の文字が読めないときや、交換品の選び方に迷うときは、銘板に書かれた形式と製造番号を控えて、メーカーに問い合わせます。
なお、三菱電機は、三相モータの事業を荏原製作所に譲渡するのに伴い、2026年11月以降に生産するものから、荏原の銘板に変えるとしています。性能や取合い寸法は変わらないとしています。
まとめ
- 銘板は、確かめたいことごとに見る欄が決まっている
- 「200/200/220V 50/60/60Hz」は、左から順に組にして読む。書き方はメーカーで違うので、並び方は銘板で確かめる。定格電流や効率は組ごとに書かれていて、使っている組の値を見る
- 定格出力(kW)は軸の出力。定格電流は定格負荷のときの電流で、運転電流がこれを超えていれば過負荷の可能性がある
- 回転速度は同期速度より少し低い。4極・50Hzなら同期速度は1500min⁻¹
- S1は連続使用、S3は運転と停止を繰り返す使用
- IPの数字は、1つ目が固形物、2つ目が水への保護。IP44は全閉防まつ形
- 耐熱クラスは絶縁の温度の区分。F種Bライズは、絶縁はF種、温度上昇はB種並み
- トップランナーモータは、効率と効率クラスの表示がある。回転速度と始動電流が変わる傾向がある
- 枠番号は取付寸法を表す。交換品は枠番号をそろえ、寸法はメーカーの資料で確かめる
参考にした資料
- 経済産業省 資源エネルギー庁「交流電動機のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等」(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/equipment/pdf/27_koryu.pdf)
- 日本電機工業会「トップランナーモータ 2015年度スタート!!」(https://www.jema-net.or.jp/engineering/motor/sansou_yudou.html)、トップランナーモータ パンフレット(https://www.jema-net.or.jp/publication/brochures/DS5238.html)、「三相誘導電動機のトップランナー基準(案)の紹介」(https://www.jema-net.or.jp/engineering/motor/evefa200000010ww-att/762_motor.pdf)
- 三菱電機 FAQ(三相モータ):定格電流(18504)、すべり(18494)、同期回転速度(19091)、保護方式(17276)、冷却方式(19088)、Bライズ(18489)、F種Bライズ(18484)、絶縁階級と耐熱クラス(18536)、規格の変遷(17255)、わく番号(18490)、力率の計算式(18500)、電圧変動範囲(18512)(https://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/ )
- 三菱電機「米国EISA対応 SF-PR」(https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/products/drv/i_motor/pmerit/toprunner/index.html)、トップランナーモータ製品一覧(https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/products/drv/i_motor/items/toprunner/index.html)、セールスとサービス No.431-A
- 三菱電機FA産業機器 ギヤードモータ セールスとサービス No.871-0206
- 東芝産業機器システム「プレミアムゴールドモートル」(https://www.toshiba-tips.co.jp/products/motor/pgm-225.html)
- 富士電機「モータ・応用製品」(https://www.fujielectric.co.jp/products/drive_ctrl_equipment/motor/)、MLK/MLU/MLP/MLH シリーズ(https://www.fujielectric.co.jp/products/drive_ctrl_equipment/motor/product_series/products_toprunner_mlu.html)、標準仕様(https://www.fujielectric.co.jp/products/drive_ctrl_equipment/motor/product_series/products_toprunner_mlu_specification_common.html)、FAQ(3528・3531・3532)(https://faq.fujielectric.com/)

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